「死」とは?進化に必要なものらしい?「死」は生物の持っているプログラム! | angel_green888☆blog

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人も動物も生まれた時から死ぬ運命で、分かってはいるが、日一刻一刻「死」に近付き、気が付けば目の前に迫りつつあり、本当に怖ろしいです。

 

しかし、地球で生命誕生から、これまでの進化の過程を考えると、進化に必要なものらしいです。

 

長寿には、老化細胞の除去が大切らしい。

 

 

 

 

「なぜ生物は死ぬのか」という問いは間違い…生物学者の東京大学教授「死ぬものだけが今存在している」深い理由

 

 

……人生100年と言われる今、私たちが死を恐れる感情はどこからくるのか。哲学者や解剖学者、憲法学者、僧侶など各界の28人の碩学が寄稿した『「死」を考える』(集英社インターナショナル)はいわば、死の授業。

今回は、東京大学定量生命科学研究所教授の小林武彦さんの考察を前後編の2回に分けてお届けしよう――。(前編/全2回)

 

 ■生物の死と老い

  死というものがなぜあるかといえば、それが生物の持っているプログラムだからです。

  生物の誕生に大きな役割を果たしたと考えられるRNA(リボ核酸)と呼ばれる物質は、単純な構造で、生物ではないのに自己複製でき、また変化していろいろな種類のものを作り出す能力を備えていました。RNAは壊れやすいため、作っては壊れ、壊れてはまた作り直すということを繰り返してきましたが、そのうちに自然に効率よく増えるものが残ってきました。結果的にそれが進化のプログラムだったのです。

  「変化」していろいろなものができる。そして、その環境に適したものが「選択」的に生き残る。この「変化と選択」が進化のプログラムです。これがたまたま、地球で動き始めたんですね。適したものが生き残り、そうでないものは壊れる。この「壊れる」ということが死の始まりです。

 

 ■「変化と選択」の繰り返しが生物の進化のプログラム

  RNAや、タンパク質の材料となるアミノ酸などは、原始の地球の熱水噴出孔のようなところで化学反応により生まれたと考えられています。そして、RNAはアミノ酸をつなげてタンパク質、スライムのようなドロドロした塊である「液滴(えきてき)」を作るようになりました。

  これは生産効率のよいRNAの自己複製マシーンなのですが、その中に偶然、「袋」に入るものが出てきます。液滴は化学反応が起こりやすい水溶性で、袋は水に溶けない脂溶性。この袋の中ならば、より安定した環境で自己複製でき有利です。効率よく自己複製するその袋入り液滴が、徐々に増えて支配的になり、やがて袋ごと増えるようになり、最初の細胞の原型になっていったと考えられます。

  DNA(デオキシリボ核酸)はRNAの材料である糖の種類が変化してできました。DNAの方が安定しており壊れにくいので、それもまた変化と選択で、DNAがRNAに取って代わり遺伝物質になっていったのです。

  細胞が誕生してからも、変化と選択は繰り返されます。はじめは単細胞生物。そのうちに単細胞がいっぱい集まって、それぞれが分業するようになる。これが多細胞生物です。多細胞化した方が生き残りやすかったものもいたのでしょう。

 

■進化しないものは絶滅し、多様性ある生物が生き残った

  生物は突然降って湧いたわけではなく、単純なものから少しずつ変化と選択を繰り返しながらできていきました。進化のプログラムの根底には、常に「作っては壊し」があり、死ぬものだけが進化できたといえます。 

 ですから、「私たちはなぜ死ぬのか」というのは問いとして間違っていて、「死ぬものだけが今、存在している」というのが正しいと思います。逆説的な話ではありますが、死なないと進化のプログラムが動かず生命の連続性を維持することはできなかったのです。

  進化をやめて「死なない」という選択肢を取るものもいたかもしれませんが、多くは絶滅したと推察されます。中には、不死とまではいかなくても、死ぬというプログラムがなかなか動かず、ものすごく長生きになってしまったものはいます。

  北極海などに生息するニシオンデンザメとかアイスランドガイという二枚貝は400年くらい生きるといわれています。そのような動物は概してあまり環境が変わらないところに住んでいるために、昔ながらの形態のままでもよかったのかもしれません。

  ただ、そういう場所以外の地球の環境は変化がありますから、長生きするよりも「ちゃんと寿命が決まっていて、世代交代して多様性をいつでも作れるような生物」の方がよかったでしょう。加えて有性生殖により、親と少し違う子どもを作るようなライフスタイルの生物が、最終的に生き残ってきました。

  生物には多様な種が存在し、生態系が複雑になるほど、いろいろな生物が生きられるようになります。そして、それぞれの生物はいろいろな戦略で生き残ってきました。

  例えばキリンの首は戦略的に伸ばされたわけではなくて、突然変異で長い個体が生まれ、たまたまその個体のいた所にいい具合に食べ物があったのでしょう。普通に考えれば、首が長過ぎると不便でしかないのですが、彼らの生きる環境ではその方が有利だったから選択されたと思われます。進化とはそういう偶然の繰り返しなのです。

 

