「物」を売る経験をして欲しい 続き

 

ビジネスにおいて、事業というのは、どんな業種であれ、物やサービスを売って初めて成り立つものです。そして、経験すればするほど、物やサービスを売るということは、物やサービスの価値、優位性もさることながら、信頼関係、もっと言えば、その人がいるから売れるという要素が強いように思います。


同じような物を製造販売している会社は、ほとんどの場合、多数あり競合しています、またサービスにおいても、同じようなサービスを提供している会社というのは、常に多数あります。では、なぜ、他社ではなく、自分の会社から物やサービスを買っていただけるかとなると、それは、多くの場合、その会社が信頼できるから、その人が信頼できるからという点が大きな決め手となっていると思います。

 

実際に物やサービスを売る活動をしている営業やマーケティングの部門の人だけではなく、それをサポートする開発、製造、業務、管理、すべての部門において、ビジネス、事業において、物を売るということ、そして、物を売るということの難しさや大切さを理解している社員が多ければ多いほど、その事業、会社は成功する確率が高くなるのではないかと思います。


観念的に「顧客第一主事」とか、「カスタマー・ファースト」など、スローガンを掲げてみても、とくに管理部門や購買部門の人たちにとっては、実際に苦労して、物やサービスを売って、お客様から感謝され、ビジネスにおける本当の達成感を味わうことなしには、いわゆる「腹におちる」という意味での、「顧客第一主事」を理解するというのは、難しいのではないかと思います。


製造業やサービス業において、よく言われる「現場主義」的な考え方というのは、やはり、こういう実際に体験してみて、はじめて理解できるという考え方と通じるものがあると思います。子供が大人に成長していく過程と同じように、ビジネスマンもまた、そういった必要な体験を通してこそ、本物のビジネスマンとしての成長が成し遂げられるではないでしょうか。


もう一つ、この「物を売る」という側面で、強調しておきたいのは、他とえ自分が直接「営業」の仕事に携わってないとしても、「採算」という意識を自分が担当している仕事の中で意識してほしいということです。つまり会社には営業利絵という考えがあり、その利益から間接部門のコストや投資の償却などのコストを引いて、事業の利益となるわけですが、そこまで細かくなくても、自分一人や、自分がかかわっているプロジェクトに、どのくらいの費用が掛かっているか、そしてそのかかっている費用に対してどのくらいの利益やコストの削減などのメリットが出ているのかという、そういう目線でいつも、仕事の目標を理解し、取り組んでいくことが何よりも大切です。


このような取り組みかた、考えかたは、言わずもがなですが、将来、自分が部長や、本部長として事業の採算とう責任を負う場合にも役立ちますので、いわゆる「目の付け所」として、仕事に対する基本的な取り組み姿勢、考え方という観点で、とても重要であることを是非、肝に銘じてもらいたいです。



今回は、より実践的なアドバイスをいくつかのトピックスに分けて、お話したいと思います。

先ず最初に


     「物」を売る経験をして欲しい


私は、もともと商社マン、いわゆる営業の経験を長く積んで、その後、転職を経験、42歳にして、初めて外資系の日本法人で人事の仕事を任されるようになりました。

 

それまでの私は、自らが主導して、新卒の採用をリードしたという経験はあるものの、いわゆる専門職としては人事の仕事の経験はありませんでした。そういう意味では、新しい会社、新しい事業会社で、新しい職務に取り組むこととなったわけです。


特に、職務の専門知識がなくて、チームをリードするというチャレンジは、ある意味、かなり大変なものだったかもしれませんが、不思議と不安はありませんでした。その時私は、自分自身、人事の仕事に非常に興味があったこと、そして、いままで、外から見てきた人事の仕事に対する自分なりの思いと、常識的な判断をしていけばやっていけると、そういう思いでスタートしたわけです。


