制限オーバー | そっとカカトを上げてみる ~ こっそり背伸びする横浜暮らし

そっとカカトを上げてみる ~ こっそり背伸びする横浜暮らし

大きな挑戦なんてとてもとても。
夢や志がなくても
そっと挑む暮らしの中の小さな背伸び。
表紙の手ざわりていどの本の紹介も。

相互読者登録のご期待にはそいかねますのでご了承ください。

マスコミでは、自粛に反する行動が取り上げられることも多かったようですが、緊急事態宣言期間中、けっこう自粛に協力的な人は多かったのでは?

私の幼なじみの一人も、見かけは巨体の強面 こわもて
ながら繊細でまじめな男で、自分の健康のためにも、仕事で接する相手のためにも、外出は必要最小限にとどめていました。

買い物には一人で車ででかけ、10分程度で必要なものを買い求めて帰ってくるような生活をしていました。
たまに、人混みでないところには徒歩で往復することはあっても、それほど頻度が高い機会ではありませんでした。


   ◆      ◆      ◆

運動不足で体重は増え、体力の衰えを感じてきたので、彼は運動不足を解消しようと、筋肉や体幹を鍛えることができる健康器具をテレビショッピングで買いました。
前から気になっていた器具が、時間が経つにつれ値ごろ感のある価格になったので、決断を促したようです。

器具に乗り、さまざまな方向の振動を選び、とる姿勢により、筋肉を鍛える仕組みです。
ちょっとしたあき時間にも手軽にできるので、時間をみつけてはちょこちょこ利用しているようです。
使い始めて早々は、5分もしないうちにあちこちの筋肉が張ってきてつらかったのが、徐々に鍛えていられる時間も伸びて効果を実感しています。


   ◆      ◆      ◆

効果も見え始めたころ、彼の奥さんが、思いついたように彼に尋ねました。

「ねえ、それ、過重制限はないの?」

そんなこと気にしたことのなかった彼は、言われて初めて調べていると、ありました過重制限90キロ。
ふつうなら問題ありませんが、なにしろ巨体の強面(強面は体重に影響はありませんが)の運動不足です。

90キロなどらくらくオーバー。高速道路の速度制限だったら違反切符を切られています。


   ◆      ◆      ◆

「じゃあ、体重を落としてから使わなくちゃ」
私が茶化すと、彼は笑いながら応えました。
「それができるんなら、この器具、いらないだろ」

彼は制限の90キロをオーバーしていても使い続けることにしました。
となると、大切な友達のために注意してあげるのが幼なじみの務めというものです。

「メンテイ(免許停止)にならないように注意しないとな」




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