足跡の行方 | 作家 坂井あおのブログ

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    絶えず移動していく僕ら
      止まれない私たち

小説・シナリオ(ドラマ、映画、CM)・写真詩集作家、坂井あおの日々浮かんでは記憶の海に消えゆく思いを気ままに綴るブログです。

どんなに楽しかったことも、
感動して泣いたことも、
いつかは忘れちゃうんだろうな。

完全にわすれないまでも、
薄れていっちゃうんだろうな。


そう思うとたまらなくなる。

忘れたくないなぁって。


昔、失恋して、
苦しくて、悲しいときでさえ、
そう思っていた。

いつかは、こんなに好きな気持ちも
薄れて、忘れていくんだなって。

それが悲しいから、
最後にとことん悲しむことにしていた。
好きって気持ちを悲しめるのは、
きっといまだけだろうと。


で、実際、時がたち、
もうその時の好きという気持ちは
遠く薄れてしまった。

でも、ちゃんと悲しんで、
それから顔をあげたから?
スッキリといい思い出にはなったのかな。

いや、あまり思い出せない。

やはり、時間は恐ろしい。


今、共に歩んできた大切な人との
思い出さえ、
すべては覚えていない。

若い頃のふたりがどんなだったか。
何となくはおぼえているけど、
思いでは常に塗り替えられ、
今の相方が毎日を変えていく。

同じように、若い頃の私のことも、
相手はあまり覚えていないのは、
少し残念。


でも、今までの全部の思い出が
なんかぐちゃぐちゃに一緒になって、
それが今の二人を作っているのだと思えば、
まあ、それでいいのかな。

今の二人は、今だけのように見えて、
今までのすべてなんだから。


私自身も、きっと、
今までの感情が今の私を成り立たせている。



昨日、久しぶりの友達に会ったけど、
一瞬で、いつもの雰囲気になる。
それは、私達の今までの時間のなせる技なのだ。

それでもなお、
忘れていくことに抗うように、
大切なものを記憶に鮮明に留めたいと思う。

大事な思いを刻み込もう。


私はここにあるすべての感情とともに、
今、ここにいる。


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