労務管理や、人事制度の構築などという経験なしに、人事のチームを引っ張り、その会社での人事のあらゆるチャレンジに取り組みことになったわけですので、部下の人たちも戦々恐々だったと思います。そんな環境下、人事部長に就任して、最初に部下の人たちに対して、自分なりにどう人事の仕事に取り組んでいくか、2つの施策方針を話しました。


ひとつは、人事の仕事をビジネスとして捉え、取り組んでいくということです。

特に人事の場合、採用、研修、などいろんな活動のなかで費用が発生しますし、報酬や福利厚生制度を充実させるとなると当然、そこにも会社全体として費用が発生するケースも多く、やはり、それだけの費用をかけて、果たしてどれだけ従業員のモチベーションの向上や、生産性の向上により、ビジネスの拡大、利益の拡大に寄与するのかという人事のビジネスケースを常に考えることが大切であり、そういう観点でいろんな取り組みの是非を判断していくということです。

 

もうひとつの点は、人事の仕事は、自分たちの「会社、事業」あるいは、ブランドとして、商品としての、「会社の名前」を広く世間に売っていくセールスマンだということです。

たとえば、採用にしても、新卒の採用であれ、中途入社の採用であれ、派遣社員の方であれ、より優秀な人材を集めるためには、他社よりも、自分たちの会社がいかに、働き甲斐があり、事業として将来性があるかなど、いろんな観点で、自分たちの会社、事業を売り込んでいかねばなりません。とくに、採用をお手伝いしていただく、人材紹介会社や、人材派遣会社は、自分の会社以外にも、たくさんの会社を顧客としてもっているわけですから、一番優秀な人を一番先に紹介してもらえるよう、自分の会社、自分の事業を売り込んでいかねばなりません。


ともすると人事部の人は、そういう人材紹介や人材派遣のサービスを受ける立場ですので、いわゆる「物を売る」立場ではなく、「物を買う」立場だという意識が強く、めったに人材紹介会社や人材派遣会社を訪問せず、いやゆる「業者を呼びつける」という感覚になっている人が多いのではないかと思います。


私は、自分の施政方針のなかで、「そういう業者を呼びつける感覚では、人材紹介会社や人材派遣会社と本当の信頼関係は築けず、優秀な人材は紹介してもらえない」と言い切りました。そして、自ら率先して、お付き合いのある人材紹介会社や人材派遣会社を訪問し、その会社のミーティングルームをお借りして、社員の方に集まっていただき、私の会社や事業について、プレゼンテーションをさせてもらいました。


また、やはり、オペレーションの現場の管理者やスーパーバイザーの候補となる人材を紹介してもらうためには、自分の会社のオペレーションの現場も人材紹介会社の方に理解してもらう必要があると考え、自ら人材紹介会社の方を現場にご案内したこともあります。

このように、それが採用であれ、研修であれ、いろんな形で、自分の事業、会社の成長に

協力してもらうような関係となる会社には、自分たちの会社、事業を「売り込む」ことが必要ですし、そういう感覚、そういうアプローチがあってこそ、人事を含め管理部門の人も、同じ会社の営業や、オペレーション、カスタマーサービスといった、常にお客様に接している部門の人たちの気持ちや直面している問題も理解できるようになるのではないでしょうか。
(次回に続く)


 

 

 



 ⑨ あせるな、目盛りは大きく 続き



私のように、日本の大きな会社に入社後17年、40歳目前で外資系に転職した人間にとっては、それまでの、入社年次で、出世レースの先頭集団にいるかどうかなどが常に語られる、ある意味閉ざされた価値観の世界から、すべては自分で目標設定する、開かれた世界に飛び出たような感じだったのを、今でもよく覚えています。人生のデザイン、キャリアのデザイン、自分なりの目指すものが、ある意味、リセットされ、リスクも大きいかわりに、そんな自由な世界でキャリアをリセットできたことは、今振り返るとまさにパラダイムがシフトした瞬間だったわけです。


