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ドンジョヴァンニ(39)

地獄の重厚なテーマから一転なんともまの抜けた一行がジョヴァンニの邸宅にやってきます。

なんだか今にも躍りだしそうなメロディに乗って『悪いやつをやっつけるんだ!』とうたう姿はまるで桃太郎のおに退治の一行。

しかし、来てみたもののもぬけの殻。取り残されたレポレロが事情を話すと、みんな悪者の末路はこんなもんだとほっと一安心。

オッターヴィオはようやく結婚できると歓び、アンナは1年間は喪に服すという(誰の?)、エルヴィーラは修道院に戻り、マゼットとツェルリーナは家でおいしいシチューを食べる。レポレロは新しい主人を探しに旅に出て。これにて大団円と相成りましてございます!

さあ、どうですか、この違和感!なんか何かがほんとに解決したのか?って気分になりませんか?

これこそがフィガロの結婚からはじまりドンジョヴァンニまで一貫して流れる善悪定まらぬ事象の物語。貴族や寺院が権力を振りかざし善悪を決めていた時代に、それに対抗する市民。ベルサイユのバラに続いていく革命の萌芽こそがこの物語の核心なのかもしれません。

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本当は誰が正しく、誰が間違っていて、誰が救われ、誰が見捨てられ、誰が幸せを得て、誰が不幸になったのか?それはみたひとの数だけ答えがあるのかもしれません。

ドンジョヴァンニ(38)

現れたのはおばけの世界。死んだはずの騎士長が夕食って>>>


いやいや、確かに夕食に誘ったけどもマジで来るとかクウキ読めなくない?てかまじきもいんですけど!

とジョヴァンニが女子高生ならそんなのりで騎士長を迎えた彼。しかし、彼と握手した途端体が凍りつくような寒気に襲われます。

『さあ反省しろ!今ならまだ間に合うぞ』

警告する騎士長はまさに社会から通告。ここで並みの人間なら泣いて謝って許しをこい、情状酌量と相成るわけです。レポレロはまさに『旦那、反省しちゃいなさいよ』と懇願。

しかし、ジョヴァンニは一切の泣き言を言いません。言わないどころかむしろより強固に己の思いを叫びます。

『おれは反省するようなことをなにひとつしてない!おれを地獄に落とすというなら落とすがいい!地獄でだって同じことをしてやるわ!』

もはや悪の鑑。勧善懲悪を求められた時代、そして動乱の革命時代になにが善で何が悪なのか、その善悪定まらぬ物語を人々は求めたのかもしれません。

結果としてジョヴァンニは地獄へ落ちます。しかし、三人の女たちがそうであったように彼は我々の心に深い爪痕を残しただ立ち去っただけなのかもしれない。そんな予感を残しながら、不思議な感じのエンディングが始まります。

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次回いよいよラストです!
間に合った!

ドンジョヴァンニ(37)

さて、ジョヴァンニの屋敷では騎士長を迎えるための晩餐の準備が進みます。素晴らしい音楽と合成な食事、そしていならぶ美女たち。レポレロは指を加えてその様子をみています。

そんなときに扉を開けて飛び出したのはエルヴィーラ。

『私のことはどうでもいいから、どうか改心してちょうだい。これ以上悪事を重ねないでちょうだい』

なんていう浄瑠璃的展開!このまま二人が心中でもすればめでたしめでたし?ですが、そんなわけもなく

『改心?それはどんな食べ物ですかな?それがうまいものなら食べてみたいものだがあいにく私の大好物は女とうまいワインでね!なんならお前も私の女の一人に戻してやろうか!』みたいなね----
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ちなみにここに出てくるマルツィミーノってワインはまだ売ってるのでドンジョヴァンニになりたい方はぜひ1度お試しください!

これで男と泪が揃ったら今はなき川島英五も真っ青なんですけどね。まあ、この人でなしにいよいよ絶望するエルヴィーラが屋敷から飛び出したと思いきや、彼女の悲鳴。驚いたレポレロが様子を見に飛び出すと、今度はレポレロの悲鳴!

戻ってきたレポレロが行きを切らせながら

『旦那様、外に出ちゃ行けません。外にはしろーい銅像が足音立ててやってきましたよ----』