ANCORAーアンコーラー -25ページ目

第4・5・6景

バートリーが出て行った扉を見つめ・・・


モーリアは、息子が行ってしまった事をなげきます。


キャスリーンはそんな母をみつめながら、バートリーを行かせたのは母さんじゃないかと言わんばかりに、責めたてます。


どうして、祝福してあげられなかったのかと・・・


モーリアは放心状態になりながら、暖炉をかき回していると


キャスリーンがバートリーにパンを持たせるのを忘れたことに気づきます。


母に小言を言いつつも、パンをバートリーに渡しに行くように言います。


モーリアはしぶりながらも、ノーラから杖を受け取りバートリーに祝福を言いに出かけて行く。


母が出かけたのをみて、二人は例の包みを確認します。


包みを開こうとしますが、紐が海水で腐りなかなかほどけません。


紐をナイフで切り、ドネゴールがどれだけ遠いか改めて感じ、しんみりします。


ノーラが包みから出ている靴下をしげしげと見つめていると・・・


・・・・・・!!


大声で、マイケルの物だと叫ぶノーラ。


ノーラが、マイケルの為に編んだものでした・・・


網目は60にして、4つ落として編む・・・


この地方では、各家によって編み方が違うのです。


日本の家紋のように。


キャスリーンが網目を確認し、二人でマイケルの死を嘆きます・・・


あんなに立派な船乗りで、漁師だった人がこれっぽっちの古シャツと、靴下だけになってしまった・・・


そこに、モーリアの足音が・・・


二人は急いでシャツと靴下を隠し、バートリーが海に出ている間は何も知らない顔をしていようと約束します。


ノーラは、泣き顔がバレないように、ドアからは背を向け座り、キャスリーンは糸車を回す。


そこに、モーリアがゆっくりと入ってきます。


娘達には目もくれず、暖炉のそばのスツールに向かう。


手には、布に包んだパンを持ったまま・・・


バートリーにパンを渡さなかったのか?


バートリーが馬に乗って行くのをみたのか?


キャスリーンがいくら問いかけても、


モーリアは振り向きもせず泣きながら嘆きの歌を小声で歌うばかり。


質問に答えない母に苛立ちを隠せず


何を見たのか話すように問い詰めます。


やっと声を出した母は、弱々しく話し始めます。


世にも恐ろしいものを見てしまった・・・


その時、キャスリーンは窓の外にバートリーが雌馬に乗り緑岩を越え、灰色のポニーが後ろからついて行くのを見ます。


“灰色のポニー”


その言葉に大きく反応するモーリア。


何があったのか話してくれ!と頼む二人にモーリアは語り始めます。


井戸まで下りて、一人でお祈りをしている所にバートリーがやってきた。


赤い雌馬に乗って、後ろに灰色のポニーを引いて・・・


そこには・・・


マイケルの姿が・・・


キャスリーンがマイケルの遺体は北でみつかったんだからそんなはずない!と優しくいいます。


でも、モーリアは自分はみたんだ!とむきになり、


バートリーが見えて、「神様のお守りを」という言葉がのどにつかえて何も言えないでいる自分に


「神様のお守りで元気でな、母さん」


と言ってくれた・・・それでも、一言も言えなかった。


涙で何も見えなくなってしまったろくに物も見えなかった・・・


やっとの事で目をこらすと、そこには・・・


立派な服を着て、新しい靴を履いたマイケルの姿が・・・


それを聞いたキャスリーンは、その場に崩れてしまいました・・・

第1・2・3景

今日は、音を付けての立ち稽古!


読み合わせから始まり、音楽稽古、立ち稽古・・・


平面的だったものに、どんどん新しい命が吹き込まれいきます。


その過程は、すごく楽しいです。


では、前回の続きを書こうかと思います・・・


20歳ぐらいの娘キャスリーンが、パンの粉を練り終えて、暖炉のそばの丸いオーブンに入れる。


それから、手を拭い、糸車を回して紡ぎ始める。その時ノーラが戸口から顔をのぞかせます。


手には、若い神父さんから預かった包みが・・・


ノーラは、今開けてみる?と提案しますが、母が気がかりなキャスリーンに制止されます。


母の起きてくる気配を感じ、とりあえず包みを屋根裏の泥炭置き場に隠しておく事に。


隠している間に母が起きてきてしまい、キャスリーンはとっさに泥炭を投げ下ろし


バートリーの為にパンを焼いているから足りなくなったと、その場をきり抜けます。


バートリーは出かけないと信じている母に、それを神父さんが引き止めてくれず、他の人たちも


バートリーが出かけると言っていたのを知っていると告げるノーラ。


そこへ、バートリーが帰ってきます。


雌馬で浜へ行く為の手綱を取りにきたのです。


今夜の出船を逃すと後二週間は待たなければならない事がわかり、急いでいます。


そんなバートリーに向かって、マイケルの遺体が今週中には浜へ打ちあげられる。


その時に男手がなくて棺桶も作れないなんて、きつい評判が立つだろうと小言を言います。


モーリアは、また息子を失ってしまうかもしれない恐怖と、今までの思い、自然の力には逆らえないという


無力さを感じながら言葉をかけますが、バートリーは見向きもしません。


手綱を束ねながら、姉に自分がいない時の仕事を頼みます。


モーリアはそんなバートリーに皮肉を込めて一言放ちますが、


そんな母を尻目に、2・3日で戻るからと身支度をはじめるバートリー。


モーリアは強い口調で、息子の強情さを攻めます。


苛つく気持ちを抑えつつ、支度を終えたバートリーは手綱を持って浜へと行ってしまいました・・・















海へ騎りゆく者たち

今日の稽古も、発音の読み合わせから始まり、音楽稽古も先に進みました。


盛り上がれば盛り上がるほどに、複雑で壮大な音楽。


作曲家は、このオペラを作った時、一体どういう心境だったのでしょう?!


その次は、場面設定をして動きながら日本語の読み合わせをしました。


舞台は、アイルランド西海岸の離れ島。


その島の一つの、田舎家。


老婆のモーリアに、その娘のキャスリーンとノーラ、末息子のバートリー。


この島では、生きていくために男達は海へ出なければなりません。


しかし、海へ出るのには、きわめてシンプルでカヤックのような船のみ。


生きて帰ってくる者は・・・いないに等しいだろう。


モーリアには、愛する夫とその父親、そして息子が6人いた。


今、側に残っているのは、末息子のバートリーのみ。


息子マイケルは、海に出たきり9日間帰ってきていない。


毎晩遅くまでお祈りをし、


潮の流れが変われば浜へ出て、東の方からマイケルの遺体が流れてこないか見に行っている。


しっかり者で家を切り盛りする姉キャスリーン。


純心無垢で活動的な妹ノーラ。


ある日ノーラが、若い神父さんから包みを預かって帰ってきます。


その包みの中には、ドネゴールの浜に打ちあげられた遺体が着ていた、シャツと靴下が・・・


それが、マイケルの物か調べて欲しいと言われたのです。


そんな、背景からこのオペラは始まります。