戦後の日本独特の、新卒一律採用、終身雇用、年次ベースの出世競争(徐々に崩れてはきていますが)というモデルの中だけで論じられるキャリアでは、たとえマラソンレースであったとしても、最初の10年、20年の出遅れを取り戻せることは非常に難しいと思われます。なぜなら、そのマラソンレースのペースのそして、何位までが入賞であるかといったルールも、全て、その会社が決めてしまうので、それに合わせて、キャリアのゴールも決まってしまうという、極めて受動的な立場でのキャリアデザインとなってしまうわけです。

もちろん、日本の大きな会社の人事制度もかなり変化してきたとは思いますが、それでも、よほどの不況期以外は、毎年、何百人という新卒採用を行っている会社では、いまだに、「何年入社」という表現が、いろんな意味でもっとも分かりやすい表現として使われているのが現実だと思います。


外資系の会社においては、そういった、年齢や、在籍年数や、性別などは全く、その人の評価や、出世には関係がありませんし、また、社員方々も、いろんな価値観、人生観を持った人が集まっていますので、それぞれがそれぞれの人生とキャリアをデザインするという考えに基づいて、会社も人を育て、組織を作ろうとしています。

このように、同じ30歳台でも、その人がおかれている環境で、かなり悩みのポイントが異なることもありますが、例え、自分のキャリアを自分でデザインする外資系においても、冒頭に言ったように、「あせる」人が多いのは、なぜなのでしょうか?


外資系では、中途採用の場合、(ほとんどが中途採用ですが) 採用の時点からその人に任せたい職責とそのポジションの権限を提示し、それにふさわしい職務グレードと給与。待遇がしめされ、合意の上で、仕事、キャリアがスタートします。したがって、会社がその人に求めるもの、具体的な成果、そして評価の基準が日本の会社にくらべ、より明確になっていると言えます。そんな環境で、一人一人の社員は、自らの人生観や、仕事に対する価値観をもとに、自分で自分のキャリアをデザインするよう、会社側からも求められます。もちろんすべてが一人一人の社員の思う通りになるわけでなく、キャリアを進めていく、より上位の仕事に就くには、当然、成果を出す、周りに認められるということが必要となってきます。


「功を焦る」という言葉があるように、目先の結果を求めることに気をとられすぎると、本来せねばならぬことや、より長期的な展望でものを考えることを忘れてしまいがちになります。

もう一つのものの見方として、やはり、キャリアの最後の5年、10年を「いい形」で終わることは。

「終わり良ければすべて良し」という言葉があるように、とても大切だと思います。自分なりに納得して、「いい仕事をした」、「悔いのないキャリアだった」と思って、充実感を持ってキャリアを終えたいものです。もちろん、ゴールの設定や、達成すべき目標は、皆さんお一人お一人で、違うものだと思いますが、キャリアの前半戦が華々しくとも、最後の5年、10年が周りから見ても、自分自身としても、不甲斐ない、不満足な仕事の仕方に終わってしまうより、やはり、最後をうまく締めくくれるよう、じっくりと自己研鑽に努め、自分の軸をしっかりもって、長いキャリアを考えて取り組むことが何よりも大切だと思います。


皆さんには、特にまだまだ、キャリアという長い長いマラソンレースのまだ序盤戦にいる30歳台の方には、あせることなく、目盛りを大きくとって、しっかりと前を向いて、目先の成果に一喜一憂せず、キャリアを歩んでいくことが何より大切だとアドバイスしたいと思います。



 

     あせるな、目盛りは大きく


一番初めにお話しした、「他の人と比べるな」という部分に通じることですが、よく相談をうける30歳台のビジネスパーソンの悩みは、「自分が遅れている」、「自分はまだ、十分な結果を出せていない」、「今の環境にいると益々遅れてしまいそう」など、もっと具体的な例では、「少なくとも40歳までには課長になっていたい」とかという、誰が決めたわけでもない目標に対して遅れているとか、周りの人や大学の時の同級生に比べてどうこうという、漠然とした「あせり」によるものが多いように思います。


