緑衣の女(創元推理文庫)

 

アーナルデュル・インドリダソン
柳沢由実子

 

 

≪一行あらすじ≫

偶然見つかった一つの骨は、70年以上前の悲しい出来事を今に呼び覚ます鍵だった。

 

≪三行あらすじ≫

赤ん坊がしゃぶっていたのは人骨であった。その骨は、なぜ、いつそこに埋められることになったのか。捜査を進めるごとに様々な可能性が浮かび上がっては消えてゆく。一つの家族の無残な過去は、悲劇的な一つの終わりと、いくつかの傷を残して封印されていた。

 

暗い話であることに間違いはない。

邦訳分の2作目とのことで、キャラの背景などは、この一冊だけではあまりわからない。

文書の組み立て、訳文とも読みやすさに寄与している。

どこまでも救いのない話であり、あとがきにあるように作者にそういった意図があったにせよ、こういった描写をここまでの分量で書くのは、主役の娘の話と同様に、物語の進行に影響を与えていると思う。

話は上手い。これだけ暗い話を、一気に読ませるだけのものはある。

イヤミスの一種といってもいいのかどうか、ミステリという部分はそれほど濃くない。

カットバックが毎回入って、その中で過去の事件は時系列に沿って開示される。

 

≪参考にすべき点≫

リーダビリティの高さ。これがまず挙げられる。

派手な事件がバンバン起こるようなことはない。全ては過去に起こったものであり、それを読み解く鍵は徐々に与えられる。そのあたりの示し方は参考にすべき。

 

≪他山の石≫

ここまで暗い話で突き進むのは、相当に困難なことである。北欧というイメージを割り引いて、これを書いて受けるとは思えない。

しかし、割にコンテスト向きの話ではあるのかもしれない。そのあたりをどう勘案するのがいいか、書いてみないとわからない。