真空管ラジオ『 コロムビア COLUMBIA 1510 』の修復 - Part.14 | アナログ三昧、そして時々ディジタルな日々
Part.8Part.12でコンデンサと抵抗をほぼ全数交換したこのラジオを、Part.13
でパワーオンした結果、放送の受信は一応できたもののB電源の電圧が低すぎる
という問題が見つかりました。
その原因として整流管『5M-K9』の劣化が疑われるので、交換してみること
にしました。

実は、コンデンサと抵抗の交換作業を始める前に、マジックアイを除く5種類の
真空管について交換用の球を某ネットオークションで入手済みです。

交換用に入手した真空管について書いておきます。

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先ず『6BA6』の4本セットが某ネットオークションに出品されているのを
見つけて、落札しました。

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松下電器製『6BA6』の未使用品です。
但し、捺印文字のインク素材が劣化してしまったのか?指で軽く触っただけで
文字が消えてしまうという問題を抱えています。

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次に、別の出品者から『6AQ5』と『6BE6』を2本ずつ落札しました。

この出品者は多数のストックを保有しているらしく、“1本”で入札&落札
した後から実際の購入数を指定する事が出来る取引形態でした。
但し、この2品種以外には当方の必要とする品種は出品されていませんでした。

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実際は米国製の『JAN 6005W』(『6AQ5』相当品)です。
ラベルに“04/87”の文字が見えるけど「'87年4月製造」の意味でしょうか?

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箱から取り出しました。
G.E社のロゴマークと品名、そして“MADE IN USA”の文字が捺印されています。
出品者の説明通り未使用品のようです。

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こちらは米国製の『JAN 5915』(『6BE6』相当品)です。
こちらのラベルには“6/85”の文字があるので「'85年6月製造」でしょうか?

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箱から取り出しました。
品名と社名“PhilipsECG”、そして“USA”の文字が捺印されています。
フィリップス社の米国内工場で製造された物でしょうか?
これも未使用品です。

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また別の出品者から東芝製『6AV6』の2本セットを落札しました。

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箱から取り出しました。
右の2本が『6AV6』です。
現用品は“マツダ”ブランドだけど、この2本は“東芝(Toshiba)”ブランドです。

ウィキペディアによると“東芝(Toshiba)”ブランドに移行したのは1962年との
ことなので、これらの真空管は1962年以降に製造された物という事になります。
これも未使用品のようです。

左端の1本は出品者がオマケに付けてくれたNEC製『6AU6』で、
このラジオでは使いません。

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また別の出品者から東芝製『5M-K9』が2本セットで出品されているのを
見つけて、落札しました。

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先の『6AV6』と同じく2本共“Toshiba”のロゴマークが捺印されています。
これらも1962年以降に製造された物という事になります。

箱の状態やタマの美しさから推定すると、最終期(1970~80年代?)に製造された
物ではないかと思われます。
これも現用品は“マツダ”ブランドです。

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入手した『5M-K9』の1本です。

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現用の“マツダ”『5M-K9』を電源シャーシのソケットから抜き取りました。

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新しい“Toshiba”『5M-K9』を挿し込みました。

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パワーオンしたらヒーターが点灯しました。

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B電源の平滑回路入力(=整流管『5M-K9』のカソード)に接続した
テスターの針は『 280V弱 』を指しています。
回路図に表示された標準値『266V』を上回っています。

交換前は、パワーオン直後には『173V』で、約15分経過した時点でも『235V』
だったので、明らかに改善されました。

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ワットチェッカーは『49W』を表示しています。
このラジオの定格電力は回路図上の表示によると『42W』なので、やや大きい
感じだけど、まあ許容ばらつきの範囲内か・・・?

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テスターをB電源の平滑回路の“出力側”に接続し直したら『約220V』を
指しました。
回路図に表示されている標準値も『220V』なので、ジャストの値です。
もう1本の新しい『5M-K9』も、ほぼ同じ結果になりました。

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上の1本が現用品で、下の2本が新たに入手して動作確認した物です。

『5M-K9』の劣化によって、その出力電圧が低下してB電源の電圧低下を
招いていたものと考えて間違いないと思われます。

『5M-K9』以外のタマも同様に劣化している可能性があるので、この際
全部交換する事にしました。

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マジックアイを除く現用の真空管5本を抜き取りました。

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代わりに挿し込む新しい真空管一式です。
『6BA6』の捺印文字はほとんど消えかかっています!

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『5M-K9』を除く4本をシャーシのソケットに挿し込みました。

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アングルを少し変えて撮影。
半世紀前の製品とは思えないほど綺麗になりました。

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シャーシの裏側です(パネル側だから表?)。

後は、バンド切換スイッチの平行クランクや、選局ダイヤルと音質調節の糸掛け
といった機構部分の組み立て作業が残っています。

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この続きは“Part.15”(公開済み)へ・・・

《参考サイトへのリンク》
マツダ(電球) - Wikipedia