何度も言いますが、ビジネスパーソンとしてのキャリアは、特に少子高齢化が進む、これからの世の中では、ほとんどの企業で定年は70歳を超えていくと思いますので、社会にでて、40年から50年ちかい、非常に長いスパンでの話となります。競技に例えればマラソンレースです。したがって、30歳台というのは、言ってみれば、マラソンの最初の10KMもまだ走っていない状況ですので、たとえ、先頭集団に自分がいなくても焦る必要などないわけです。


また、私の個人的な経験から言っても、不思議なくらいに、入社後最初の数年間で華々しい、いわゆる好スタートを切った同期の人ほど、その後30歳台、40歳台と経験を重ねていくうちに遅れていき、逆に、最初は鳴かず飛ばずだった人達が、徐々に頭角を現し、結局は最初に課長になり、その後も出世レースでは先頭集団を走っているというケースが多かったように思います。

 

もちろん、社長になるとか、役員になるとか、だけが、キャリアのゴールや目的でもないですし、また、人生を考えた場合は、仕事というのはいろんな人生の要素の一部でしかないのですから、その人その人の人生観、価値観における、その人なりのキャリア、仕事での目標に向かって努力していけばいいのですが、やはり、大きな会社や組織に属すれば属するほど、周りの期待もあり、どうしても、役職や待遇というわかりやすい基準で成功、結果が論じられるのも現実かと思います。


私のように、日本の大きな会社に入社後17年、40歳目前で外資系に転職した人間にとっては、それまでの、入社年次で、出世レースの先頭集団にいるかどうかなどが常に語られる、ある意味閉ざされた価値観の世界から、すべては自分で目標設定する、開かれた世界に飛び出たような感じだったのを、今でもよく覚えています。人生のデザイン、キャリアのデザイン、自分なりの目指すものが、ある意味、リセットされ、リスクも大きいかわりに、そんな自由な世界でキャリアをリセットできたことは、今振り返るとまさにパラダイムがシフトした瞬間だったわけです。


戦後の日本独特の、新卒一律採用、終身雇用、年次ベースの出世競争(徐々に崩れてはきていますが)というモデルの中だけで論じられるキャリアでは、たとえマラソンレースであったとしても、最初の10年、20年の出遅れを取り戻せることは非常に難しいと思われます。なぜなら、そのマラソンレースのペース、そして、何位までが入賞であるかといったルールも、全て、その会社が決めてしまうので、それに合わせて、キャリアのゴールも決まってしまうという、極めて受動的な立場でのキャリアデザインとなってしまうわけです。


もちろん、日本の大きな会社の人事制度もかなり変化してきたとは思いますが、それでも、よほどの不況期以外は、毎年、何百人という新卒採用を行っている会社では、いまだに、「何年入社」という表現が、いろんな意味でもっとも分かりやすい表現として使われているのが現実だと思います。(次回へ続く)

 



 



 周りから可愛がってもらえる人になれ  続き

お子さんをお持ちのかたなら解ると思いますが、ヨチヨチ歩きの頃の子供というのは、ほんとうに、理屈抜きにかわいいものです。

ちょっと失礼な表現になるかもしれませんが、20歳台、30歳台のビジネスパーソンは、ある意味、まだ、ビジネスの世界では、ヨチヨチ歩きでもいいのではと思います。つまり、先輩や上司、そして時にはお客様からも、理屈抜きに可愛い、助けてあげたい、と思われるような、そんな将来への可能性を秘めた、人間としての、ビジネスパーソンとしての「可愛さ」が自然と相手の人に伝わっているような人が、周りから可愛がられる人だと思います。

 

いい意味で個性的で、素直で、のびのびしていること、そして、物事に対して好奇心が旺盛で、感動屋さん、そんな人が、ビジネスの世界でも、周りから「可愛い」と思われ、自然といろんなサポートが周りから得られていくのではないでしょうか。



当たり前のことですが、ビジネスの世界では、どんな仕事も自分ひとりで完結できるものではありませんし、とくに規模の大きいビジネス、そして、大きな組織の中での仕事は、日常から周りの人たちとの共同作業によって仕事が進められていきます。

