脚本家の秦健日子さんがこんな事を言っていた。
「しっかりと女性を描けるのは、女性だけだと思われているけれど、そんな事はない」
僕も秦さんの意見に大賛成です。でも、実際にテレビ局や映画会社のプロデューサーは、「男性作家は女性を書くのが下手だ」と思っている人も多いみたい。
確かに、男と女の感覚って違う。実際に身体についているものが違うんだから、感情の感覚も違くて当然ですよね。
だからこそ、僕のような男性で物語を作りたい人は、「女性をリアルに描く事」がとても大事だったりするし、プロになるためには必要な事なんです。
そこで、今日は、女性ならではの感覚ってやつを考えてみたい。
まず一つに、女性は男性とオシャレのポイントが違うような気がする(笑)
昔、僕が映像関係の専門学校に通っていた頃、講師の方に、こんなアドバイスを頂いた事があります。
「おまえらみたいな男は、当然、女性の下着を見ると、ムラッとしたり、エロい気持ちになるだろう?でも、女性にとって、下着ってのはオシャレの一つなんだよ!可愛いという感覚で女性は下着を見てるんだよ!そんな女性の感覚を大事にしないといけないよ!」
どんな状況で出て来たアドバイスだったかは忘れてしまったんですけど、確か、シナリオに女の主人公が洗濯物を干すシーンを書いて、そのシーンに書いてあったセリフを読んで、仰ったアドバイスだったと思います。
具体的なアドバイスではないので、どんなふうに活かしたらいいか解からなかったんだけど、印象的な言葉だったので、今でも覚えているんですよ
確かにそうだと思いませんか?男は下着を見て、可愛いと思いませんよね?(笑)
「これオシャレなトランクスだな?きっとこれ着たらウキウキした気分になるな、テヘ」とは思いませんよね?思ってたら気持ち悪い(笑)
でも、女性はその日の下着がどんなデザインのものなのかで、その日の気分が変わったりするんですよ!だから、若い女性のセリフを書く時に、「この下着、可愛いから買っちゃおうかな?」というセリフが成り立つわけなんです!
なので、僕が若い女性を主人公にしたドラマや物語を書いたとしますよね。
その主人公が女友達とデパートや下着売り場で、下着を買うというシーンを描いたとしたら、「うわ、これ、凄い可愛い!!」というセリフが一回ぐらい入って来ないと、ちょっと不自然に感じてしまうものになると思うんです!!
つまり、これが女性ならではの感覚を描くって事なんです。僕は男なので、うっかりするとストーリーを進めるためだけのセリフや芝居を描いてしまいがちになってしまう。
でも、ストーリーとは、関係のないところで、今書いたような女性しか言わないセリフを書いておくと、よりリアルな女性を描けるのではないか?と思います。
あと、僕はけっこうフェミニズムなところがあるので(笑)、女性を美化してしまうんですね。
もっと解かりやすく言うと、女性の嫌なところが書けないんです(笑)
シナリオを書いて、女友達に読んでもらうと、「こんなお姫様みたいな女はいないよ!」と、笑われることがあるので、そのへんは注意していきたいですね。
だから、学生の頃、荒井晴彦先生が書いた、「新宿乱れ街、いくまで待て」という脚本を読んだ時に、衝撃を受けたんです。
脚本の中に、「女なんて、大嫌い!!」というセリフがあったんです。このセリフ、女性に言わせているんです。
男が「女なんて嫌い」って言うのは解かるんだけど、女性が「女なんて、大嫌い」と言うのは、当時の僕の感覚には無かったんですよ!!
女性が女性に対して、「嫌いだ!!」と言った瞬間に、女性として生まれた性を感じることが出来る良いセリフだったと思うんです。
さすがは、荒井先生ですね、「新宿乱れ街、いくまで待て」のシナリオは、「月刊シナリオ」という雑誌の2007年、9月号に載っています。
興味のある方は読んでみてください。日活ロマンポルノ時代の荒井先生は、女性を描くのが上手いと言われ、伝説になっています。