シベリアの夜長を古代史に夢を馳せて〜その485〜 |  アンドロゴス生涯学習研究所

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今日は火曜日、コーヒーの話の続きをやりましょう。

トルココーヒーの話に入る前に、
前回、焙煎度合いの表を貼りましたが、今度はコーヒー豆の挽き方の表を見ていただきます。

 

コーヒー豆の粉砕と粒状性
抽出方式 粒状性
1 トルココーヒー 粉末(75μm~125μm)
2 エスプレッソ 極細挽き
3 モカポット 細挽き
4 ペーパーフィルタ 中挽き
5 メタルフィルター 中挽き
6 サイフォン 粗挽き
7 フレンチプレス 粗挽き
8 コールドブリュー 粗挽き


一般に、コーヒー豆を挽くときには、使用する器具によって、粗さを合わせることになっています。
これは、その器具の抽出原理に依るものなのです。

前回、私の経験が、粗挽きから細挽きに移って言った話をしましたが、私は、それぞれの挽き方を学んで行ったわけです。
コーヒー豆を挽く装置は広くは「ミル」と呼ばれてきましたが、現在では臼歯で粉砕するものを指すようになっており、粉砕装置を全般的には「グラインダー」と呼ぶようになりました。
また、臼歯の作用点を鋭利な刃物に置き換えた物を「グラニュレータ」または「カットミル」と呼び、方式を区別しています。
グラニュレータは、粒状性の揃った結果になり、微粉末の混入が少ないのが特徴で、かつ作用点の発熱が少ないため、豆が加熱されることが少なく、挽いたコーヒー粉が劣化しにくくなっています。

単純なミルでは回転部分の軸を駆動するのに、人力で、手で回す家庭用の器具と、専門家が使う動力付きのものがあります。
また、簡単な仕掛として、小型モーターに、鋭利な歯の無いバーを付けたものを用いて、衝撃力で粉砕するものもあります。
これは軽便なので、スイッチを押している時間に比例して細かくなり、粗挽きにしようと思っても、微粉末の混入は避けられません。
また、バーはかなりの速度で回転しますので、細いパウダー状に挽こうとすると、遠心力で張り付いて、ドーナツ状に固まってしまい、ときどき崩してやらねばならないのです。


これは武骨なデザインのイギリス製、スポングNo1ミル、コーヒー通(つう)が泣いて嬉こぶ定番のベストセラーです。
特に、粗挽きに威力を発揮し、微粉末の少ないコーヒー粉を提供します。
ただし、使い勝手には難があり、下の空間に付属のお皿をセットして使うのですが、ハンドルの回転にともない、振動がつたわり、豆が挽き上がったころに、外れて落下して、骨折り損という悲劇が待っていたりもするのですが、コーヒー通はそんなことはお構いもなく、絶賛しているのです☆滑り止めくらい付いていてもよさそうなものですが、21世紀になっても、デザインが変更されることも無いのがイギリスなのでしょうか。
(イギリスのコーヒーは無条件に不味で、イギリス文化を継承した香港のコーヒーも世界一不味です。)


これはトルコの器具、ジェズベ(CEZVE)、イブリック(IBRIK)とも。
純銅製で、内側は錫引きしてあります。

この、cezveはトルコ語でまちがいないでしょうが、ibrikはギリシャ語だともいわれています。
つまり、イギリスだとか、ヤン・ウェンリーは、紅茶の文化であり、英語表現を避けるのが、コーヒーの理解に到達しやすいと思われます。

昔々、エチオピアの、モンク僧が野生のヤギが赤い実を食べて興奮して暴れていたのを見て、これは薬になる、と考えたのがコーヒー文化のはじまりだとか。
そして、文明の交差点である、トルコのイスタンブールに伝わり、そこで多様な文化へと開花していったのでしょう。
さて、アマゾンで注文したジェズベが、イスタンブールからドロップシッピングで届いたのです。
その梱包を解くと、中にサンプルのコーヒー粉6gのパックがひとつだけ入っていました。
これは「トルコではこんなコーヒーが好まれています」というメッセージだなと確信し、開封すると、なんと浅煎り細挽きなのです。
ふーん、トルコではこれが標準なのかぁ、と思い、試してみましたが、なるほど、標準、とか思っただけで、理解するには至りませんでした。

さて、トルココーヒーの淹れ方ですが、ジェズベにコーヒー粉6gと、水70cc、砂糖10gを入れて弱火にかけ、絶えずかき混ぜます。
砂糖は先に入れておかないと、出来上がったコーヒー液をかき混ぜるハメになります。