そういう意味でも、可愛がられる人には、そうじゃない人に比べ、仕事が成功するために必要ないろんなサポートやアドヴァイスを周りから得ることができるでしょうし、また、そうして、周りから助けられることに感謝する気持ちも、自然と身につき、それがさらにその人の人格形成をポジティブなものにしていくという好循環になるのだと思います。

 

 

同じような意味で、「自分」を「相手」に理解してもらうことは、ビジネスの世界では、そして組織の中では、とても大切なことです。

ビジネスの世界では、コミュニケーションがとても大切であると、常にそういわれています。プレゼンテーションや、プロジェクトや事業の説明であったり、ミーティングなどでの意思の伝達であったり、そうしたスキルとしてのコミュニケーションは確かにビジネスマンとしてとても大切は基本的な能力だと思います。


しかしながら、ビジネスパーソンとして、本当に重要なことは、相手に対しても、「自分」というものをよく理解してもらおうと努力することではないでしょうか。なぜ自分がそのように考えるのか、なぜその考えに至ったのか、その背景にある自分自身の思いや信念は何のか、自分が大切にしていることは何なのか、そのようなことを相手に理解してもらうことは、やはり努力をしなくてはなかなか難しいものです。


日本には、以心伝心という言葉がありますが、以心伝心になるためには、やはり言葉や身振り手振りを使って、自分自身を相手によく理解してもらうように努めなくてはいけないのではないかと思います。

自分をわかってもらう努力をせずに、人間関係を構築することは非常に難しいのではないでしょうか。




⑥ 周りから可愛がってもらえる人になれ

 

ビジネスのスの世界では、そして、とくに20歳台30歳台は、 周りから、「可愛がられること」は非常に重要です。「可愛がられる」ということは、先輩や、あるいは時として顧客から、「愛すべき」人物として、また、「信頼できるビジネスパーソン」として、また、「育ててあげたい」といった思いを感じることのできる対象という意味でしょう。


そんな「可愛い」人物は、組織全体としても、育てようという考えが働きますし、また、顧客や競合相手からでも、「付き合いたい」人物、「ほかの人に紹介したい」人物として、いろんな人と出会える機会により恵まれるのではないでしょうか。





言い換えれば、ビジネスの世界においては、可愛がられない人は、自分の可能性を狭めてしまうことになりかねません。

よく言われるように、ビジネスの世界においては、「運も実力のうち」ですが、その「運」というのは、必ずしも、宝くじに当たるような「幸運」ではなく、やはり、たいていの場合、その人が持つ魅力がその人の周りの人をして、チャンスを与えてやりたいと思うという自然のプロセスが、そこには存在しているように思います。


では、先輩や上司、顧客から「可愛い」と思われる要素とは何でしょうか?

それは、やはり、人間としての魅力のようなもの、人柄や仕事に取り組む姿勢だと思います。

具体的に言えば、まずは、常に一生懸命であると、そう周りの人が印象を持つような立ち振る舞いをしていること、また、自らの意見や主張をきちんと持っている一方で、それを自信過剰に押し付けようとせず、常に謙虚に振舞うというような、やはり、まだまだビジネスの世界では限定的な知識と経験しか持っていないという、「わきまえた」態度や姿勢ではないでしょうか。


そして、何よりも、ビジネスパーソンとしての「夢」を持っていて、輝くような目で、貪欲に新しい知識や経験を求めるような姿勢、そしてそれがとても自然体であれば、やはり、年配者や上司、顧客も、「この人を育ててあげたい」と、ごく自然に思うのではないでしょうか。

つまりは、飾ることなく、自然体で、より向上したいという真摯な気持ちが現れているような態度や姿勢が、「可愛いい」と思ってもらうために、何よりも大切だと思います。(次回へ続く)

