追悼 松本零士先生 | koutaroのブログ

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大山昇太は永遠に

漫画家の松本零士さんが2月13日永遠の世界へ旅立った。

 

松本零士の漫画といえば、誰が何と言おうと「男おいどん」である。

僕がその漫画と遭遇したのは忘れもしない高校2年のとき。

始めて読んだとき「なんだ、これは!!」と衝撃を受けたことを40年以上経った今でも鮮明に憶えている。

特に最終話は感動で胸がいっぱいになり、ひとり夜中に布団の中で涙した。

僕はこれまでに、これ以上感情を激しく揺り動かされた漫画に出会ったことが、未だにない。

それほどまでに僕にとっては衝撃的だった。

 

「男おいどん」の主人公、大山昇太は松本さん自身であり分身だ。

だから読んでいても彼の命の鼓動を感じるのだ。

そして僕も大山昇太に自身を重ね合わせ、同じように心が同調するのである。

 

「男おいどん」はペーソス満載の悲恋ストーリー。

感情移入できる人にはできるが、できない人にはできない個人差の大きい物語ではある。

ただ、僕はどうしてもこの漫画を他人にも読ませたくて、当時のクラスのいろんな人に勧めた。

大概の人からは無視されたけれども、「すごく良かった」と言ってくれる人もいて「おいどんつながり」の友人も何人かできた。

当時文芸部にも所属していた僕はSF小説なんかを執筆していたが、作品のタイトル「轍」は文芸誌のタイトル兼表紙にもなった。

このタイトルの「轍」とは即ち、松本先生が描いた漫画「ワダチ」から頂いたものである。

 

SF小説を書くにあたっては、当時人気だった米TVシリーズの「スタートレック」に出てくる「ワープ航法」とは理論的に可能なのかどうかを検証したくて、受験勉強そっちのけでアインシュタインの相対性理論なんかを独学で研究したりしていた。

 

「男おいどん」から「ワダチ」へと松本先生の世界は宇宙へと広がってゆき、やがて「銀河鉄道999」「宇宙戦艦ヤマト」などの宇宙を舞台とした人気作品へと変わっていった。

 

でも僕は「銀河鉄道999」も「宇宙戦艦ヤマト」も好きではない。

世間に名が知られ人気が出てくる前の、人間臭さがぷんぷん臭う作品が好きだ。

人気漫画家ともなると、どうしても商業主義に引っ張られてしまう。

売れる前の必死にもがいていたころの松本作品が大好きだった。 

「セクサロイド」「ミステリー・イヴ」「パニック・ワールド」「インセクト」などをよく好んで読んだものだ。

 

ところで、ここまで書いていて大山昇太(おおやま のぼった)を知っている人はどれほどいるのだろうか、と気になった。

「男おいどん」は松本零士先生の漫画の原点であり、すべてである。

それは読んでみれば誰もが納得すると思う。

是非おススメしたい。

 

僕の青春は「男おいどん」とともにあり、大山昇太は今でも僕の中で歳を取ることもなく元気に生き続けている。

トリさんもサルマタケも相変わらず健在なのだ。

 

松本零士先生、素晴らしい青春をありがとうございました。

ご冥福をお祈り申し上げます。