    砂糖の量の表現  
  トルコ語 読み 意味
1 ŞEKERLİ シェケルリ 砂糖入り(角砂糖2個)
2 ORTA ŞEKERLİ オルタ・シェケルリ 中位砂糖入り(角砂糖1個)
3 AZ ŞEKERLİ アズ・シェケルリ 少し砂糖入り(角砂糖半分)
4 SADE サーデ 砂糖無し
4 ŞEKERSİZ シェケルスィズ 砂糖無し



これも、木のスプーンが付属していたので、遠慮なく、ガシャガシャかき混ぜて、沸騰するのを待ちます。
金属スプーンだと、ジェズベの内側の錫引層(すずびきそう)が傷つくという配慮だと思います。
さて、沸騰したら、少し休ませて、表層のコーヒー液を1/3程デミタスカップに注ぎます。
再び、火に掛け、沸騰したら、1/2程を注ぎます。
最後に再度火に掛け、沸騰したら残りを全部注ぎます。
なんでも、豊かに泡立った泡が表面に浮いているのが良い状態なのだとか。
これで、完成、飲める温度になったら、少しずつ味わってください。
最後に残った粉々の部分は飲まないようにしましょう。

んー、粉々が舌にのこりますねー。
まあ、これがトルココーヒーなんでしょうね。
それで、舌に残らないくらいに挽いたら良いのかと思ってなるべく細かく挽くことにしました。
そこで、トルコからコーヒー粉を買ってみたのですが、日本の挽き方と大差無く、舌にのこるので、「これじゃダメだ」ってことで、さらに細かくしてみました。

イワタニのブレンダーは前述したように、ドーナツ状の微粉末塊ができますので、それも粉々にして、試してみました。
やはり、粒状性がそろわないので、ダメです。
試みに、出来たコーヒー液を茶漉しで濾してみたのですが、少し改善されたようです。
そこで、調子に乗って、少し時間を置いて、沈殿させて、上澄みを取るという作業を3回くりかえすと、事実上苦にならなくなりました。
これを「沈澄法(ちんちょうほう)」と名付け、一応の完成としました。(これ、スマートじゃなく、恥さらしでさえあります)

翌日、(すべての謎が解決することを願って)小田急沿線の某(ぼう)の店に行ってみることにしました。
その店はトルココーヒー専門と名乗っているのですが、単なる商業主義でダメダメでした。(武士の情けで店名は晒さない)

豊かに細い泡がたっぷり出ています。
しかし、一口飲むと、舌を刺すアルカリ臭が・・・あ、こいつ重曹入れやがった・・・マズイ!
なにごとも無かったように、店をでましたが、これは邪道の極地。
しかも、ザラザラ・・・

無論、トルコには炭酸水で入れるコーヒーもあるようですが、こんなに沢山の重曹をいれちゃダメです。
なにしろ、カルメ焼きのように微細な泡が大量に湧き上がってくるのですから。
ちょうど、油汚れを洗濯ソーダで中和するようなもので、帰ってから試してみましたが、完全に再現できます。
泡に拘泥(こうでい)するのは観光コーヒーですね。
こと、トルココーヒーに関するかぎり、泡立ちと舌触りは二律背反となります。(ぺっぺっ)

ロクム(ターキッシュディライトなどと気取った名前で)という菓子を添えるということになっていますが、非常に種類が多く、東京ハラルマーケットで買えるとか。
わたしが試したのは翁飴(おきなあめ)を乾燥したようなものですが、色々あれば、それなりに楽しめるかも。

 

焙煎度合いは先週の記事を見て下さい。

さて、トルココーヒーの定義域と値域を書き出してみましょう。

 

  トルココーヒーとは    
器具 粒状性 焙煎度 砂糖の量
cezve(ジェズベ) 粉末(75μm〜125μm) 1〜8 1〜4


さらに、多種多様なロクムのバリエ・・・トルココーヒーとは「選択」だったのですね。

トルココーヒーを極めるには、スルターンになることです。
バリスタを集めて、自分の好みを告げて、マズかったら首斬っちゃえば良い☆
文句を言うと、ィエニチェリけしかけるぞ! ってなもんでしょうか。

トルコというのは夢のような世界なのですね。いまだに16世紀が息づいているのかもしれません。

最後に、セラミックグラインダーが届いたので、試してみました。(中華製の安物)


なんか、手が疲れるのと、すぐ壊れそう。

結局、茶漉しで濾すなら、メタルフィルターでいいじゃん、ってことになりますね。


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