【穀物(こくう)】
4/19当日、もしくは4/19~5/4(立夏の前日)までの期間を指す。
地上にあるたくさんの穀物にたっぷりと水分と栄養が溜め込まれ、天からの贈り物である恵みの雨がしっとりと降り注ぐ頃。
〝清明(4/4)になると雪が降らなくなり、穀雨(4/19)になると霜が降りることもなくなる〟という言葉があり、変わりやすい春の天気もこの頃から安定して次第に陽射しも強まり始める。田植えの準備をする目安と捉える。
穀雨(こくう)の由来は『雨生百穀(うりゅうひゃっこく)』という言葉だとされている。穀物を育てるには絶好の気候であり、雨が百種の穀物を生じさせるという意味が込められている。





『夏も近づく八十八夜。。。』
穀雨の終わり頃に訪れる〝八十八夜〟。
茶摘みの歌などで知られているこの日は農作業に縁起の良い日とされています。これは末広がりの〝八〟が重なることや〝八〟〝十〟〝八〟を組み合わせると『米』になることが理由だといいます。
茶葉の産地では八十八夜に茶葉の初摘みを行うとされ、この日に採れた茶葉を使った〝一番茶〟を飲むことで無病息災で過ごすことが出来ると言い伝えられてきたようです。新芽の一番茶は旨味がぎゅっと凝縮した甘味のある味わいを楽しむことができるのだそう。





《穀雨の別名》
穀雨の時季に降る春の恵みの雨には〝甘雨(かんう)〟〝春霖(しゅんりん)〟〝木の芽雨(このめあめ)〟〝瑞雨(ずいう)〟などの別名があるのだそう。

・甘雨(かんう)
やさしく降るような雨

・春霖(しゅんりん)
長く降る雨

・木の芽雨(このめあめ)、瑞雨(ずいう)
木の芽や穀物の成長を助けるという意味が込められている





《晩春の穀雨に咲く花》
チューリップ、藤(※1)、ツツジ、牡丹(※2)、ヤマブキ、芝桜 etc.

※1 藤
桜が散ると藤の季節。4月下旬~5月上旬
※2 牡丹
百花の王と呼ばれる。
『立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花』という言葉は落葉低木である牡丹が低い位置で花を咲かせる様を椅子に座っている女性に擬えている。





《清明、穀雨の頃に旬を迎える食材》
・野菜、果物
筍(※1)、菜の花、春菊、 キャベツ、アスパラガス、レタス、グリーンピース、さやえんどう、そら豆、わさび、山椒、こごみ、ぜんまい、たらの芽、きくらげ、グレープフルーツ、夏みかん etc.

※1 筍
タケ類の地下茎から出る幼茎。
筍の漢字は竹が10日間(一旬)で成長するため竹の旬の時季という意味が由来であるといわれている。

・魚介類
鰆(さわら)、山女魚(やまめ)、岩魚(いわな)、鰊(にしん)、うるめ鰯、鮴(めばる)、鱒(ます)、栄螺(さざえ)、浅蜊(あさり)、蜆(しじみ)、ホタルイカ、真ダコ、とり貝、ひじき etc.





今回は二十四節気【穀雨(こくう)】についてご紹介しました。
穀雨は様々な穀物に恵みの雨がしっとりと降り注ぐ時季を指し、農業を生業とする方々にとって種まきや田植えの準備を始める目安となる大切な時節です。
その時季ならではの風景や味わうことの出来る旬のものを食すことでその瞬間を楽しんではいかがでしょうか?