シベリアの夜長を古代史に夢を馳せて ~ その2 ~ |  アンドロゴス生涯学習研究所

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■日本神話vs日本史

 

まず、ヲシテ研究の現状についてお話ししましょう。

 

 

現存するヲシテ文献は以下の通りです。
これらの文献を引用する場合は、もっぱらこの略称記号が用いられます。

 

 

ホツマツタヱ
完本 略称 所蔵
和仁估安聡本 安 滋賀県安曇川町西万木所在
小笠原長弘本 弘 宇和島市・小笠原長恭氏蔵
小笠原長武本 武 奉呈文・1~16アヤ、松本善之助先生から池田満へ贈らる
17~40アヤ、宇和島市・小笠原長明氏蔵
内閣文庫本 内 内閣文庫蔵(小笠原長武写本)

 

 

ミカサフミ
残簡本 略称 書名・所蔵
和仁估安聡本 ミ 『神戴山書紀(ミカサフミ)』滋賀県高島町、野々村直大氏蔵・8アヤ分
溥泉 ト 『神嶺山傅伝記歳中行事紋(ミカサフミ・トシウチニナスコトノアヤ)』龍谷大学蔵

 

 

フトマニ
完本 略称 書名・所蔵
野々村立蔵本 フ 『神敕基兆傅太占書紀(フトマニ)』野々村直大氏蔵
小笠原長武本 フ 『神敕基兆傅太占書紀(フトマニ)』小笠原長明氏蔵

 

 

ヲシテ文献残簡本・引用本
写本者等 略称 書名・所蔵
和仁估安聡 表 野々村直大氏蔵残簡本の表(『ホツマツタヱ』34・35アヤ
〃 裏 野々村直大氏蔵残簡本の裏
溥泉 朝 『朝日神紀』龍谷大学蔵
〃 春草・春刊 『春日山紀』(草稿本)龍谷大学蔵 『春日山紀』(安永八年 一七七九年刊)
〃 明 『神明帰仏編』龍谷大学蔵
小笠原通当 神 『神代巻秀真政伝』内閣文庫蔵

 

 

池田満著 展望社刊 『ホツマ辞典』より引用
 
龍谷大はなかなか優れた史料をお持ちですな。

 

 

ちょっと前に流行った8母音説についてはかなり狭い研究とかで、ワクチン万能説と同様、多くの人が擬似科学に騙されてしまったようで、他にも、原田常治氏に類する無茶な批判があるのですが、本稿ではふれないことにします。(興味がありましたら検索するだけで、間違っても本を買わないほうがいいかも)

 

 

ここでは池田満氏と鳥居礼氏に限定して考えてみましょう。

 

 

■ 秀真伝とホツマツタヱ
ホツマツタヱの翻訳者に鳥居礼という方がいらっしゃいます。
この方はホツマツタヱの現代語訳「秀真伝」を刊行されています。(底本は小笠原本か?)
池田先生がホツマツタヱを叙事詩として捉えているのに対して、この鳥居氏はホツマツタヱを古事記に類似した神話として書いたようです。

 

 

すなわち、歴史ホツマと神話ホツマというわけですね。
実際、秀真伝はかなりの人に読まれており、神話として愛されているようです。

 

 

 

■ 古代の指導者としての天皇
コンテンツに関して、ヲシテ文献に出てくる人物に、ワカヒメとアマテルカミの姉弟がいます。
池田先生は(私もですが)アマテルカミを古代の天皇としてとらえていますので、その事跡と思想に特化して、すべてを「尊い尊い」と手放しで讃えており、若い層には受けがイマイチなのかもしれません。
一方、鳥居氏は神道で女神であったアマテラスを男性神としたことでスーパーヒーローとしての感覚が若い人に受けたと考えられます。
昨今、若年層の短歌人口が増えており、今後、ワカヒメのファンも増えてくると考えられます。

 

 

 

 

■ 大陸文明の影響
「てげてげ」で有名な飯山一郎先生(我らシベリア移住組の先達)の云われるような天智天皇と天武天皇、すなわち大化の改新の時期における日本の歴史に対する大陸の干渉は無視できないものです。

 

 

 

ここで池田先生は鳥居氏の訳は漢字渡来以降の知識で翻訳されており、漢字にとらわれた完全な誤訳だとして批難しています。
さらに、池田先生は古語の完全な意味が解読できていないので完訳本を出さないとしています。
誰もが日本の古代について興味を持って欲しいというわりには無理のある説明ですね。
「仮訳」なら外務省だっていつも出してるし(ぉぃぉぃ)

