さて、前回の記事は議論に感情や直感が出てきた時に、それを軽視しない方が良い、というお話でしたが、

 

 

 今回は実際に議論を紛糾させがちな感情が噴出してしまった時にフォーカスしてみようと思います。

 

 仕事や学術的なディベートを行う場合など、十分な準備期間が設けられている場合は、まず自分自身の主張をくまなく分析する事で、ある程度対策が出来ます。 

 

 更に言えば「これを突っ込まれると痛いな」という部分ほど念入りに詰めておいた方が良いです。 

 

 これは普通に会議やディベートの準備をする時に言われる事ではありますが、実は結構抜けがちなんですよね。 

 

 これも一種の脳の働きで、基本的に何かを主張したい時には、その主張の優位性ばかりに目が向いてしまいます。 

 

 その状態は逆に言えば悪い面へ向ける視点が無くなりつつあるともいえるので、かなり意識してフレームを変えなければ、ちょっとだけ対策を考えて安心するといった事になってしまいます。 

 

 そうすると、想定出来た筈の指摘で主張が揺さぶられる事があります。 

 

 雑談の延長での議論で水掛け論に発展するポイントはここです。 

 

 自分自身で触れられたくないな、と思っているポイントを指摘されると論理的な思考よりも怒りや不安の様な感情が先に立ってしまうのです。 

 

 これはかつて記事にした闘争か逃走反応が起きている、

 

 

言わば動物的な状態なので、人間的で建設的な話し合いはこの状態を脱してからでないと出来ません。 

 

 一番危険なのは、痛い所を探られて逆上してしまうと、相手が主張全体を受け入れなくなる可能性がある事です。 

 

 これも相手視点からすると防衛本能ですね。 

 

 議論している相手が論理的思考を欠いて逆上してしまうと、こちらも身を守るために闘争か逃走反応が起こり、一番安全な危険の排除法は距離を置く事、という判断になってしまうのです。 

 

 そうなると一つ一つの主張の正しさを考慮するよりも、その主張をしている人の全てを拒絶するのが最も早く簡単な対処法になってしまうのです。 

 

 カキに当たって後に魚介類全般を食べられなくなるようなものですね。 

 

 仕事上の会議や学術的なディベートなら、双方に「客観的に合理的な帰結を迎える」という共通認識が前提にある場合が多いので、軌道修正はしやすいのですが、雑談の延長上の議論では、こういった怒りが怒りを呼ぶ構図が起こりがちです。 

 

 特にTwitter等では日常茶飯事です(笑) 

 

 Twitter上の水掛け論なら相手との信頼もへったくれも基本は無いので、意見が合わなければブロックでも問題ないですが、それなりに信頼関係がある相手との議論で怒ってしまって距離を置かれるのは避けたいものです。 

 

 ではそういった水掛け論をどうやって防ぐのか。 

 

 まず、自分自身の怒りや不安の感情にアンテナを張るようにしてください。 

 

 議論していて少しでもそれらの感情が過ったなら話を中断し、その感情が何に由来するものか探りましょう。 

 

 何について引っ掛かったのかを見つける事が出来れば落とし所は見つけられます。 

 

 この時に大事なのは見栄を張ったり、変に「自分は冷静ですアピール」をしない事です。 

 

 これは、本当に気を付けた方が良いですよ。 

 

 この見栄を張るというのはいわば動物でいう所の威嚇ですし、冷静ですアピールは大概そこから相手の矛盾点をちくちくつついたり、相手の意見への不寛容に繋がります。 

 

 要するにこれも闘争か逃走反応なのです。 

 

 原因が分からずにただイラっとした事だけ分かる場合もあるでしょう。 

 

 そういった時は正直に「今のやりとりの中に原因が分からないけどイラっとする事があった」と相手に伝えた方が良いです。 

 

 大事なのはその苛立ちの原因をやりとりの中に求める事です。 

 

 まずこういう状態では原因を相手に求めやすいという事を念頭においてください。 

 

 相手に原因を求めると反発を食らいますが、やりとりの流れの中に原因を求めれば、相手からの協力も得る事が出来ます。 

 

 原因究明に時間が掛かりそうなら、途中までの分析を纏めて持ち帰りにする事にして、仕切り直すようにしましょう。 

 

 主観として持っておいた方が良いのは、原因を人という大きく複雑なゲシュタルトに求めない事、感情が出てきたらそれを外に出して(口に出して)熱を冷まして観察するという事です。 

 

 そして、相手が感情的になりそうな時、なってしまった時もただ「相手が冷静さを欠いた」で済まさない事が大切です。 

 

 他人の心の機微を察知する事の方が難しいのは確かですが、逆に相手が怒り始めたその中にその人が大切にしている要素が含まれているとも考えられます。 

 

 その要素はぼんやりしているからこそ、怒りという感情の発露が伴います。 

 

 そこで分析をしっかりすれば、相手の大切にしている事を尊重した上で解決策を模索する事も出来ます。 

 

 長々書きましたが物凄く端的に纏めると、 

 

 「感情が出てきたらそれを分解することで取り除くべき」という認識です。 

 

 雑談の延長の様な議論なら話のタネだと思って気兼ねなく時間を使ってしまいましょう。