 自分の得意科目を明確にせよ


その会社、あるいは組織の中でより成長できる環境を得、よりチャレンジできる可能性を得るには、自分というある意味ひとつの商品がその組織なかで売れてなくてはなりません。ですからまわりから認知される何か自分の「ラベル」のようなものがないといけません。


「あいつはXXXに詳しい」、「XXXのことだったらあいつに聞け」というような、誰からみても、その分野の知識、経験においては、自他ともにその組織の中では第一人者であるというような「ラベル」がつけば、今まで仕事で接したことのないような部署の人から、あるいは、上昇部からお声がかかり、アドバイスを求められたり、一緒に顧客とのミーティングに同席を求められたりする機会が増え、また、自分自身も、その分野に関わる知識を更に深めようとし、そうすれば、さらに組織の中でのその分野での専門家としての認知があがるという好循環になると思います。


誤解がないように説明を加えますが、私が言わんとしているのは、定年までずっと何かの分野やスキルを極め、専門職として成功しなさいと言っているのではありません。30歳台ぐらいにおいて、組織の中でいわゆる「頭角」を現していく年代には、こういう、いい意味での「ラベル」があったほうが、組織の中で、たくさんの人達から認知され、ポジティブな意味で顔と名前を憶えてもらえることができ、それがひいては、人事異動や社内の重要なプロジェクトメンバー選出の時に考慮されやすくなると思います。 


組織においては、早い場合では30歳台から、一般的には40歳台において、その人の経験や、その時点で与えられた職責から、GeneralistSpecialistというようなキャリアのコースが徐々に鮮明になっていくものだと思います。どの部署においても、部長、本部長、担当役員という、General Managerのキャリアを目指すにしても、より複雑化した現在の事業環境では、前述した、「ラベル」の数が複数ないと、なかなか、大きな組織を任せてもらえるような信頼をその組織の中で得ることは難しいと思われます。つまり、組織をまとめ、動かしていくようなリーダーには、より「広く深い」知識と経験が求められるのが、現代のビジネスの環境だと思うからです。

当然、「広く深い」知識を持ち、幅広い経験を積むためには、前回お話した「勉強」することが欠かせませんが、いずれにしても、大切なことは、「ラベル」をつけてもらえるように、目的意識をもって、仕事に取り組んでいくことだと思います。



 


     30歳台は寝ないで勉強せよ (続き)

これは私個人の経験ですが、30歳台に入ってしばらくした頃、仕事をする中で、自分自身が会社の中で、評価され始め、どこか慢心になっていた部分があることを感じ始めました、と同時に、自分が学生時代に本気で勉強をしなかったことに対する負い目というか、劣等感的なものが芽生え、与えられた業務をこなしたり、仕事における自分の専門分野に対する知識はあっても、経済やビジネスに関しては、自分の専門以外の分野については、まったくと言っていいほど知識がないことに不安も感じ始めていました。


そんな時、仕事で知り合った他社の先輩と意気投合し、通信教育のMBA的な勉強を二人で始めようと思い立ち、仕事が終わった週に1-2回、二人で集まって勉強を開始しました。結局、この「勉強会」は長くは続かず半年後には飲み会へと形を変えてしまったのですが。この時のことが、その後、40歳半ばで、自ら「Executive MBAに行かせてくれ」と自ら申し出るきっかけになったのではと思います。


もう一つの例をご紹介します、私が長くメンターとしてお付き合いしている、いま40歳の方の話です。彼は、30歳を過ぎた頃、結婚、その後二人のお子さんに恵まれ、キャリアウーマンだった奥様は出産を機に退職され、いわば平均的なビジネスマンの家庭と言えるような環境にいます。彼は、もともと勉強熱心、読書家という性格的なものもあったと思いますが、自ら、結婚後も、また、お子さんが生まれたあとも、平日は5時に起き、7ぐらいまでを自分自身の勉強の時間と位置づけ、たとえ飲み会があった翌日でも、この自分の「勉強時間」をかたくなに守り、語学の勉強、On line Courseでの知識の習得など、業務の遂行以外の一般的なビジネスの知識を貪欲に身に着けようと努力をこの10年余り続けています。もともと読書家ですので、この「勉強時間」以外でもビジネスにかかわる書物をたくさん読んでいます。私から見ると彼は、仕事と家庭、子育てというバランスをちゃんととっており、ある意味、ビジネスマンとしての自己研鑽に投資する時間も確保しつつ、家庭、子育てにもちゃんと時間を使っているという理想的な30歳台を歩んだ人だと思います。


