日本において2023年に10万人を対象とした大規模な調査を実施したところ、驚くことに81.8%もの人が〝疲れている〟と回答したのだとか。

一説には〝疲れる〟は〝憑かれる〟と表されていたこともあるといい、これは何かに取り憑かれて身体に重だるさを感じるのではないかとするところから由来するのだそう。

【疲労】には

①肉体的疲労
②精神的疲労
③感染性疲労

があり、これらに共通するのは

・個々の細胞の酸化
・修復するエネルギーの低下
・炎症が起こる

という点であるとされています。





これらは時間の長さの違いはあるものの〝老化〟のメカニズムとほぼ一緒なのだそう。このことから毎日こまめに疲労を回復することがアンチエイジングにもつながるといいます。疲労を十分に回復しないまま過ごしていると知らぬ間に老化が進み不調を抱えがちに。
元気な状態をキープするためにはこまめに疲労を回復して蓄積させないことが大切です。





《疲労=乳酸が溜まっているではない?》

前述したうちの①肉体的疲労に関しては激しい運動などで筋肉を酷使することで起こるもの。その原因として〝筋肉に乳酸が溜まるため〟と説明されてきましたが、最近の研究ではそれが覆されているようです。
運動することで筋肉や血液中に乳酸が増えることは確かであるものの、疲労の原因であるという科学的な論文はこれまでなく、どのようにその考え方が広まったかはわかっていないようです。





昨今、これまで疲労に対して悪者にされてきた乳酸がむしろ疲労回復に一役買うことがわかってきたといいます。
激しい運動や夜遅くまで残業するなどオーバーワークをして疲労困憊になっていると、通常の身体のサイクルのようにブドウ糖からエネルギーを産生するのではなく、実は乳酸をエネルギー源として細胞を回復させているのだとか。
乳酸は修復エネルギーの低下を補うとともに早期の疲労回復につながる物質であることが伝えられるようになってきたようです。





そもそも細胞は活動するためにミトコンドリアという小器官で酸素を使いながらATP(アデノシン3リン酸)と呼ばれるエネルギーを産生するのですが、その過程でわずかに〝活性酸素〟が生じます。
軽度の活動であれば元の状態に戻すのは可能ですが、オーバーワークになると活性酸素が多く産生されることで細胞が酸化した状態、つまり錆びついた状態になってしまうのです。





細胞が酸化した状態が続くと免疫を司る細胞から身体の異変を伝えるたんぱく質の一種である〝炎症性サイトカイン〟が放出されます。
それによって、肩が凝る・腰が痛い・目が疲れる・やる気が起きないなどの不調を感じるように。これが疲労の正体だとされています。
疲労を回復させるには血流を促して蓄積する活性酸素の代謝を上げる必要があるため、疲れている時こそ軽めで十分なので適度な運動がオススメです。





今回は【疲労のメカニズムと①肉体的疲労】についてお伝えしました。
次回は②精神的疲労、③感染性疲労についてお伝えしたいと思います。