【芒種(ぼうしゅ)】
6/5当日、もしくは6/5〜6/20(夏至の前日)までの期間を表す。夏の季語である。
芒(のぎ=米や麦などイネ科の植物で花の外側についている針のような突起のことで、〝禾〟とも表す。)のある穀物・稲や麦など穂の出る穀物の種をまく季節ということから〝芒種〟と呼ばれる。
梅の実が青から黄色に変わり、百舌(モズ=スズメ目の鳥類)が鳴き始め、カマキリや蛍が現れ始める頃でもある。次第に梅雨めいて五月雨の季節に入る。暦には6/11頃に〝入梅〟という雑節があり梅雨入りの目安としてきたという。農業を生業としている人々にとっては畑から目が離せなくなる忙しい時季。
一足早く梅雨入りする沖縄では前時節の小満と合わせて梅雨のことを〝小満芒種(スーマンボースー)〟と呼ぶのだそう。





芒種の由来になっている〝田植え〟はこの時季に行われる代表的な行事。
6月の田植えの時季には全国各地で今年の豊作を田んぼの神様にお祈りするお祭りが行われるようです。
日本では種ではなく苗代を田植えしますが、品種改良される前の昔の苗代は寒冷に弱かったため初夏を迎える芒種の時季が適していたのだそう。





芒種の時季に種を蒔いた植物はこれからどんどん成長していきます。そのため、芒種は物事を始めるタイミングとして縁起が良いとされています。
日本では古来より〝稽古初め〟は数え歳で6歳の6/6に行うという習わしがあり、この日から稽古を始めると上達しやすいといわれていたのだそう。
諸説あるようなのですが、手を開いた状態から指を折って数を数えていくと6で〝小指が立ち〟ます。ここから〝子が立つ〟、つまり〝子どもが独り立ちする〟ことを表したともいわれているのだとか。





《芒種・夏至の頃に旬を迎えるもの》

◎野菜・果物
いんげん豆、枝豆、トマト(※1)、きゅうり、オクラ、シシトウ、生姜、みょうが、大葉、らっきょう(※2)、つるむらさき、梅(※3)、杏、びわ、さくらんぼ(※4) etc

◎魚介類
鮎、鰯、カジキマグロ、キス(※5)、スズキ、カンパチ、カマス、カワハギ、トビウオ、いか、ホヤ、車エビ etc

◎草花
・紫陽花(あじさい)
梅雨の時季を象徴する日本原産の花。
・桔梗(ききょう)
芒種の頃から秋頃まで咲く花。万葉集において秋の七草として記載されている。

※1 トマト 
真夏の野菜のイメージが強いが芒種のころが旬

※2 らっきょう
店頭でよく見かけるようになり習慣のある方は自家製の漬け物を仕込む時季。

※3 梅
この時季の風物詩として梅仕事と呼ばれるシロップ漬けや梅干しを作る作業をする。

※4 さくらんぼ
日本で最も生産量が多い赤いルビーと呼ばれる佐藤錦はこの時季が旬。

※5 キス
透明感があり、赤みが感じられ、目が黒く澄んでいるものが新鮮とされる。





今回は二十四節気【芒種(ぼうしゅ)】についてお伝えしました。
芒種を迎えるとまもなく梅雨が到来します。梅雨はこの時季に梅の実が薄黄色に色づくことに由来していて、〝梅〟の熟する頃の〝雨〟という意味なのだそう。
雨が続くと外出が億劫になったり、気分が落ち込みがちになることもありますが、普段なかなか取れない読書の時間にあてたり、室内で行える趣味に没頭したりするのはいかがでしょうか?
旬の紫陽花を自室や巷で愛でるのも良いですね。