それぞれの人には、それぞれの人生観、価値観、幸福感があり、その中でのビジネスや仕事に対する取組みかたというものがあるわけですから、「こうでなくではいけない」というものはないと思います。ただ、より大きなビジネスにチャンレンジしたい、自分が所属している会社、事業で、より責任のある立場に立って、大きな権限でビジネスに取り組みたいと思うなら、やはり、たとえ寝るまを惜しんでも、「勉強する」ことはとても大切です。


そう多くはいないかもしれませんが、自分の会社の中という意味ではなく、広い世の中には、上記した「彼」のように、じっくり、そしてちゃんと時間を作って勉強している人がいます、そして、やがて、同じ組織かは別として、そういう「彼」のような人と競争したり、あるいは比べられて、より大きな権限を使えるような仕事につけるかどうかが決まっていくのです。


もう一度いいます、30歳台でも、勉強している人はとても少ないです。そして、それが、40歳台、50歳台になると、もっと少なくなってきます。だからこそ、勉強する人と、そうではない人との差がどんどん広がってきます。たくさんの後輩の人をみていますが、この勉強している人とそうでない人の差は、極めてはっきりとわかります。そして当たり前の話ですが、勉強している人にはもっとアドバイスしたいと思いますし、またたとえ経験や年齢が違っても、私もそういった勉強している人から、いろんな話を聞くことで、「勉強」できているわけです。


繰り返し申し上げると、勉強することは必ず、知識や物の考え方に表れてきます、そしてなにより、仕事ができる「本物」のビジネスパーソンと出会ったときに、「ああ、この人は勉強しているな」と思ってもらえるようになるのです。とくに体力も気力も充実している30歳台では、たとえ寝る時間を削っても、健康的にも大丈夫だと思いますので、あえて、「30歳台は寝る間も惜しんで勉強しろ」と申し上げたいです。

 

     30歳台は寝ないで勉強せよ


社会に出て、10年もすれば、それなりに仕事に対しても自信というか、ある程度のコツをつかんでくる頃だと思います。例えば英語ですが、英語は英語圏の外国で仕事をしたり、また、外国人が常に周りにいて、一日の半分は英語で仕事をするような環境、つまり英語を使わざるを得ないような環境で、かつ、かなり頑張って単語力や英語の言い回しを勉強して、初めて「使える」レベルの英語力となるものですが、一度それなりに話せるようになった後、努力を辞めてしまうと、その人の英語力はそこで止まってしまいます。現に私も、30歳前半の頃が一番英語という意味では、うまく話せて、聴けていたと思います、それはその当時は 米国での勤務であり、また、英語が上手くなりたいと思って頑張っていたからであり、その後は、「まあ、これくらい英語ができればいいや」と思ってしまったのが間違いなく、英語がそのあとうまくならなかった理由だと思います。


前置きがかなり長くなってしまいましたが。この英語の例のように、仕事においても、所属している会社で、ある程度、仕事ができると自他共に認められるようになると、仕事に関する必要な知識や、考え方、そしてさらに重要なので、自分の業界、会社以外の経済やビジネスにかかわるいろんな変化に対する知識や興味という部分での、更なる知識や理解力を深めるための努力を辞めてしまうと、仕事にかかわる力もそのレベルで止まってしまいます。


30歳台というと、プライベートでも結婚や、子供誕生、家の購入など、いろんな意味で、仕事以外にも多忙となる年代だと思います。そしてそれを理由に「仕事とプライベートのバランスをとることが重要」という言い訳のもと、仕事関連の「勉強」をしないこと、あるいは、時間を作らないこと、努力しないことを正当化する人が多いと思います。

