日本経済団体連合会第4代会長でありながら、
「メザシの土光さん」としても親しまれた“土光敏夫”氏の「座右の銘」のお話しです。
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一つだけ座右の銘をあげろといわれれば、躊躇なくこのことばをあげたい。
中国・商(殷)時代の湯王が言い出した言葉で、
「今日なら今日という日は、天地開闢(かいびゃく)以来はじめて訪れた日である。
それも貧乏人にも王様にも、みな平等にやってくる。
そんな大事な一日だから、もっとも有意義に過ごさなければならない。
そのためには、今日の行いは昨日より新しくよくなり、明日の行いは今日よりもさらに新しくよくなるように修養に心がけるべきである」
という意味。
湯王は、これを顔を洗う盤に彫り付け、毎朝、自戒したという。
神は万人に公平に1日24時間を与え給うた。
われわれは、明日の時間を今使うことはできないし、昨日の時間を今とりもどすすべもない。
ただ今日の時間を有効に使うことができるだけである。
毎日の24時間をどう使っていくか。
私は一日の決算は一日にやることを心がけている。
うまくゆかぬこともあるが、しくじることもある。
しくじれば、その日のうちに始末する。
昨日を悔やむこともしないし、明日を思いわずらうこともしない。
このことを積極的に言い表したのが「日新」だ。
昨日も明日もない、新たに今日という清浄無垢の日を迎える。
今日という一日に全力を傾ける。
今日一日を有意義に過ごす。
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「清貧と復興 土光敏夫 100の言葉」
出町 譲 著
文藝春秋より
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今日という日を迎えることが出来ているのは、今の時代を生きている僕らだけです。
ナポレオンもエジソンも、信長も家康も、どんなに偉大な人物でも、どれだけ富を集めた人でも、僕らが見る今日の太陽を拝むことはできません。
今日という日はそういう日です。
永遠と続くように思われる日々も、必ず終わる日が来ることだけは、生まれたときから決まっていました。
それでも、一日が24時間あるというのは公平であり平等です。
余命3年の宣告を受けた人が先に亡くなるとも限りません。
若者が長生きするとも限りません。
だとしたら、湯王やジョブズや武士のように、毎朝意識する時間をつくる必要があります。
僕らが生きるのは、昨日でも明日でもない。
今日という日、今という瞬間の連続でしか生きられない。
毎朝に取り入れたい習慣です。
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「魂が震える話」
発行人:けい