北京僑園飯店で出会った、僕よりひとつふたつ年上の先輩バックパッカ―。
僕が上海に入ったのと同時期に香港から旅を始め、中国大陸を北上して北京に至る。
自称元コックであるが、今になって考えてみると、あれはコックというよりは、やはり本職?はバックパッカ―と言った方が真実に近いと思う。
オーストラリアでのワーキングホリデーの経験有り。
かなり流暢なジャパニース・イングリッシュを話す。
僕はシゲさんとの出会いがなかったら、おそらくあんなに手続きの面倒なモンゴルに行く事はなく、フェリーで天津から韓国へと渡っていたと思う。
彼のモンゴル行きへの情熱に引きずられるような感じで、僕らふたりは情報ゼロからモンゴル大使館参りを繰り返し、インビテーションを手に入れてモンゴルビザを取得した。
その後約ひと月、モンゴルを共に旅する。
シゲさんはいかにも自由を知っている感じの旅人で、いつも押し付けがましい所はひとつもなく、一緒に楽しく旅をする事が出来た。
別に説教じみた事は言われた憶えはないが、彼からは実に多くの事を学んだ気がする。
特に、
『 行きたいと本当に思っていれば何処にだっていけるものだ。 』
という実に単純な事実を体験できた事は、後の僕の旅に大きな影響を与えている。
約半年後の風の噂では、シゲさんは後にインドの地で彼女と合流し、バラナシにて沖縄民謡と葉っぱの日々を送っていたらしい。
その話を聞いたときには、ははあ、やっぱりああいう人には、そんな風にインドに呼べるような素敵なカノジョがいるのだ、と妙に納得しうらやましく思った。