ローレンスブロック著
田口俊樹訳
 
≪一行あらすじ≫
アル中探偵がコールガールから受けた依頼は、いくつかの殺人の始まりだった。
 
≪三行あらすじ≫
元警官で無免許私立探偵のスカダーは、ヒモと別れたいというコールガールからの依頼を受ける。ヒモの男は教養ある穏やかな黒人で、その要求を受け入れてくれた。しかし女は無残に殺害され、容疑者と目されたその男から、スカダーは犯人探しの依頼を受けることになる。
 
それなりに古い本。(1988年刊)
三人称ハードボイルドで、チャンドラーとは少しタイプが違う。
ハードボイルドの定義はよくわかっていないが、まあ、こういうものをいうんだろうけれど、四分の一くらいはアル中と、人種差別と、アメリカ(ニューヨーク)の頽廃について書かれている。(三分の一くらいか?)
本作をミステリとしてみたら話の筋はそれほどアッと驚くというものではない。サイコが後の方で出てきてそいつが犯人、みたいな感じ。
スカダーの造形というか、ニューヨークという町を書いた小説だというか、そういう部分での作り込みは流石に上手いとは思う。
やや過剰気味ではあるが、雰囲気は十分にある。そのあたりがハードボイルドかなというところ。
訳文自体は流石に少し古い書き方かな。
 
≪参考にすべき部分≫
コールガールのヒモの、チャンスの造形がいい。
創作という部分では、主人公のスカダーより、チャンスのほうが取り込みたいキャラだと思う。
80年代の黒人像(ニューヨーク的な)からすれば、上手く外してあると思う。
一ページ目から最終ページまで、基本的に同じ雰囲気が維持されている。
 
≪他山の石≫
時代ということはあるのだろうが、今のご時世ではここまであからさまな差別意識設定はできない。少なくとも自主規制?が入る。
そう言った部分を共通理解として物語が構築されているので、そこを外すとかなり話としては弱くなるが、そこにある種のカタルシスを含ませてあるので、作りは難しい。