この記事は2001年4月に書いたものです。
小銭をとられたりかばんをとられたりは日常茶飯事の国だそうなので、私も遅かれ早かれそのうち洗礼をうけることにはなるとは思うけど、満員のバスは危ない、ほとんど誰も乗ってないバスも危ない、タクシーはどこかに連れて行かれるかもしれない・・・と言われてしまうとちょっと通勤が大変です。
リマに電車も地下鉄もないことは前にも報告しましたが、こっちの主な交通手段はバス。
大型のバス(ミクロ)とハイエースクラスのバス(コンビ)の二種類。バスの車体に行き先と番号が書いてあるので、自分の乗りたいバスが来たらタクシーのように手をあげて乗ります。バス停留所もあるんだけど、どこでも止まってくれます。私が愛用しているのはコンビ。
ちなみにコンビもミクロも距離に関係なく一回1ソル、こどもはその30%の30センティモ。大学生は50センティモ。日曜日は120%値段があがります。タクシーで会社までは空いていれば10分でだいたい5ソル。交渉制でメーターはないのでたまにラッキーだと4ソル。渋滞するとがんがんメーターがあがっていく日本のタクシーにくらべて良心的だけど、小銭をもっていないと、お金をくずすために途中でガソリンスタンドに寄ってガソリンをいれることもよくあります。
5ソルって日本円にすれば200円しないんだけど、タクシーがバスの5倍という比率は日本と約いっしょなので、やっぱり贅沢なんだなと思って、なるべくコンビを使っています。たまに近いから50センティモね、と勝手に値段を決めてお金を払ってる人もいます。そういう私も小銭がなくて90センティモに負けてもらったことがあります。
私の家から乗り換えなしでの会社までのルートはマイナーなので、コンビの台数が少ない上に、サイズもほかのコンビより一回り小さい。あのハイエースタイプのワゴン車には、私も、旅館のお迎えやダイビングの船着場に行くときなどお世話になったことはあるし、工事現場のバイトなんかは、あれで職人さんたちといっしょに現場まで行ったことのある人もいるかな?(なんで知ってるんだよー そんなこと?)と思いますが、あの、横にガラガラーっとやるドアは、重くてなかなか開け閉めが大変だということは皆様ご存知でしょう。コンビはそのドアの窓から箱乗りというか身を乗り出して車掌さんが行き先を叫んでいて、人の乗り降りがあればそのドアを思いっきり開けるので、あの重いドアが障子のようにすべっている。
幸い通勤の往路は、社長のセクレタリーが子どもを学校で降ろして会社に行く通り道なので、毎日ひろってもらっていますが、問題は帰り。5時半すぎると道も渋滞、コンビの中も大混雑で、空いてれば車で10分で着く距離に1時間近くかかってしまう。
神奈川方面にお住まいの方だと日曜日の5時過ぎの134号線・・・東京方面にお住まいの方だと箱崎まで首都高で行ってはまってしまったとき、あるいは渋谷にもうすぐ着くのにー・・・なんで進まないんだよー・・・という、あの246の三軒茶屋あたりの混み具合、のような感じです。それでもって信号待ちだろうとそうじゃなかろうと停止中はほぼ全車がクラクションを鳴らし続けている状態。仕事の疲れにプラスして疲れ倍増。
その間を例の売り子さんたちが車との進行方向と反対に物を売っている。
アイスキャンデーを家で作るための深い棒つきの製氷皿や、世界地図、36色のサインペン等、ちょっぴり欲しくなるようなものも売っていますが、この間笑わせてもらったのは縄跳び! 信号待ちで停止中の車の間を縄跳びを跳びながら走ってる売り子の人がいた!マラソン選手のような体系の人だったので、なにかのトレーニングも兼ねているのでしょうか・・・縄跳びはいまのところまだその一度しか目撃していません。
そんなことで会社を出るのが5時半すぎた場合は(早すぎー!と怒られそうですが、会社の始業時間はなんと8時。実働8時間働いても5時なのです。ちなみに残業代は出ません。)ボーイフレンドにお迎えにきてもらうか、おじいちゃんか善人顔の運ちゃんを選んでタクシーに乗るかのどちらかなのですが、社長に誘拐事件のほとぼりが冷めるまでは日本人とは名乗らないように言われていたことなど思い出し、外人とばれたときには中国人のふりをしています。こっちのタクシーの運ちゃんは、年取っていれば年取っているほどお話好きなので、昨日海に行った話とか、選挙には誰に投票するかとか、ダイエットって明日から始めるって毎日言ってて結局できないよねー・・・とか、てきとうに話を合わせてペルー人のふりをしています。ペルーにはここで生まれ育った日系、中国系、韓国系も沢山いるので、アジア系ペルー人のふりをしてればokです。 最近は昼休みに仕入れたネタで選挙がらみの冗談などを言って、運ちゃんを笑わせすぎて、誘拐より交通事故のほうが心配になっているほどのよゆーです。
この間、奥さんと離婚して下は11歳から上は20歳までの5人の子ども全員といっしょに住んでいるというタクシーの運転手さんに遭遇しました。白髪とハゲでちょっとおじいちゃんに見えたけどたぶん50代。前は他の仕事をしていたとのこと。ペルーでは不景気のあおりで脱サラや商売をたたんだでタクシーをやっている人が多く、中にはドクターなんかもいるのですが、風貌や話し方から想像するに、この人もかなりいい地位にいた人だと思われます。彼はまったく悲壮感がなく、“子ども5人で働いてるのは私だけ。だからいっぱい働かなくちゃいけないんだよねー でも子どもたちとの生活はとても素晴らしいよ”と幸せそうに言っていました。
その運転手さんに出会った日、だから私はこの国が好きなんだなー・・・と思いました。
続く