【小満(しょうまん)】
5/20当日、もしくは5/20~6/4(芒種の前日)の期間を表す。
 万物が勢い良く成長して天地に生気が満ちるということから小満と呼ばれる。
また、秋に蒔いた麦は色づきはじめ、穂が育ち、農家さんがホッと一安心することから〝小さな満足=小満〟となったとされる説もある。
春に咲いていた花は散り、実をつけ、若葉だった柔らかい葉は力強く天に向かって伸びていく頃である。





5月半ばにあたる小満は気候も落ち着きつつあり比較的過ごしやすい時季ですが、地域によっては〝走り梅雨〟となって雨が降ることもある。そのほか〝迎え梅雨〟と呼ぶこともあるようです。
文字通り、本格的な梅雨の目前に先走るように天候が崩れる様子を指し、通常はこの後晴れの日が続き梅雨入りへと向かいます。
この時季降る雨は麦が熟す頃に降る雨というところから〝麦雨(ばくう)〟と呼ばれ、麦畑に吹き渡る風を〝麦嵐〟とも呼ぶのだそう。
そのほか、旧暦の5月にあたるため〝五月雨(さみだれ)〟と呼ばれることも。





《小満の季語になるもの》
麦の収穫期に差し掛かる頃ということもあり〝麦秋(ばくしゅう)〟〝麦の秋〟などの季語が使われるようです。
〝麦秋〟〝麦の秋〟はいずれも初夏の季語。米は秋に実りますが、麦は秋に実るため季語にも〝秋〟の感じが用いられるのだとか。
日本の代表的な作物といえば〝米〟を思い浮かべることが多いかもしれません。江戸時代には米が経済の基礎となっていた上、規模や扶持を米(石=こく)で表したことから米が重要な位置を占めていたと捉えることができます。
米と並んで重要な役割を担ってきた【麦】。実際に〝麦〟を使った季語は多く、古くから日本人の生活と麦との結びつきが強いことをうかがい知れます。





《小満の頃に旬を迎える食材や植物》

筍、さやえんどう、さやいんげん、空豆(※1)、らっきょう(※2)、ふき、新ごぼう、ほうれん草、ニラ、玉ねぎ、青梅、夏みかん、びわ、メロン etc.

鯵(※3)、鰹、カジキ、イサキ、鰈、穴子、キビナゴ、黒鯛、アオリイカ etc.

杜若(※4 かきつばた)、鈴蘭(※5 すずらん) etc.

※1 空豆
旬の時季は茹でたり、さやのまま焼いて焼き空豆にして味わうのがオススメ。空豆のおいしい期間は〝3日〟といわれるほどデリケートなのですぐに調理するのが良いとされる。

※2 らっきょう
特有の香りと辛さ、パキッとした食感が良い。甘酢漬け、しょう油漬けで食す。
若摘みしたものをエシャロットと呼び、食欲増進効果が期待できる。

※3 鯵
全体的に丸みがあり、表面が輝いているものを選ぶのがオススメとのこと。
初夏の潮風とともに脂がのって美味しくなるのだそう。高たんぱくで低脂肪、代謝UPに効果的なビタミンB群も豊富。

※4 杜若(かきつばた)
深い青紫色の花を咲かせる万葉集などでも歌われた日本に自生する花。
気品のある花が特徴で江戸時代に園芸用として品種改良が進められより一般的になった。

※5 鈴蘭
直径1cmに満たない小さな花を咲かせる。花の形が〝鈴〟に似ていることから名付けられた。属性としてラン科ではなくキジカクシ科なのだそう。
但し、全草に毒を持ち、花と根には特に多く含まれるため取り扱う際には注意が必要。





今回は二十四節気【小満(しょうまん)】についてご紹介しました。
本格的な梅雨入りの前の穏やかな小満の時季は、陽気が良くなり、緑が密になり、梅がたわわに実る頃です。しっかり衣替えしておきたい時季でもあります。
自然豊かなところへ出掛けて眺めながら歩いたり、旬の食材を味わうことで季節を感じてみてはいかがでしょうか?