■シニアの存在が集団を強くし、人間の寿命が徐々に延伸

  人間はどうでしょうか。

  人間は他の大型霊長類と違ってなぜか体毛が抜けてしまい、さらには木にも登れなくなりました。それぞれが弱いので、生き残るためには皆で協力する必要がありました。人間が他の霊長類よりも長生きになったのは、長生きする方がその集団の力が強くなったから。つまり、シニアがいい仕事をしたのです。

  例えば、この見方で一番有名なのが「おばあちゃん仮説」。チンパンジーなどの場合、体に毛が生えているので、生まれてすぐにお母さんにしがみつけます。つまり、お母さんは子どもがいても両手が空くのです。でも人間の場合は、生まれて2~3年は誰かが抱っこしたり、ついていたりしなければいけないですよね。そういうときに親以外で誰が頼りになるかといえば、祖父母。おじいちゃん、おばあちゃんが面倒を見てくれる方が、親に余裕ができて圧倒的に子沢山になる、という理論です。加えて、若い人だけの集団よりもシニアがいる集団の方が、話がまとまる。若い頃は生きるための欲に満ち溢れていますが、シニアになるとそういうことから解放されてきて、人のために何かしようと思うようになるからかもしれません。

  ゴリラやチンパンジーのメスは死ぬまで生理があるし、オスも死ぬまで生殖しますから、人間のような利他的な存在にはなりません。彼らの中にシニアはいないのです。生物としては、生殖に関わらなくなった個体がいるのはほぼ人間だけ。これもまた変化と選択で、たまたま生殖機能を失っても生きている人が出てくるようになり、そういう人には孫がたくさんできた、それが長寿化の原因の一つになっていったということなのだと思います。

  人間の寿命は社会によって決まります。その社会が何を選択するかによって進化の方向は変わるのです。昔は集団(コミュニティー)を大切にしたためにこういう進化を遂げてきたけれど、今はどうでしょう? コミュニティーに属さなくても基本的には生きていけますから、今後の人間が違う進化の道筋をたどる可能性は十分あると考えられます。(以下、後編に続く)

 

---------- 小林 武彦(こばやし・たけひこ) 東京大学定量生命科学研究所教授(生命動態研究センター ゲノム再生研究分野) 1963年、神奈川県生まれ。東京大学定量生命科学研究所教授、日本学術会議会員。九州大学大学院修了(理学博士)、基礎生物学研究所、米国ロシュ分子生物学研究所、米国国立衛生研究所、国立遺伝学研究所を経て現職。日本遺伝学会会長、生物科学学会連合代表を歴任。著書に『生物はなぜ死ぬのか』『なぜヒトだけが老いるのか』(ともに講談社現代新書)、『寿命はなぜ決まっているのか 長生き遺伝子のヒミツ』(岩波ジュニア新書)などがある。

 

 

(後編/全2回)

「高齢でもヨボヨボにならない人」は明らかにその"数値"が低い…最新研究でわかった人間の寿命差を生む要因老化した細胞が排除されずに残ると、糖尿病、動脈硬化、がん誘発も

https://president.jp/articles/-/82999

小林 武彦 東京大学定量生命科学研究所教授(生命動態研究センター ゲノム再生研究分野)

 ところで、多くの昆虫は交尾、産卵を終えるとバタバタと死んでいきます。プログラムされた寿命を生きたら、決められたようにきっちり死ぬのです。しかし人間の死に方はそれとは異なり、現代人のほとんどは「老化」の過程で死にます。老化とは、細胞レベルで起こる、後戻りできない生理現象です。細胞の機能が徐々に低下したり、異常を起こしたりし、これががんやさまざまな病気を引き起こす場合もあります。

細胞の分裂回数には限界があり、ヒトの細胞の場合、約50回分裂すると分裂をやめてしまい、やがて死んでいきます。古い細胞と幹細胞によって作られる新しい細胞は絶えず入れ替わっており、4年で体のほぼ全ての細胞が新しいものになります。ただし、心臓を動かす心筋細胞と、脳や脊髄を中枢とし全身に信号を送る神経細胞は入れ替わることはありません。傷ついたらそれきりです。人間だけは例外的に少し長いのですが、基本的には哺乳動物の心臓は約20億回拍動するとおしまいです。

サイトカインをまき散らす老化細胞を除去して若返る?

心臓と脳以外の組織は幹細胞が新しい細胞を作るので、常に若々しい状態を維持できるのですが、実際には加齢とともに幹細胞も老化します。幹細胞は老化すると分裂能力が低下して、十分な細胞を供給できなくなります。

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 免疫に関わる細胞の生産が低下すると、感染した細胞や異常細胞の除去ができにくくなります。また、組織の細胞の入れ替えのためには、老化した古い細胞の除去が必要なのですが、若い時には免疫細胞が食べてくれたり、細胞自身が「アポトーシス」という細胞死を起こして内部から分解し壊れてくれたりするのに、歳を取ると老化細胞が除去されにくくなってしまいます。

