【痰飲(たんいん)】
痰➡️粘り気のある濃厚な水液
飲➡️薄い透明な水液

体内の水液代謝が失調し、身体のある部位に停滞することによって起こる病証。水飲病の総称。〝水毒〟ともいう。
消化しきれなくなった栄養物が体内で食積(※)や水毒になって滞ってヘドロ化した状態になり気血の巡りが妨げられている状態。
※食積(しょくせき)
飲食物が消化されず慢性的に積滞する病証。





《痰飲チェックリスト》
□脂っこいもの、味の濃いものを好む
□肩凝りや頭痛が起こる
□めまいを起こす
□むくみやすい
□血圧・血糖値が高い
□中性脂肪値やコレステロール値が高い
□舌の色が暗い
□便や尿の臭い、口臭が強い(痔の症状が現れることも)

※痰飲は脂っこいもの・味の濃いもの・甘いものの摂り過ぎ・お酒の飲み過ぎなどが原因であることが多い。夕食を減らしたり、週末だけ食べる量を減らすなどプチ断食を行うのもオススメ。





《痰の分類》
痰は奇病を引き起こすことが多いということを指す《怪病多痰(かいびょうたたん)》という言葉がある。

🔘有形の痰(目視できる)
停滞部位➡️肺
・湿った咳
・多量の痰
・喘息
・胸苦しさ
・胸がスッキリしない etc.

🔘無形の痰(目視できない)
停滞部位➡️臓腑、経絡、骨、筋腱、筋肉、皮膚

⭐東洋医学における心(しん)に停滞する場合
・動悸
・胸苦しさ
・胸がスッキリしない
・吐き気
・めまい
・不眠
・譫言(うわごと)
・錯乱
・意識混濁もしくは意識不明 etc.

⭐東洋医学における胃に停滞する場合
・悪心
・嘔吐
・腹部膨満感 etc.

⭐経絡や四肢に停滞する場合
・四肢麻痺
・中風(※ちゅうふう)
※中風
脳血管障害の後遺症である半身不随、言語障害、手足の痺れや身体の一部の麻痺などを指す

⭐その他
喉の閉塞感(ヒステリー球)、不安神経症、腫瘍
etc.





《飲の分類》

🔘 痰飲(この場合タイトルの痰飲とは異なり狭義)
停滞部位➡️胃腸
・胃でポチャポチャと音がする
・腸がゴロゴロと鳴る
・腹部膨満感
・食欲不振
・手足のむくみ
・希薄な液体を嘔吐する etc.

🔘懸飲(けんいん)
停滞部位➡️胸下
・胸や脇が張ってすっきりしない
・咳をしたり唾を飲み込んだりすると胸や脇が引き攣れて痛む etc.

🔘支飲(しいん)
停滞部位➡️胸や肺
・咳、喘息、呼吸困難が起こる
・喉がゼコゼコし引っ掛かりを感じる
・横になると息ができない
・寝苦しい
・希薄な痰が多量に出る etc.

🔘溢飲(いついん)
停滞部位➡️皮膚
・身体が重く痛む
・ むくみ痕がつきやすい
・発汗しない
・悪寒 etc.





《痰・陰・湿を取り除くオススメのツボ》

・陰陵泉(いんりょうせん、脾経所属)
 脛骨内側顆の下縁と脛骨内縁が接する凹みの部分。脛骨内側を足首側から膝の方へ擦り上げ、指が止まる部分。

・豊隆(ほうりゅう、胃経所属)
すねの外側。前脛骨筋の外縁で外果尖(がいかせん)から上8寸。条口(じょうこう)穴から外側に1横指。
※8寸=膝のお皿の下縁の外側の凹み(犢鼻穴)から足関節の前方の凹み(解谿穴)までが1寸6分であるためその半分に位置する





《オススメの漢方薬》

・苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)
体力中等度以下でめまいやふらつきがあり、時にのぼせや動悸のあるもので次の諸症に対して
➡️立ちくらみ、めまい、耳鳴り、頭痛、動悸、息切れ、神経症、神経過敏 etc.

・半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
 体力中等度を目安として気分が塞いで咽喉や食道部に異物感があり、時に動悸やめまい・嘔気などを伴う次の諸症に対して
➡️不安神経症、神経症胃炎、つわり、咳、しわがれ声、喉のつかえ感 etc.





《痰・飲・湿を取り除くデトックス食材》 

・アブラナ科の野菜
キャベツ、大根、ブロッコリー etc.

・ユリ科の野菜
たまねぎ、 ネギ etc.

・きのこ類
椎茸、しめじ、キクラゲ、舞茸 etc.

・イヌリン(※)  が豊富な食材
こぼう、たまねぎ、菊芋 etc.
※イヌリン
水溶性食物繊維の一種。
デンプンと異なり人の消化器では分解不能で大腸の腸内細菌叢によって初めて代謝される。

・豆類、穀類
小豆、大豆(特に皮の部分)、黒豆、そら豆、ハト麦、玄米(※) etc.
※ 玄米は脾(消化系)が弱い場合、消化吸収がうまく行われず負担になることもあるので注意。

・海藻類
昆布、わかめ、海苔 etc.

・果物
イチジク、バナナ、りんご etc.

・香辛料やハーブ
カレーパウダー、 紫蘇、パクチー、三つ葉、山椒の実 etc.





今回は身体のヘドロとなって心身に影響を及ぼす【痰飲】についてご紹介しました。
 出てくる症状は痰飲がどこに停滞するかによって変わります。
疑わしい症状のある場合には今回ご紹介した分類を参考に当てはまる症状を確認し、デトックス食材を摂って改善の手立ての1つとして取り入れてみてはいかがでしょうか?