ANCORAーアンコーラー -4ページ目

ドンジョヴァンニ(36)

そしてもう一方のアンナ。

オッターヴィオはもう何もかも忘れて結婚しようとプロポーズ。

だけどアンナはもう少しまってほしいとやんわり断ります。

僕からも言いましょう!
おい、オッターヴィオ!復讐はどうした!諦めたのか?それともお前はへたれなのか?

いやいや、そうじゃないんですよ。過ぎ去った日々を思い悩んでも仕方ないじゃないですか----それよりも、前を向いて歩いていくしかないんです。だって人間だもの!

でも、全くなんの役にもたってない君がいってはいかんのよ。オッターヴィオ君!もうちょっとなんか役に立とうぜ!

そんなわけでアンナの心は晴れることなく。でも果たして彼女の心に去来しているのは父の復讐なのか、それともジョヴァンニへのあの日の情熱なのか、失われた純潔への屈託なのか、それともただの不思議ちゃんなのか。

アンナは決して心の底を見せようとはしないのです。もしかしたら、ただオッターヴィオはなにも言わずに彼女を抱き締めてあげるだけでよかったのかもしれませんね。何万言の慰めより彼の胸の中で涙に頬を濡らすことが大事なことってあるよね。ねえ、みなさん----
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そして物語は急速に収束に向かうのでした。

ドンジョヴァンニ(35)

いやね、それは月の綺麗な夜のことだったんですけどね。

いつものようにご主人が無茶苦茶なことをして、そうだもうこれきり召し使いなんてやめてやろう!なんて思ってたら、なんだかゾクッとしてね。

なんだかおかしいなぁ、気持ち悪いなぁなんて思ってたら

『この不届きものめ』

なんて声がしてね。振り返ると誰もいないわけですよ。

それでまあおかしいなぁ、気持ち悪いなぁと思ってたらなんと、そこはご主人が殺した騎士長の墓地だったんですよ。

ご主人も負けず嫌いな方ですからね。しゃべれるんなら我が家で夕食なんかいかがかな?なんて言い出して---いや、言わされたのはあたしなんですけどね。

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ギギギギギなんて音が聞こえてね。そしたらなんとその騎士長の動くはずのない銅像が首を縦に降るわけですよ。いやいや、石垣できてるんだから首が動くわけない。いや、もしかしたら首のところが壊れてるのかなぁと思ったら、今度は『よろこんで!』なんてまるで居酒屋の店員みたいなことを言い出しましてね。

どうしようどうしよう。いや、これは逃げた方が身のためだなぁなんて思ってたら腰が抜けて立てなくなっちゃいまして、主人は食事の用意をするぞ!なんて帰ってしまうし。

まあ、そんなこわーい話があったんですよ。

ドンジョヴァンニ(34)

さて、一方のドンジョヴァンニはレポレロの姿でやりたい放題。今までのうっぷんを晴らすかのように女の尻を追い回しているうちに怪しげな場所に迷いこみます。

そこにジョヴァンニの姿をしたレポレロがやってきます。

殺されかけたレポレロはジョヴァンニに悪態をつきますが、機嫌のいいジョヴァンニは全く怒ることなくレポレロに告げます。

『さっきひっかけた女がいきなり私にレポレロ!って飛びついてきてな。これ幸いと頂いたらなんと誰だったと思う?』

さあ、誰かって?答えはレポレロの妻でした。遂に部下の嫁にまで手を出した人でなしに、殺されかけたこととの二重ショックで怒り心頭のレポレロ。その様子に更に爆笑するジョヴァンニ!

その狂った光景にさらにどこからともなく低い声が響き渡ります。

『貴様が笑ってられるのもこれまでだ』

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もはやそこはこの世の物とは思えない世界。そこに現れたのは死んだはずの(もはや忘れられた感もあった)長さん。ジョヴァンニの暴走に業を煮やして『ダメだこりゃ』と言わんばかりに現れたのでした。