美しき再会 8 | cocktail-lover

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ベルばらが好きで、好きで、色んな絵を描いています。pixivというサイトで鳩サブレの名前で絵を描いています。。遊びにきてください。

  甘い戸惑い~

 

 アンドレに初めて会った日の夕方、オスカルは頬を上気させて、

自分の部屋に戻るや否や、鍵をかけ、ソファに沈み込んだ。

「出会ったばかりの男性に、ハグされてしまった。」

そして、オスカルの胸は喜びでドキドキと高まっていた。

 昼間、すっかりと意気投合した二人はBuonoでイタ飯を堪能し、

腹ごなしにオスカルはお気に入りの薔薇園がある公園にアンドレを誘った。

「あ~あ、気持ちがいい。ここはいつ来ても美しい薔薇が咲き誇っているんだ。」オスカルはう~んと背伸びをして、香しい薔薇の香りを胸いっぱいに吸い込んだ。

「本当だね。保育園の園児達を運動させるためにここにはたまに連れてくるけど、薔薇園には来たことがなかったなあ。遊具がそろっている広場か、走り回れる芝生のあるところにばっかり来ていたよ。」

「この薔薇園を見ているとね、なんだか実家の庭を思い出すんだ。とても懐かしくって。」オスカルはそう言って、アンドレの腕に触れた。

「実家の庭に似ているの?ここが?すごいなあ。オスカルはすごく由緒正しい家のご令嬢なんだね。」アンドレはほうっとため息をついた。

「ち、違う!おじい様のそのまたひいひいおじい様だかが、とにかく

昔は貴族だった、というだけだ。私達は21世紀の共和国にいきているのだぞ?アンドレ、そんなことを言わないでくれ。」

「わかったよ、そんなにうろたえないで、オスカル。」アンドレはニッコリと笑った。「ごめん。もしかしていやな思いをさせてしまったかな?」彼は彼女の顔を覗き込んだ。

唇をかんで、しばらく黙っていたオスカルは重い口を開いた。

「さっき、出版関係の男と食事をしたっていう、話をしたの、覚えてる?」

「うん。」アンドレは何かを感じ取って、オスカルの言葉を待った。

「続きがあったんだ。食事が終わり、会計を済ませた彼は、私の腕を強引に引っ張って、エレベーターに乗った。レストランの上は

ホテルの客室だった。彼はホテルのルームキーをちらつかせていた・・・。」

「オスカル、それって・・・。」

「私は彼を思わず突き飛ばし、次の階で降りた。もちろん一人で、だ。その時私の背中に男の罵声があびせられた。

”先生、さすがにもと貴族のお嬢さまというのは、気位が高いものですなあ。”とね。私は自分の部屋に戻るなり、泣いた。」

その時、昨日の雨で土がぬかるんでいたのだろう、オスカルは危うく、転びそうになった。その瞬間、彼女はアンドレにしっかりと

抱きすくめられた。

「ア、アンドレ・・・・?」

「何も言わないで。しばらくこのままでいてくれ。俺自身、今

理性を取り戻そうとしている・・・。」アンドレはオスカルを抱きしめなおし、目を閉じて彼女に囁いた。その表情は、怒りと悲しみを

必死に抑えようとしているものだった。

 とまどいながらも、オスカルはじっとしていた。彼を拒もうと思えば、それもできた。でも、彼の胸はあまりにも暖かく、安らぎを与えてくれた。両方の目からつぅ・・・・と涙が流れた。そんな自分にオスカルは驚き、うろたえた。

 どれだけそうしていただろうか。二人は見つめあった。そして・・・

偶然とはいえ、今日あった男と女が抱き合ってしまった後というのは当然のことながら、照れくさくもあり、ばつが悪くもあり・・・

そんなわけで、オスカルとアンドレはその場から足早に離れ、今日のところはもう、帰ろうか、ということになった。

アンドレはオスカルを彼女のマンションの前まで送っていった。別れ際に彼は彼女に言った。「今度、保育園で絵本の朗読会をしようと考えてる。君の本を朗読するつもりだ。できたら来てほしい。また、連絡するよ。」そう言うと、彼女の額に唇を押し当て、

笑って駅の方に歩いて行った。途中、もう一度振り返り、笑いながら投げキッスをし、後は一直線に駅に向かっていった。

 オスカルは、彼にキスされた額にそっと自分の手をあててみた。

そして、その手を自分の唇にそっと触れさせた。彼女の頬が、

ほんのりと桜色に染まる。

 

 その夜、彼女は彼の暖かな笑い顔を思い浮かべ、なかなか寝付くことができなかった。

 

続く。

以前、絵葉書作った時の絵です。