臨床心理士・公認心理師の川本恩です。
前回の「生きる力」についての記事の中で、正しく自己理解することや苦手のある自分も受容できることの大切さについて書かせていただきました。
自分の性格や得意不得意についての理解も大切ですが、
“自分の感情、気持ちの状態に気付き表現したり対応したりするスキル”も大切だと思っています。
今回はそのことについて、考えていることを書かせていただきますね。
相談業務に携わっていると、「感情のコントロールが苦手です」という相談を受けることも多いですし、
小中学生と感情についてのワークをしていると、意外と「感情語」が出てこず、表情絵を見て、
悔しがっている顔も、
悲しんでいる顔も、
怒っている顔も
どれも「嫌な気持ち」としか表現できないお子さんや、自分の体験と感情語を結び付けられないお子さんと出会うことが多いなと感じます。
また、私自身、第二子の産後(ホルモンバランスのせいでしょうか)イライラすることや、カッとなることが増え、「感情のコントロール」や「アンガーマネジメント」は自分のこととしても関心のあるテーマでした。
感情は自然に溢れ出てくるものなので、それをコントロールすることは、非常に難しいことですよね。
怒りを抑制する等できることもあると思いますが、「感情」でなく「行動」を変えたりコントロールできればよいのだと思っています。
ゲームに負けて「悔しい」「悲しい」といった「感情」を抱くこと自体は自然なことで、何も問題ありません。
ただ、その感情から友達を叩いたとか、ゲームを壊したとなれば、その「行動」が問題なわけです。
育児をしていると、つい「そんなに怒らないの!」「大丈夫、怖くないよ」と宥めたり慰めるつもりで、感情を否定してしまうことがありませんか。
子どもたちが抱いている感情を否定してしまうと、「怖がることはダメなんだ」「怒っちゃう自分はダメなんだ」と認識してしまいがちです。
私も母親として、心理士として、感情に共感的にありたいなと思っています。
また、自分の感情に気付き、言葉にできること、人や物を傷つけるような行動以外で発散することは、子どもにとっても、大人にとっても大切なスキルだと感じています。