#40 草原へ | かふぇ・あんちょび

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このカフェ、未だ現世には存在しません。

現在自家焙煎珈琲工房(ただの家の納屋ですけど…)を営む元バックパッカーが、

その実現化に向け、愛するネコの想い出と共に奔走中です。

 上海で延長した中国ビザであったが、またしてもあと10日で期限切れを迎えようとしていた。
行き当たりばったりで進路を決めてきたのだが、まあビザが切れそうになったら韓国か香港(当時はまだ英領)に出て再取得すればいいや、とは考えていた。

 しかしここに来て、モンゴルに行くというのも素敵な考えだと思えてきた。
なによりここ北京からシベリア鉄道に乗ればすぐである。

シベリア鉄道!

なんと旅情を掻き立てる響きであろうか。

僑園飯店にたむろする西洋人バックパッカ―の中には、この外国人に開かれて間もない草原の国を目指す者が少なくなかったのである。

 そしてなんとも都合のいい事に、僕は旅の道連れとなる日本人バックパッカ―とも、モンゴル語会話の基礎を教えてくれる日本人留学生とも程なくしてこの宿で出会うのであった。

 しかし、当時個人旅行者にとって、モンゴルビザの取得はそれほど簡単な手続きではなく、僕らは結構な努力を強いられる事となるのであるが…。