 

 

私も、完全に意味がわからないなら出さないほうが良いというのはわからなくもないですが、それによって池田先生の実績が批難されることはないのですし、現在、ここまでわかっている、という姿勢が欲しいですね。
インターネットで検索すると、池田先生の書かれた日本ヲシテ研究所の「ヲシテ文献 大意」というPDFの文書が見つかります。
と、書いたのですが、現在見られなくなっています。
まあ、この文書自体、平たい日本語というには無理があり、大意をつかむのは無理かもしれないので、まあいいかな。

 

 

■ 神道は古代政体の劣化コピー
現代でも神道は人気があり、折節にふれて神社に参拝するひとは多いのですが、歴史に興味を持つ人は老人が多く、保守的なため、アマテルカミが男性か女性かに無関係に、これまでのアマテラスの岩戸がくれのような女性的行動を支持するようです。(両者いたみわけ?)
近年のスピリチュアルブームでも神社の社伝を歴史的に考察するよりはその神社にまつわるお話のほうが人気があるのはまあ、当然といえば当然なのですが・・・
ごく最近気づいたことですが、東京西部の八王子の語源はクニトコタチの8人の王子であることは知っていましたが、近江に八王子山というのがあり、その東国版が八王子市にあり、その父が牛頭天王であることは衝撃的でした。
つまり神道で出自不明といわれていた牛頭天王は古代日本の建国の祖クニトコタチだったという可能性が出てきたわけです。

 

 

というわけで、私はどちらも認めるというのが結論です。
とある筋の話では、鳥居氏も松本先生の一門だったとか。(なーんだ、近親憎悪かぁ)

 

 

重ねて申し上げますが、私は池田先生を尊敬しており、先生の研究自体は尊く、批難されるものではないのですが、世の中、真実の歴史よりは華麗にまとめられた神話のほうが愛されるのは当然のことなのです。

 

 

前置きが長くなりましたが、図象を見ていただきましょう。
これはホツマツタヱ奉呈文の最初の部分です。
ホツマ文字は一字一音ですから日本人ならふりがなを見れば読めてしまいます。(でも、内容は?それは次稿で)

 

 

ホツマツタヱ奉呈文(冒頭部分)

 

 

 

次の記事ではミカサフミ奉呈文を紹介します。

 

 

 

■ 私の作成したヲシテのフォント(TTミカサ01)を公開します、また、五七調の長歌を表現するための縦書き表示用CSSも添付します。
残念なことに、このブログでは完成されたHTMLファイルを掲載することができないようです。
当該ファイルをダウンロードしてからPCにフォントをインストールしてください。
サンプルのHTMLファイルはフォントがインストールされていれば、クリックするだけでブラウザが起動されて「ミカサフミ奉呈文」を表示します。

 

 

また、ウィンドウズではうまく表示できるのですが、Linuxmintでは表示が乱れてうまくルビが表示できません。
Firefoxの問題かもしれません。
どなたか知恵をお貸しください。

 

 

 

 

文字配列は池田先生の「縄文文字ヲシテA」のコード配列に合わせてありますが、私のフォントには、池田先生のフォントにあるような半濁点やロゴは存在していません。
文字フォントのグリフ(字面)はパターンと運動エネルギーが合成された状態で表現されますが、「ミカサ01」のグリフは「縄文文字ヲシテA」よりも運動エネルギーが少ない(パワースペクトルをとった時の偏りが少ない)ものをめざしていますが完成度は低くなっています。
当然の帰結ですが、「を」の図象では線幅が太くなると字画がつぶれてしまって判読できなくなりますので、太字で丸ゴシックのようなフォントはデザインしずらくなります。
結果的に、私のフォントは「カッコ良くない」ので、カッコ良いフォントが欲しい方は日本ヲシテ研究所のサイトをチェックされるのが良いと思われます。

 

 

当該ファイルをダウンロードしてからPCにフォントをインストールしてください。
サンプルのHTMLファイルはフォントがインストールされていれば、クリックするだけでブラウザが起動されて「ミカサフミ奉呈文」を表示します。
同一パスに縦書き用CSSファイルが置いてないと横書きのかな漢字カタカナ混じりで表示されてしまいます。
HTMLファイルはブラウザのアイコンにドラッグアンドドロップしても同じ結果になります。
例によって、まったくのオリジナルなので、一般の使用はもちろん、商業使用、改変、再配布も自由に行なってかまいません。
フォント名を指定すればワードやエクセル等でも使うことができます。