老化細胞がそのままとどまると、周りにサイトカインという物質をまき散らすようになります。サイトカインには本来、傷ついたり細菌に感染したりした細胞を排除するために炎症反応を誘導して免疫機構を活性化させる働きがあります。細胞から分泌されること自体は正常な反応なのですが、老化細胞の場合はこれを放出し続けるので、炎症反応がずっと続いてしまう。その結果、臓器の機能が低下し、糖尿病や動脈硬化、がんなどの原因となってしまうのです。尿を作る能力が下がったり、肝臓の解毒作用が下がったりしてくると、全身の状態が悪くなり、日常生活に支障が出るくらい身体的機能や認知機能が低下した虚弱、いわゆるヨボヨボな状態になってしまいます。

この、排除されずに残った老化細胞を除去しようというのが、加齢による炎症反応を抑えるための、今一番有望な研究です。既にマウスの実験では、残留老化細胞の細胞死を誘導できるようになっています。

高齢でも元気な人は自然に老化細胞が消えているので炎症値が低いです。この人たちを普通の状態とするならば、老化細胞がたまったままの人は病気の状態です。それなら病気を克服して、普通の状態にすることはできるはずだ、というのが、この分野の専門家たちの期待です。

ただ、医療として人間に適用されるのはまだ先のことになりそうです。老化細胞を全部除去していいのかどうかもまだよく分かりません。もしかしたら、ある程度残して身体や認知の機能を徐々に下げていくというのも、人のライフサイクルの中では重要なのかもしれないですから。例えていうならクラシックカーに、一部の部品だけ最新式のものを載せても大丈夫かな、という心配はありますね。

今なお高い115歳の壁

日本人の平均寿命は、最近100年間でほぼ2倍に延びました。これは、主には栄養状態が良くなったことと公衆衛生の改善によって、乳幼児の死亡率が低下したからです。

また、高齢者の寿命も徐々に延びており、今では100歳以上の人が9万人近くいます。その一方で、115歳を超える人は全世界で有史以来、70人程度しかいません。ここには厚い壁があるのです。その辺りが、人間の最大寿命なのでしょう。

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世界で一番長生きしたのはフランスのジャンヌ・カルマンさんという人で、1997年に亡くなった時点で122歳でした。彼女が公式に120歳を超えた唯一の人類です。2位は日本の田中カ子かねさんで119歳。彼女たちは何か特別なことをしていたわけではありません。ビタミン剤を若いときから毎日飲んだりしていたわけではないのです。

田中さんでいえば、三食ちゃんと食べる、甘いものが好き、炭酸飲料は1日3本、ドリンク剤も好き。私もほぼ同じものが好きだし、ごく普通です。だからといって、みんなが119歳まで生きられるわけではありません。

110歳以上の人たちのゲノムを調べた研究がありますが、長生きの決定打はまだ見つかっていません。恐らく、いくつかの要因の組み合わせによって、ということでしょう。

ただ、双子を使った研究の結果により、遺伝的要因は低いといわれています。75%が環境要因で、遺伝的要因は25%。4組中1組の割合でしか同じ程度の寿命の双子はいなかったのです。私は、それはある意味でいいことだと思っています。遺伝的要因だとどうにもならないかもしれませんが、「みんな長寿遺伝子は持っている、あとは健康に注意して」ということならば、頑張ろうと思えますよね。

健康寿命を延ばすためにDNAの修復に着目

先程から寿命の話をしてきましたが、病気がちで長く生きるのではなく、健康なまま長生きすることが理想です。一般的には平均寿命と健康寿命は10年ぐらい違っていて、72~73歳頃から何かしらの薬を飲んでいる方が多いです。日本において理想的な死に方とされてきた「ピンピンコロリ」は、平均寿命と健康寿命がほぼ同じ、という状態のことです。

私は生物学者として、遺伝子の側からのアプローチで、健康寿命を延ばす方法を考えています。例えばがんはゲノムの変異(遺伝子情報の変化)で引き起こされるため、歳を取るほどリスクが上がるのですが、これを起こさないようにするといったことです。

紫外線や放射線、活性酸素などによってDNAに傷がつくと、ゲノムが変異を起こします。ゲノムの変異は分裂のたびに蓄積し、そのうちに細胞増殖のコントロールに関わる遺伝子が壊れると、どんどん細胞が増殖してがん化してしまうのです。これがヒトの場合には55歳くらいから顕著になっていきます。これを防ぐためには、遺伝情報がきちんと複製され、修復されるようにしてやることが必要です。

また、早期老化症という、寿命が短くなる病気があります。これは主に7種類あるのですが、そのうち5種類の原因は、DNAの傷を治す修復酵素の遺伝子の変異です。その遺伝子に変異があると、普通の人に比べてDNAを修復する能力が少しだけ下がるのです。

これにより老化が速く進んでしまいます。逆に言えば、この問題を解決すれば人間の寿命は延びるはずです。酸素の消費量が多く、活性酸素(ROS)がたくさん発生する心臓は、DNAの酸化損傷が起きやすいのですが、DNAの修復能力が上がれば、心臓の寿命も延びて、拍動回数の限界が増えるかもしれませんね。...