【梅】
5〜6月に収穫の最盛期を迎える。
梅の原産地葉中国の四川省から河北省にかけて。日本には奈良時代に持ち込まれたとされる。
東洋医学的特徴 ①酸味、渋味 ②平性
生薬名:烏梅(うばい)
梅の未熟な果実を蒸したもの。
中国語でwumei〘ウメイ〙と発音するところから日本では〘ウメ〙と呼ばれるようになったのだそう。

□梅の薬膳的効能
・潤いを生み出す(生津止渇)
・下痢を止める(渋腸止瀉)
・咳を止める(収肺止咳)
・血を止める(固崩止血)
・痰を除く(化痰)





《梅 あれこれ》

・発熱や下痢、治療の発汗による喉の渇きを潤すほか、喉の腫れや痛みを和らげる。
また、内臓を労る働きもあるため慢性的な下痢、食中毒による下痢に効果的。疲労時、夏バテ、風邪気味で体調が万全でない際にもオススメ。


・身体にこもった余分な熱を冷ます作用がある。腸の働きを整える働きもあるため、お腹を壊しやすい虚弱な体質の方にもオススメ。
汗を止める収斂(しゅうれん)作用があるため汗をかきにくい体質の場合には控えた方が良いとのこと。


・梅干しはアルカリ性食品で、酸性に傾いた体液を中和して弱アルカリ性に傾ける助けになる。インスタント食品、加工食品、パンや肉類などの洋食中心の食生活は酸性に傾く要素になるため意識すること。
酸性化された体液は排泄障害や内臓機能の低下などを引き起こす原因となることが近年の研究でわかっていて、体液は弱アルカリ性に保たれている必要がある。


・梅の酸味の効果として収斂作用(しゅうれんさよう=漏れ出るものを抑える働き)があるため慢性の下痢や下血、血尿、不正出血などの症状に用いる。
慢性の咳、回虫(※)駆除などにも。
※回虫
主として哺乳類の小腸に寄生する線虫


・戦国時代には携帯食料として、さらには泥水を飲んだ際の感染症の予防として梅干しの果肉を粒状にしたものがつくられ重宝されたのだそう。
また、梅を焼いて炭にしてすり潰して患部に貼り付けることで傷口の回復が良くなるほか、様々な止血作用があると古典に記されているという。


・『梅は三毒を絶つ』といわれており〝食の毒、血の毒(血液ドロドロなど)、水の毒(余分な水の滞りなど)〟による症状に対して〝解毒〟〝血行促進〟といった効果が期待できるとされている。


・酸味の元であるクエン酸の特徴として〝疲労回復効果が高い〟〝首凝り、肩凝り、神経疲労を取る〟〝食欲を高めて夏バテ防止〟などが挙げられる。


・薬膳には酸味と甘味の組み合わせが汗による体液(陰液)の消耗を防ぐ働きを持つという〝酸甘化陰(さんかんかいん)〟という言葉がある。
夏場の食欲低下時には酸味と甘味の組み合わせ〝お粥+梅干し〟がオススメとのこと。お米の糖質が身体のエネルギーになり、梅干しの塩分が汗で失われるミネラルを補給し、酸味が潤いを生む助けになる。
夏バテには冷たい麺類よりも温かいお粥と梅干しを。





今回は暑くなるこれからの時季の養生食材【梅】についてご紹介しました。
梅や梅干しを使った料理、梅シロップを使ったドリンクなど梅の摂り方は様々です。
ご自身のお好みを取り入れつつバランス良く栄養を摂り、梅を味わっていただければと思います。