突然ですが、皆さん〝薬膳〟ときいてどのようなイメージをお持ちでしょうか?
何となく珍しい食材や生薬(漢方薬)などを用いるのではないかと想像されるかもしれません。
漢方・薬膳の専門家によると、薬膳というのは体調・体質・季節に応じて取り入れる養生法で身近な食材で気軽に実践できるものなのだそう。





東洋医学では人の身体の特徴や変調を表す〝五行色体表(ごぎょうしきたいひょう)〟と症状とを照らし合わせて治療方法や養生法を考えます。
特に、加齢に伴う症状が現れやすい〝腎(じん)〟やストレス・代謝と関連の強い〝肝(かん)〟に関しては冬~春にかけてケアをすることで体内での巡りが良い方向へ進むのだそう。

🔘腎
黒い食材やミネラルを摂って養い、アンチエイジング対策

※黒い食材
黒ごま、黒豆、黒米、海苔、ひじき、わかめ、黒きくらげ、玄米etc.

🔘肝
春本番を迎えたら、赤身の魚や解毒作用の高い野菜を摂って代謝力を上げる

※赤身の魚
カツオ、マグロ、サバ、アジ、サンマ、イワシetc.





《オススメ食材》

☑黒ごま

先述した東洋医学における〝五行色体表〟を参考にすると〝腎〟と〝黒〟は関連しているので、腎を養うアンチエイジングの食材の代表としてオススメ。
ポリフェノール、アントシアニン、セサミン、ビタミンEなど抗酸化成分が豊富。


☑カツオ

低脂質・高たんぱくの食材でビタミンB群、ビタミンD、DHA、EPAも豊富に含有。
そのほか、亜鉛やカリウムも摂ることができ〝肝〟の働きを補う、ある意味〝薬〟になり得る魚とされている。


☑菜の花

解毒作用が高く、肝を養い、巡りの要素である血(けつ)を補う食材。
イソチオシアネート(辛味成分)という抗菌成分やカリウム、食物繊維も含む。


☑あさり

血流を促すとされる鉄、葉酸、ビタミンB群を含有。貝類に豊富に含まれるタウリンや亜鉛、カリウム、カルシウムも含有。腎の働きを補ってくれる食材。

※タウリン
たんぱく質が分解される過程でできるアミノ酸に似た水溶性の物質。
水溶性なので有効に摂取するには汁ごと摂れる鍋物やスープ等がオススメ。
あさりのほか、牡蠣・しじみ・ホタテ・イカ・タコ・甲殻類・魚類(特に心臓、脾臓、血合い肉に多い)にも含まれる。





《オススメのドリンク》

☑チャイ

牛乳・紅茶のほか、生薬として生姜パウダー・シナモン・クローブ・フェンネルシード・オールスパイスを用いたドリンク。特にクローブ・フェンネルシードは腎と肝を養ってくれる生薬だそう。
身体を温める作用が抜群で温活に効果的とのこと。スパイシーな香りでリラックス効果も期待できる。


☑クコの実コーヒー

スーパーフードの1つであるクコの実。
腎・肝ともに養ってくれる食材。肝と関連の深い目の症状にも効果的。ビタミンB群・Cが豊富で美肌効果も。
コーヒーに浸すことで甘味が増すそう。ブラックコーヒーにクコの実を数分浸して待つと完成するお手軽なドリンク。

※クコの実
別名 ゴジベリー。1日10粒程度が目安。
〝不老長寿の薬〟といわれ世界三大美女のひとり楊貴妃が毎日食べていたとされる美容フード。
ビタミンB1、B2、C、ビタミン3、ポリフェノール、カロテノイドの一種ゼアキサンチン、アミノ酸の一種ベタインなど非常に豊富な栄養が含まれている。
ベタインには抗脂肪肝作用があり、肝硬変や高血圧などの生活習慣病の予防効果も期待できるのだそう。





今回は抗加齢と代謝UPに効果的な春の食材などについてご紹介しました。
〝薬膳〟という言葉から少し堅苦しいイメージがあったかもしれませんが、薬膳・漢方の専門家によると必ずしも希少な生薬や食材を用いるわけではなく、実は身近な食材で日常生活に取り入れやすい養生法だということが分かりました。
皆さんも身近な食材で〝ゆる薬膳〟にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?