シベリアの夜長を古代史に夢を馳せて ~ その3 ~ |  アンドロゴス生涯学習研究所

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■ホツマ文字と古代日本語を学ぶ

 

前稿ではホツマツタヱ奉呈文をお見せしました。
以下に示すのは「ミカサフミ」と呼ばれる文書です。
「ホツマツタヱ」同様、ホツマ文字(伊予文字ともいわれる)によって書かれた五七調の長歌です。

 

 

 

ミカサフミ奉呈文(冒頭部分)

 

 

 

 

図中のふりがなに注目して、まず「を」と「お」の使い方が逆なので、エキセントリックなイメージを持たれるでしょう。
また、古語文法に照らすと、なんとなく読み下せると思われるでしょう。
初めてヲシテ文字を見る人でも、古語文法と短歌を知っていれば、おそらく、以下のように読むかと思われます。

 

 

 

国摩が述ぶ

神が代の とほこ(戈?)の道も
やや盛ふ 枯れを治さむる
山と竹 神に返さの
遺し文 君は御畑を
初めませは 臣も三笠の
文をそむ 大田田根子も
秀真文 そめ捧ぐれば
三種宣り 備ふ宝と
詔勅 しかれど神代
今の代と 言葉違えば
道逆る これ諸家の
伝え文 今の手爾波に
なぞらえて 形と技と
その味を とくと得ざれは
陸奥を 行き違うかと
恐るのみ也

 
身の回りの辞書などから語句をひろってみましょうう。

 

 

くになづ=国摩真人(クニナヅマヒト)・・・柳生流や塚原卜伝の先祖とか云われる仁徳天皇時代の武術家かな?
おおたたねこ=大田田根子・・・三輪氏の祖、大物主神の子
ほつまふみ=秀真文・・・神代文字で書かれた文書・・・国学者落合直澄の認めたイロハニホヘトの順に並べた48の表音文字
てには=手爾波・・・テニオハの事
みちさかる=道逆る・・・神の道に逆らうという意味で神武記にある

 

 

等など。

 

 

しかし、それこそが、ヲシテ偽書説を唱える人の思うツボなのです。

 

 

では、平安文法でも充分解釈できるかもしれないが、コンテンツに忠実に考えるとどうなるでしょうか。

 

 

上代の トの教えと鉾になぞらえた治世の道も少し異ってきました。
枯れを修復するヤマトタケが崩御されたときの遺された文があるので、君が御旗を染めるのであれば、臣である私、クニナズもミカサフミを染め、 ヲオタタネコもホツマフミを染めて捧げれば、三種の法を備えた宝と詔勅がそろうことになります。
しかし上代と今の代は言葉も違うので教えと違ってしまうかもしれません。
ホツマフミの伝承家が、今のテニオハで解釈して、考えかたと意味を 正しく知らなければ、ミチノク(道の奥と陸奥との掛詞)で迷うようなことになることを恐れるのです。

 

 

 

どーかしら、わし、弟子じゃないけど、まだ池田先生に「ぜんぜんダメっ!」怒られそうだなwww
この程度なら平安文法でも80%は読めるんだけど、

 

 

 

 
ここで、解説のためにヲシテ時代のトリビアを少し;

 

 

カレ=枯れ; 力を消耗した状態、ケガレなどのように用いる。 ケガレは、饌、朝餉、夕餉などの食事をしないで栄養が不足した状態あらわす、とか。後世では転じて食料の得られない状態→汚れた状態と変化する。
いわゆる穢れはオエと呼ぶと思われる。

 

 

カミ=流れの上流、ここではアモトすなわち宇宙の根源。アモトから下されるタマとクニタマ(地球)にあるシイが合わさってタマシイを構成し、それが肉体と結びついてイクラ・ムワタとなり、人間になると考えられていたようだ。
池田先生はイクラ・ムワタを直訳で五臓・六腑と訳してはならない、とたしなめています。
人が死ぬことをカミアガルと言います。タマとシイのタマノオ(魂の緒という訳はかなり近いですね)を解かれてシイはクニタマに、タマはアモトに還るわけですが、うまくタマノオが解かれないと魂魄とどまって災いをなすと考えられていたようです。

 

 

ミハタ=御旗; 12代景行天皇の子、ヤマトタケが、当時まつろわなくなった東国を平定した折に用いた大義の意味か?
ハタ=機織のハタとの掛詞かもしれない。旗は布で造られるので。
ソム=染める;布に字を書いていたと思われ、染めるという概念と重なる。

 

 

トミ=臣; 当時の日本はキミ、トミ、タミの3つの階級で成り立っていたようだ。
当時は徹底した臣主主義の社会であったようで、キミ=君は高い権威を持った指導者であり、トミ=臣は強い権力をもち、経済主体としてのタミ=民は一切の権力を持たなかったと考えられる。
大宇宙=タカマになぞらえた、タカマノハラというトミの会議の場がもうけられていた。

 

 

ヲオタタネコ=意富多多泥古; 古い多氏(九州、畿内に長く続く氏族で「太」「大」「意富」「飯富」「於保」とも表される)で大三輪氏の祖でありホツマツタヱの編纂者であり、オオモノヌシ(役職名)=大物主の一人。
モノは軍事を表し、後世、兵の字で表され、つはもの=強兵のように熟してしまっている。同様に、もののふ=モノの府=武士となるので、モノヌシは侍大将、オオモノヌシは軍務尚書のようなものか。(銀河英雄伝説のオーベルシュタインみたいな?)
モノは時代が下れば部のひとつになり、物部氏のような使われ方をするようになる。
武術についてはカナテとよばれていたようだ。
同様に、(狩猟用でなく)武器としての弓を表すカナユミという言葉もあるようだ。

 

 

次はヲシテフォントのコード表を兼ねて、一文字辞書のひながたをアップする予定です。