【皮膚】
身体の一番外側を覆っている部分であり、菌やウイルスなどの外敵や紫外線などの刺激から身体を守り水分を保つ働きをもつ〝臓器〟

[皮膚の働きの一部をピックアップ]
🔘保護作用
機械的・物理的・化学的刺激、紫外線など体外からの刺激から身体を守るとともに体内からの水分喪失を防ぐ。

🔘分泌作用
皮脂や汗を分泌する。皮脂腺から分泌される弱酸性の脂(皮脂)が皮膚の乾燥を防いだり、細菌の繁殖を防いだりする役割を持つ。





最近急に寒くなったこともあり、乾燥とかゆみで皮膚科を受診する方が増えているようです。
冬は空気の乾燥が進むことで肌の水分が奪われやすくなります。加えて、秋から冬にかけて冷えも相まって肌の血液量が減り、汗をかくことも減少してさらに水分が不足します。
汗は保湿成分や殺菌ペプチドが含まれていて皮膚とともにバリア機能の一部を担っています。こういった要因から肌のバリア機能が低下し外部からの刺激に対して弱くなりかゆみや荒れにつながるのです。





《肌のかゆみと乾燥に対するケア》

⚠患部をかいてしまうのはNG
肌を傷つけたり患部を刺激して悪化させることがあるため患部をかくのは避けましょう。
一時的にスッキリするとしても刺激されたことによって表皮の細胞から炎症を促す物質が出て周囲の神経や細胞が刺激されてかゆみが広がったりぶり返すという悪循環につながります。





《そのほかのNG行為》
①洗顔時や身体を洗う際にこする
②氷や保冷剤で直接冷やす
③42℃以上の湯船に入る
④モコモコ素材の肌着、パジャマ、普段着
⑤かゆみを放置する





①洗顔時や身体を洗う際にこする
しっかりこすって洗うとスッキリする感覚があるのは理解できるのですが、患部をかいてしまうのと同様に強い刺激になり本来備わっている肌のバリア機能を損なう恐れがあります。
顔や身体を洗う際には洗顔フォームやボディソープをよく泡立ててから優しく洗うようにしましょう。また、水滴を拭き取る際もタオルでこすらず軽く押し当てるようにして水分を吸わせるようにしましょう。

②氷や保冷剤で直接冷やす
クーリングといって患部を冷やす対処法がありますが冷やし過ぎはNGです。氷や保冷剤を直接肌に当てると患部が冷たくなり過ぎたり、凍傷のようになりかえって傷めてしまう可能性もあります。
冷たいおしぼりやタオルやハンカチに包んだ保冷剤などで優しくケアしましょう。

③42℃以上の湯船に浸かる
湯温が42℃になるとかゆみセンサーが働き始めるといわれています。また、暖房が暑過ぎることでもかゆみが強くなることがあるため温度調節は要注意です。
かゆみがある場合には39~40℃程度のぬるめの温度がオススメとのこと。入浴後は皮脂が奪われやすいためお風呂上がりは脱衣所ですぐに全身の保湿をしましょう。

④モコモコ素材の肌着やパジャマ・普段着
急に寒くなったこともあり、モコモコした素材や裏起毛のものを身につけ始めた方もいらっしゃるかもしれません。衣類に限らず寝具でもかゆみの原因になるといいます。
直接こういった素材のものを身につけるのではなく綿素材のものを下に着ると防ぐことが可能です。

⑤かゆみを放置する
かゆみがあるということは肌自体もしくは体内で変調が起きている身体からのサインと捉えられます。
かゆみが長期間続くと、睡眠の妨げになったり、イライラや不安などの精神的ストレスになり心身の体調に影響を与えます。
放置して悪化すれば治りづらくなることもありますし治癒までに時間もかかります。かゆみに変化がなく続いたり酷くなったりする場合には出来るだけ早めに皮膚科を受診しましょう。





《乾燥肌対策と乾燥肌に良い食材》
※食材でカバーするのはなかなか難しいため足りない部分を補うのにサプリメントやドリンクなどを活用するのも⚪

🔘腸内環境を整える
(①善玉菌を多く含む発酵食品と善玉菌のえさになる②食物繊維や③オリゴ糖)
①Ex)納豆、味噌、ヨーグルト、チーズ、キムチ
②Ex)海藻類、きのこ類、ごぼう、 こんにゃく、さつまいも
③Ex)バナナ、豆類、たまねぎ

🔘肌の弾力(たんぱく質の一種であるコラーゲンやエラスチン)
肉や魚の皮には〝コラーゲン〟筋には〝エラスチン〟が多く含まれている。
Ex)手羽先、牛すじ、豚足、軟骨、魚の皮 

🔘肌の保湿力(フコイダン)
※フコイダン
昆布、わかめ(めかぶ)、もずくといった褐藻類にのみ含まれる特有のヌメリ成分。水溶性食物繊維の一種。
Ex)昆布
(昆布のぬめりにはフコイダンという成分が含有し高い保湿力がある。育毛促進にも⚪)

🔘肌の潤い(セラミド)
※セラミド
バリア機能をきちんと働かせるための主役になっている成分。セラミドが十分に行き届いていると外部からの刺激(乾燥や紫外線など多岐に渡る)で肌荒れしにくく、肌の表面も潤ってキメも整っている。
Ex)生芋こんにゃく
(芋を乾燥させて粉にする工程のある一般のこんにゃくに比べ、生のこんにゃく芋をすり下ろして固める生こんにゃくはセラミドが豊富。100g摂れば1日に必要なセラミドが補える。)
そのほか、米類・麦類・ 豆類・きのこ類・牛乳などにも含まれる。

🔘 ターンオーバーを正常に保つ
(ターンオーバーを正常に保ち乾燥肌を予防する①ビタミンB2・②B6)
①Ex)豚レバー、うなぎ、納豆、卵、焼きのり、干し椎茸
②Ex)マグロ、カツオ、鮭、豚ヒレ肉、鶏レバー、鶏ささみ、卵、大豆製品

🔘ターンオーバーを正常に保つ
(肌や髪を作るたんぱく質の合成を促す亜鉛)
Ex)豚レバー、牛赤身肉、牡蠣、卵、カシューナッツ

🔘肌の老化を防ぐ、コラーゲン生成のサポート、シミ予防
(抗酸化作用をもつリコピン)
Ex)トマト
1日に必要な量 は15mg(トマト2~3個分)といわれていますが、この量を毎日摂るのはなかなか 難しいので食塩無添加のトマトジュースを1日1缶飲むのがオススメとのこと。

🔘細胞の新陳代謝を高めて肌の潤いを保つ
(大豆イソフラボン)
Ex)豆腐(1日半丁)、納豆(1日1パック)、きなこ(1日20g)
⚠ 大豆イソフラボンは女性ホルモン〝エストロゲン〟と構造が似ていることからその影響を考慮して子宮筋腫や子宮内膜症を抱えている場合は摂り過ぎに注意する。





今回は〝乾燥の時季の肌トラブルとそのケア〟についてご紹介しました。
冬は始まったばかりですが、すでに乾燥が強まっています。寒さが増していくと空気の乾燥はさらに強くなります。
外気だけでなく、エアコンなどの暖房器具の使用などによる室内の乾燥にも注意が必要です。
心身の健康とともに肌の健康にも留意しましょう。