一方で、そんな30歳台になっても、尊敬する上司や、先輩、取引先の人達に恵まれた人は、自分の現状の知識や、仕事に対する考え方や取り組み方と、そういう尊敬する先輩や上司とのレベルの違いを感じ、引き続き「勉強」する必要を感じる人達もいます。


私からみていると、この30歳台での時間の使い方の差、そして考え方の差が40歳台、50歳台になるとものすごく大きな差になっていくというのを、いくつもの例をみて、通関しています。

(この続きはまた、次回に)


 


 

     自分が何をやりたいのかと考えよ

 

もう一つ、転職にかかわる相談にも通じる部分ですが、メンターとして、30歳台の人達から相談を受けたときに、共通する悩みというか相談されるケースとして、「自分が今やらされている仕事が面白くない」、「自分の置かれている部署は、ビジネスとして成長させるのが難しい、違う部署に行きたい」とか「自分の部門や直属の上司には戦略がない」

というような、現状における不満をぶつけてくるケースがあります、


そして、その言い分の裏には「自分は優秀なのに、どうしてこういう部署でこういう仕事をさせられているのだ」という、会社や他人のせいで、自分が恵まれていないというようなロジックで相談してくるケースも多いです。これらの場合に共通するのは、基本的な考え方に、主体的な部分が欠けているということです。特に日本の会社においては「人事は会社が決めるもの、社員はそれに従うもの」という考えや風潮が強いことは否定できませんが、外資系においてはそういう部分は少ないはずで、にも拘わらず、こういう「自分は恵まれていない、自分は公平に扱われていない」的な発想に陥っている人も多いと思います。


確かに世代的なもの、あるいは個人の性格的なもの、また、その会社の文化などによるのかもしれませんが、やはり大切なのは、「自分が何を目標として仕事をしているか」、「自分は将来どんな仕事をしてみたいか」という点を中心にものを考えることだと思います。

もちろん、「社長になりたい」ということが目標であったとしても、すぐになれるわけではなく、その目標に向かって、いろんな経験を積むこと、経済、ビジネスや事業に関し、幅広い知識を得ることが必要になってくるわけで、その目標に向かっていくにあたって、今自分が与えられている仕事に一生懸命に取り組むことが無駄になることはまずありえないと思います。

たとえ、上司たちに恵まれなったとしても、その経験は、いわゆる反面教師として、自分が目指すリーダー像という観点では、いい勉強になっているととらえることもできると思います。


もちろん、30歳台で、仕事に関し、最終的な自分の目標であったり、目指すものがまだ、具体化されていない人もいるでしょうが、大切なことは、いつも自分の中で、自分が仕事として、「何がやりたいか」「何をやってみたいか」を明確に持っていることだと思います。仕事に関す興味や、勉強は、自分が今担当している部署や業務に限定されるわけではありません、もっと言うなら自分が今いる会社や業界に限定されるわけでもありません。大切なことは、仕事、キャリアという側面では、自分を軸として考えることであり、自分が「こういう仕事をやりたい」という考えがあれば、たとえ「面白くない仕事」と思ったことも、見かたを変えれば、その仕事の中からさらに突っ込んで取り組みことで、自分がやりたい仕事へつながっていく部分もあるやもしれません。物事はよく、「コップに水が半分入った状態」だという例えがあります。その状態を「もう水は半分しかない」と思うか「まだ半分も残ってる」と思うかで、気持ちも、頑張ろうというエネルギーも違ってくるのではないでしょうか?


悩みは得てして、自分を棚にあげて、人のせいにしているケースが多いように思います。前回も書きましたが、キャリアは30年、40年と長いので、その中での30歳台は、まだまだ自分に投資をしている時間ですから、もっと自分を軸に、自分が何をしたいかということから発想して、

ポジティブな思考で仕事に取り組んでもらいとアドバイスしています。