こむら返りは一般的に筋肉の疲労や冷え・栄養不足・熱中症・急激な寒暖差など様々な要因が挙げられますが、東洋医学においては身体の構成要素の1つである〝血(けつ)の不足〟と捉えます。
血の不足がみられる際、こむら返りのほか

・めまいや立ちくらみ
・髪や肌の乾燥
・眼精疲労や視力低下
・不安感
・不眠

などの症状があらわれる可能性があります。





《五行色体表の肝と筋の関係》

五臓 肝 心  脾  肺  腎
五主 筋 血脈 肌肉 皮毛 骨髄

※五行色体表
身体の特徴や変調を表すもの

 東洋医学における〝肝(かん)〟の働きが不調に陥るとこむら返り(こむら=ふくらはぎの筋肉)は起こりやすいといわれています。
肝は〝血の貯蔵〟と〝全身に巡らせる血をコントロールする〟働きを担っています。
肝が弱まると血の巡りが低下して身体に冷えが生じます。肝から遠い位置にある足はいちばんに冷え、筋肉がこわばった状態が続きこむら返りを引き起こします。





《こむら返りに用いる代表的な漢方薬》

🔘芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)
体力にか可関わらず使用でき、筋肉の急激なけいれんを伴う痛みのあるものの次の諸症に対して
Ex) 筋肉のけいれん、腹痛、腰痛

 《こむら返りに用いるツボ》

🔘承山(しょうざん)
つま先立ちした際にできるふくらはぎのほぼ中央の凹み





《こむら返りに対する養生法》

五行色体表を参考にすると、肝は、筋・血・目と関連があります。
養生法は基本として【血の消耗を出来る限り少なくすること】
睡眠不足、スマホやパソコンの使用による目の使い過ぎ、色々と考えを巡らせ過ぎて神経を使うなどの行為は血(けつ)を大量に消費するためほどほどに。

□足の指の動きを良くする

足指を普段からきちんと動かせていないことが多いため、手を使って強いて親指や他の4本の指を動かしてほぐすようにする。
足指を動かすことでふくらはぎの筋肉にも作用して血流が良くなる。

□ふくらはぎへの直接のケア

手のひらや手指を使って押したり揉んだりすることも良いけれども仰向けに寝て両足どうしを使ってほぐすのもオススメ。
仰向けに寝て膝を立て、片方のふくらはぎを反対側の膝の上にのせて上下に動かすようにする。逆も同様に。椅子に座った状態でもOK。

□血(けつ)を補う赤い食材や黒い食材を摂る 
赤い食材(ナツメ、クコの実、赤身肉、赤身魚、赤パプリカ、トマト、さくらんぼ 、いちご、にんじん etc.]や黒い食材(黒豆、黒ごま、黒米、ひじき、黒きくらげ、昆布、わかめ、レーズン etc.)を摂って血を補給する。

※ナツメ
生薬名:大棗(たいそう)
最近ではフリーズドライされてスナック感覚でそのまま食べられるものも販売されているとのこと。
[効能]
・補中益気 ➡️元気を補う
Ex)疲れやすい、倦怠感、食欲不振 etc.
・養血安神➡️血を作り精神を安定させる
Ex)不安、不眠、焦燥感 etc.





今回は血(けつ)の不足で起こる【こむら返り】についてご紹介しました。
〝こむら〟とはふくらはぎのことを表しますが、収縮することでポンプとして働き、全身の血行を巡らせる大切な役割を担っています。
冷えてふくらはぎの筋肉がこわばり、血流が滞ることで血行不良を引き起こしやすくなり、結果こむら返りにつながります。
足指の運動、ふくらはぎのマッサージ、レッグウォーマーなどで保温を行うことでこむら返りの予防を是非!