ある白人女性と黒人男性の、飛行機内であったお話しです。
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南アフリカのヨハネスブルグからイギリスのロンドンに向かうブリティッシュ・エアウェイの機上でのこと。
混んだ機内のエコノミー席で、50歳ほどの白人女性が、黒人男性の隣に座ることになった。
彼女は、信じられない、とばかりに憤然と立ち上がると、その場でスチュワーデスを呼び出してこう言った。
「これはいったい何なの!」
「はい、お客さま、どういうことでしょう?」
スチュワーデスは彼女に丁寧に聞いた。
「見ればわかるでしょ? 私を黒人の横の席にしているのよ! こんな忌まわしい人の横に座るなんて、私は到底、承服できません。すぐにほかの席に変えてちょうだい!」
「お静かにお願いします」
スチュワーデスはこたえた。
「ただいま席があるかどうか確かめてまいりますので」
彼女はいったん引き、しばらくして戻ってきた。
「お客様、あいにくエコノミー席に空席がございません。機長にも相談しましたが、ビジネスクラスにも空きはないとのことでした。
ただ、ファーストクラスに一席だけ空きがございます」
その女性客は一瞬、安心したような顔を見せたが、スチュワーデスはそれに構わず話を続けた。
「私どもの会社では、エコノミーのお客様にファーストクラスへお移り願うことは滅多にいたしません。
けれども、状況を考えますと、こんな方の隣にお客様がお座りになるということは、言語道断であると、機長が申しております」
そして、彼女は、おもむろに黒人の紳士の方に向き直り、こう言った。
「お客さま。というわけですので、もしよろしければ、どうかお手荷物をおまとめください。ファーストクラスにお席をご用意してお待ちしております」
次の瞬間、ずっとこのやりとりに心を痛めていた周りの乗客が、一斉に立ち上がり、拍手喝采の音がそれに続いた。
だが、黒人紳士は落ち着いた声で、こう制したという。
「お気遣いありがとう。しかし、私はこの席で結構だ。横に誰が座っていたところで、私の誇り高い皮膚の色が汚れてしまうとでもいうのかね」
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このスチュワーデスさんと黒人男性のかっこよさに痺れます。
生きていれば、色んな事があります。
この男性のように、言われる筋合いの無いことや、誹謗中傷を受けることもあるかもしれません。
そんなとき、本当に大事なのは「自分を信じること」です。
それは決して頑固とは違うし、反省しないということでもない。
心の最後の砦の部分で、自分自身がしっかり自分を信じているか。
自分が良かれと思ってしたことが、相手に取ったら迷惑で怒られてしまったときとか、
勇気付けようと思ってかけた言葉が、相手にショックを与えてしまったときとか、
寝る間も惜しんでがんばって作った作品を一瞬でコケにされてしまったときとか、
そんなときこそ、他の誰でも無い、自分自身を信じ切るときですね♪
自分の事も信じていない人が、他人を信じることは出来ないといいます。
自分を信じるから「自信」が付き、自信がどんどん付いてくるから「誇り」を持てるようになるのでしょう。
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「魂が震える話」
発行人:けい