【りんご】
東洋医学的特徴 ①甘味、酸味 ②平性

[甘味]
気血を補う、消化器系を整える etc.
[酸味]
収斂作用(開きっぱなしであったり弛んだりした部分を引き締める働き)、咳や痰を止める働き etc.

[応用]
消化不良、便秘、下痢、口渇、消渇、空咳、食欲不振 etc.

《食味は甘味と酸味》
 甘味と酸味の両方を摂ることで陰分(体液)になるということを表す〝酸甘化陰(さんかんかいん)〟という言葉があり、そういった意味ではりんごは最適な食材。
品種により甘味が強いものと酸味が強いものがあり、例えばエネルギーチャージには甘みの強い品種を選んだり、多汗や軟便・下痢が気になる場合には酸味の強い品種を選ぶなど体調や症状に合わせてチョイスするのがオススメです。

《食性は平性》
冷え性でも暑がりでも子供でも高齢者でも寒熱に関係なく食べることのできる食材。
調理法によって食性が変わるので、冷えが気になるようであれば加熱して、身体に熱がこもっていれば冷やして食べるのも良いでしょう。





《注目の栄養素》

🔘タンニン
ポリフェノールの一種。
腸の中で必要な成分を留めておき粘膜から分泌するのを抑える収斂作用がある。

🔘ペクチン
食物繊維の一種。
りんごは不溶性と水溶性の両方を含む。生食の時には整腸作用、火を通すと下痢止めの効果がある。

タンニン・ペクチンは皮に多いといわれています。皮に近い部分の黄色い層がペクチンなのだそう。 皮ごと食べるのがオススメ。但し、消化力が弱っている時には皮を剥いたほうが良いでしょう。皮の固さが気になる場合は少し火を通せば柔らかくなります。ビタミンB群・Cは熱に弱いため要注意です。
ポリフェノールの一種であるタンニンが含まれるため抗酸化作用やアンチエイジング効果も期待できるとのこと。





フィンランド・イギリス・オランダにおける疫学調査ではりんごを食べることにより、がん・心臓病・脳卒中・アトピー性皮膚炎・肺疾患 などのリスクの軽減が認められたそうです。
西洋では【花と葉は眼病】【若枝は痛風】【芽は頭痛や消化不良】【木の皮は強壮(※身体を丈夫かつ元気にする)】といったように果実以外の部分も余すことなく利用されているようです。





また、その他の効能としてりんごは熟成する際にエチレンガスを発生させることから、これを利用して追熟しにくいバナナ・キウイ・オレンジなどの熟成を促したり、じゃがいもの発芽を抑えたり、植物の開花を早めるなど様々な効果が得られます。
りんごの切り口や摺り下ろした際に褐色になるのはフェノール性物質が変化する際に起こる現象で 、塩水やレモン汁などに晒す方法などで防ぐことが可能です。家庭では密閉して水分の蒸散を防ぎ、冷暗所で保存するのがオススメです。





今回は我々にとって身近な果物【りんご】についてお伝えしました。
『りんごを食べれば医者いらず』
『1日1個のりんごが医者を遠ざける』といったことわざがあるように身体にとって良い効能が盛りだくさんです。
生食のほか、煮てジャムやパイにしたり、焼きりんご、ジュース、お酒、ドライフルーツなどりんごの味わい方は色々あります。
摺り下ろしたりんごは離乳食・病中や病後の回復食として用いられることもあります。
ご自身のコンディションや気分に合わせて召し上がってみて下さい。