東洋医学において消化・吸収・運搬の働きを担う【脾】が本来の働きができず乱れることで、排出されるはずの不要なものや老廃物が蓄積してしまう状態が〝肥満〟であると捉えます。

東洋医学において〝脾〟は《運化・昇清》を司る臓腑。
🔘運化(うんか)
運➡️運搬、化➡️消化を意味する。 
飲食物(水穀)を消化・吸収して人体の栄養分である水穀の精微(すいこくのせいび)を生成し全身に運搬するのが脾の運化作用。

運化の機能が低下すると、体液(津液)の停滞が起こって余分な湿や痰が体内に溜まる〝痰飲(たんいん)〟を引き起こし、これが肥満や高脂血症などの生活習慣病につながる。


🔘昇清(しょうせい)
脾は身体の上部へ持ち上げる昇清作用を持つ。
水穀の精微が小腸から心肺など上部へ運び込まれるのはこの作用のおかげ。
昇清作用が機能しない場合、胃下垂・脱肛・慢性下痢などが起こる可能性がある。また、食後に強く起こる眠気は消化吸収に気と血を消耗して心(しん)に気を送るための昇清機能が低下していることを示している。





《脾を整えるには。。。》

・野菜、海藻を取り入れて食事の最初に摂る
(ファーストベジタブル=血糖値の急上昇を防ぐ)

・発酵食品や菌類(きのこ類など)を食べる

・料理は砂糖を出来る限り使わない味付け。代替として出汁を利かせたり、みりんを使うようにする。

・亜麻仁油やえごま油のような質の良いオメガ3脂肪酸を摂る。アレルギー症状などの炎症を抑える働き、動脈硬化の予防、血栓予防、血圧を下げるなどの効能が期待できる。

・加工食品(インスタントラーメン、スナック菓子、漬け込み保存された魚卵など)は避ける。

・老廃物を排出しやすくするお茶を飲む
(どくだみ茶、ごぼう茶、杜仲茶、ルイボスティー、桑の葉茶、ハイビスカスティー etc.)

・ 楽しく継続できる運動や自分なりのストレス解消法、趣味などで心身のガス抜きをする。





《健脾(脾を補う)食材》
かぼちゃ、さつまいも、里芋、山芋、じゃがいも、冬瓜、なす、オクラ、にんじん、栗、大豆、枝豆、いんげん豆、とうもろこし、椎茸、マッシュルーム、いちじく、さくらんぼ、りんご、豆乳、豆腐、鱈、ひらめ、鴨、鶏肉、牛肉、豚肉、卵 etc.





今回は老廃物を溜めないために整えておきたい東洋医学における【脾】についてご紹介しました。
これまで蓄えてしまった不要なものや老廃物を取り除くことも大切ですが、新たに不要なものを蓄積させない心掛けも必要です。
脾を整える生活習慣や健脾の食材の力を借りて良いコンディションをキープしていきましょう。