花粉症やアレルギー・空気の乾燥が進む時季に身体の痒みを自覚する方は多くいらっしゃると思うのですが、皮膚にトラブルを抱えていない場合にも痒みが全身にひろがる疾患があるといいます。
例えば、腎機能の低下が重度である慢性腎不全、強皮症・皮膚筋炎といった膠原病、肝臓疾患などが挙げられます。





今回は肝臓の疾患に関してフォーカスしたいと思います。現在、肝臓の疾患から全身の痒みが発現するメカニズムははっきりと解明されていないのだそう。
一説として、肝臓で生成される〝胆汁酸〟が原因ではないかといわれているようです。肝臓の働きが悪くなると肝臓で作られる胆汁の成分である胆汁酸が血中で増加、その胆汁酸が血液にのって全身に運ばれ痒みを引き起こしているのではないかと推測されているのだとか。





ちなみに肝臓の疾患を抱えている方のうち3人に1人が痒みを自覚するという傾向が。
その中でも特に原因不明の難病〝原発性胆汁性胆管炎〟の方で7割、近年増えている〝非アルコール性脂肪性肝疾患〟の方で2人に1人と高頻度で全身の痒みが発現しているという統計が出ているのだとか。





〝非アルコール性脂肪性肝疾患〟は現代病ともいわれていて糖尿病を合併しているケースも多くあるようです。
糖尿病における高血糖の状態では、皮膚の乾燥を引き起こし痒みやひっかき傷など起こしやすくなることから、大元の肝臓の疾患と皮膚の症状の両側面から痒みと向き合うことになるのだそう。





肝臓由来の痒みでは荒れやかぶれ・ただれなどは見当たらず、見た目には異変は一見ないとされていて、全身がムズムズするような痒みを夜間に自覚する場合には注意が必要とのこと。
こういったケースでは塗り薬やアレルギーの薬ではおさまらないため、薬で効果がみられない場合には肝臓の専門機関を受診して正確な診断と治療が必要です。
また〝痒み〟とともに肝臓の3大症状とされている〝足がつる〟〝身体がだるい〟といった症状が徴候としてあらわれている場合には早急な治療が必要とのこと。





《肝臓疾患予防のための取り入れたいこと》

☑ストレッチやウォーキング、ラジオ体操など継続できる軽めの運動を習慣化

☑脂肪に変わりやすく内臓脂肪として蓄積されやすい(a)果糖や(b)ショ糖を摂り過ぎないようにする
(a)果糖多い果物 (b)より1.2 から~1.5倍甘い
①バナナ②ぶどう③マンゴー④柿⑤りんご
(b)ショ糖(蔗糖の蔗はさとうきびの意味)
砂糖の主成分で甜菜やさとうきびから得られる

☑緑の野菜、その中でもブロッコリーの新芽〝ブロッコリースプラウト〟を摂る
※含有成分〝スルフォラファン〟の抗酸化作用が医学的に脂肪肝の改善につながることが認められているのだそう。最近の研究では痒みの軽減効果も。





今回は〝全身の痒みと肝臓疾患の関連〟についてご紹介しました。
空気の乾燥から肌の乾燥が起き痒みを引き起こしやすいのは皆さんもご存知だと思うのですが、その他に〝痒み〟には何らか疾患が潜んでいる可能性もあることがわかりました。





シンプルに乾燥が原因で起こっている痒みであれば対症療法である程度回復が見込めますが、先述したようにもし疾患に由来するものであればそうはいきません。
肝機能低下を示す数値よりも痒みが先行することもあるようです。これまで数値に関して指摘されたことがなくても1つの可能性として心に留めていただければと思います。
早期発見、早期治療につながりますように。