【啓蟄(けいちつ)】
3/5当日、もしくは3/5~3/19(春分の日の前日)までの期間を指す。
啓=ひらく・蟄=土中で冬篭もりしている虫という意味で、冬眠していた虫が大地が暖まり始め春の訪れを感じ穴から出てくる頃。
まだ寒い時季ではあるものの、一雨ごとに気温が上がって春の陽気を感じることも多くなる。春雷など春特有の気候が現れやすい時期でもある。





《啓蟄の時季の季語》

・菰(こも)はずし
マツカレハなどの害虫から守るため、松の幹に藁でできた菰(こも=イネ科の植物)を巻き付ける習慣があるが、春になって菰をはずす作業を指す。江戸時代から伝わる害虫駆除方法だが、実際には効果がないとされている。現在は冬の風物詩として行われている。

・春雷
春が近づいてくるこの時季は大気が不安定で強風や雷・嵐が発生しやすくなるといわれている。この時季にみられる雷を〝春雷〟と呼び、寒冷前線が通過するときに生じるのだそう。
朝は晴れていても午後から暴風雨になったり、局地的に 雹が降ったりすることもあるため天気予報は忘れずチェックを。

・虫出しの雷 
立春を過ぎて初めての雷を〝虫出しの雷〟と呼ぶ。そのほかに〝初雷〟〝蟄雷〟という呼び方もある。
春を知らせ冬眠中の虫を穴から誘い出す雷で、音に驚き虫たちが覚醒すると考えられていたことから名付けられたとされる。

・凍返る(いてかえる)
春になって暖かくなりかけた頃に急に寒さが厳しくぶり返す様子を指す。





二十四節気が作られた中国では【驚蟄】とよばれているのだそう。
元々中国でも啓蟄と呼ばれていたものの〝諱(いみな)〟という習慣が大きく関わり変化したようです。〝諱(いみな)〟とは貴人や死者などの名を呼ぶことを避ける慣わしで、王や皇帝の場合は王朝が続く限り、もしくは王や皇帝が存命である限り同じ文字を使うのを避けるのだそう。
その昔〝啓〟の文字が使われていた皇帝が存在し、似た意味の漢字として〝驚〟が用いられていた時代があったのだとか。
その後〝啓蟄〟に戻り、そのタイミングで日本に伝わることに。ただ、慣れ親しんだ〝驚蟄〟の方が身近に感じられ中国では【驚蟄】に戻されたといいます。





《啓蟄の頃に旬を迎える食材》

山菜(うど、わらび、たらの芽、ぜんまいetc.)、菜の花、春キャベツ、セロリ、新じゃが、筍、鰊(ニシン)、針魚(サヨリ) 、鰆(サワラ)、しらす、ホタテ、蛤(ハマグリ)、浅蜊(アサリ)、ひじき、デコポン etc.

・ デコポン
正式な品種は〝不知火(しらぬい)〟
不知火の中でも糖度が13.0度以上、酸度が1.0 度以下などの基準を満たすもののみを指す商標名。

・鰊(ニシン)
厳しい冬の寒さが過ぎた春に産卵魚が漁獲されたことから〝春告魚(はるつげうお)〟と呼ばれることもある。鰆も春告魚の1つ。
春鰊は産卵時期に北海道西岸に来遊するもので栄養をたっぷり蓄えている。熟した卵巣は数の子。





今回は二十四節気【啓蟄(けいちつ)】についてご紹介しました。
寒い冬も終盤に差し掛かり、春の陽気を感じられる日もあります。三寒四温・ 強風・雷・嵐と不安定な気候に見舞われることもありますが、これも春が近づいている過程と捉えて季節を感じるひとときです。
ご自身に合った啓蟄の期間の過ごし方をみつけていただければと思います。