真空管ラジオ『 コロムビア COLUMBIA 1510 』の修復 - Part.16 | アナログ三昧、そして時々ディジタルな日々
このPart.16では、Part.7で取り外した音質調節ディスプレーと選局ダイヤル
関連のメカを復元します。

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音質調節の状態を示す表示板、ツマミの回転運動を直線運動に変えて表示板を
駆動する糸、そしてその糸に張力を与えるスプリングが繋がっています。
表示板と糸は相当汚れているし、スプリングは少し錆びています。

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表示板の裏側です。
表示板は薄緑色のアクリル(?)板の裏に、中央部を何か意味ありげな形状に
くり抜いた金属板を貼り付けた物です。

Part.15で『ケーブルブッシュ』を入手した時、一緒に『ダイヤル糸』と
『糸掛け用スプリング』も入手したので、それに付け替える事も考えたけど、
糸の接続や表示板の取り付け位置の調節に苦労しそうなので、このまま再使用
する事にしました。

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分解前に撮影したデジカメ画像を参考にしながら、何とか復元できました。

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正面からズームイン。

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上の写真を左へ90度回転しました。
このようにシャーシを立てた状態で使用します。

表示板は、赤い楕円で示す上下2カ所で糸に固定されています。
緑の楕円で囲んだ音質調節ツマミのシャフトを回転すると、その回転に対応して
糸が駆動され、表示板は黄の矢印で示すように水平に移動します。

ツマミを右(時計方向)に回すと表示板は右に移動し、ツマミを左(反時計方向)
に回すと表示板は左に移動します。

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表示板裏のシャーシに『白色ガラス』の豆電球が取り付けられていて、
その光が表示板を裏側から照射するようになっています。
液晶パネルのバックライトと同じですね。

『透明ガラス』の豆電球ではフィラメントの赤系発光がディスプレーの色に影響
したり、線光源のため表示板上の位置によって照度にムラが出たりするので、
『白色ガラス』の豆電球を使用したのではないかと思われます。

『白色ガラス』の豆電球も入手が難しそうだけど、幸いフィラメントが断線して
いなかったので助かりました。

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正面左寄りのやや上方から撮影。

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画像を加工して、表示板のパターンを際立たせてみました。
前にも書いたように内側の薄い色の部分は光を透過し、外側の濃い色の部分は
裏に金属(アルミ?)板が貼られていて光を遮断します。

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シャーシをキャビネットに納めた状態では、パネル上の縦長の細いスリット
を通して表示板の一部だけが見えます。

音質調節ツマミを右いっぱいに回し切ると表示板は右端に移動して、スリット
を通して見える光の帯は上端から下端までの最大長になり、低周波増幅回路が
低域から高域までフルバンド出力する状態を表わすようです。

その状態から音質調節ツマミを左(反時計方向)に回していくと、それに対応
して表示板は左へ水平移動してスリットを通して見える光の帯の上端が徐々に
下がっていき、低周波増幅回路は高域の方からゲインが徐々に下がります。

音質調節ツマミを更に左へ回していって中点に達すると、スリットを通して
見える光の帯の下端が階段状に上がります。
ほぼ同じ位置で音質調節用可変抵抗器に内蔵されているスイッチが作動して、
音質調節回路のコンデンサの容量が切り替わり、それに伴って低周波増幅回路
の低域のゲインが下がります。つまり低音域がカットされた状態になります。

音質調節ツマミを更に左へ回していくと、スリットを通して見える光の帯の
上端は徐々に上の方へ戻っていくけど下端は変化せず、低周波増幅回路の特性も
高域は徐々に伸びていくけど低域のゲインは下がったままの状態、つまり低音域
がカットされた状態を維持します。

以上のように、パネル上のスリットを通して見える光の帯は音質調節の状態を
表示している事になります。

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パネル上の表示の見え方はこんな感じです。

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その後、シャーシをキャビネットに取り付けてから撮影した画像です。
音質調節ツマミを右いっぱいに回し切って、低域から高域までフルバンド出力
している状態です。
糸のセッティング状態が良くないので、表示は高域に少し陰りが見えています。

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音質調節ツマミを左の方へ回していって、中点を少し過ぎた状態です。
高域も低域もゲインが下がり、中域だけが出力されます。

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音質調節ツマミを左いっぱい回し切った状態です。
低域はカットされたままで、高域は上限まで伸びています。


次に選局ダイヤル関連のメカをを復元します。

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音質調節ディスプレーの場合と同じ理由で、選局ダイヤルの糸もスプリングも
新品に交換しないで、このままリユースします。

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ダイヤルツマミのシャフトを軸受けから引き抜いて、糸を巻き付けます。

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シャフトの周囲に溝が彫られていて、糸を架けるプーリーになっています。

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プーリー部に糸を3回巻き付けて、シャフトを軸受けに戻しました。
糸を左右の中継プーリーに架けて、バリコンプーリーの方へ引っ張っていきます。

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バリコンプーリーに巻き付けて、スプリングを介して留め金に引っ掛けて完成。

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ダイヤル糸の左側部分のズームイン画像です。

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右側半分のズームイン画像です。

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ダイヤルツマミのシャフトはシャーシの裏側でクリップを填めて固定しました。

その横を走っている束線は半世紀以上前に製造された物のはずだけど、被覆の
表面に艶があって柔軟性も有り、ほとんど劣化していないように見えます。
ラジオによっては電線の被覆がインスタントラーメンの茹でる前の麺のように
硬化していて、ちょっと触っただけでボロボロに崩れてしまう物もあるようです。

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ダイヤル背後のパネルを取り付けました。
ダイヤルツマミを回して、ダイヤル指針がスムーズに動き、バリコンプーリーが
回転してバリコンの羽根も滑らかに回転する事を確認しました。

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電源を入れました。
音質調節ディスプレーの表示板も正常に発光しているようです。

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バンド切換ツマミを回して“短波”に切り換えてみました。

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