令和最初のNutube差動アンプ展示しました(11/7:11/8追記) | Analog of Magic もみじとクラフトマンのblog

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GND分離ポータブルヘッドホンアンプ【Zwei Flugel】【Eins Flugel】など各種アンプなどを販売中

秋のヘッドフォン祭2019に参加された方お疲れさまでした。AoMブースにきてくださった方、ありがとうございます。

 

 

当日はZwei FlugelやEins Flugelなどの主力ポータブルアンプのほか、Nutubeを用いた試作ハイブリッドアンプを展示しました。現物はありませんでしたが高性能・低電圧動作フルディスクリートアンプの資料などもありました。

NutubeハイブリッドはNutubeを用いたアンプとしてはずば抜けた特性の良さで好評でした。コルグの方にもお褒めいただき大成功だったと思います。

 

 

 

 

時間や手持ちの部品によりなかなかユニークな基板になりました。このNutubeハイブリッドアンプのプロトはNutubeを片chでひとつ使用し、初段をNutubeの差動アンプとしています。歪みの小さな範囲を使用することで一般的な回路より歪みを大幅に減らすことができます。

差動にすると二次歪みが0になって真空管ぽさが失われるのではないか…?と思う人もいるかもしれません。しかし0になるのは素子が理想的な理論上の話であり、実際の素子では0にはなりません。差動なのに気持ち悪いですが、今回のNutubeハイブリッドアンプは二次歪みがメインです。

 

図 基本波と歪み波の様子

 

また音質のためにカップリングコンデンサは入力のみ、出力はダイレクトカップリングとしていました。(反転入力端子にNFBをかけるための構造でもあります。)素子の性能や癖もあり簡単なようでいて、少しだけ難しい構造のアンプです。

 

 

 

 

技術的にまだ詰められる余地はありますが、AoMとしては半導体アンプがメインストリームで、真空管はカテゴリーがちょっと違うのですがどこまでやろうかな…?

 

 

ヘッドフォン祭ではZweiやEinsの評価も上々でした。一部、AoMの半導体アンプのなかで一番特性の悪い(と言ってもかなり良いですが)アンプが一番評価良かったビルダーの方も見受けられました。エンドユーザーであればなんら問題はないのです。ビルダーの方がアンプの評価を音の好みだけで決め、音質と好みの区別が出来ないのは残念でした。

 

有名メーカーの設計者の方が前回のヘッドフォン祭でAoMのアンプを視聴して下さった時は、とてもエンジニアらしい視聴をされていましたよ。

 

 

 

 

追記(2019年11月7日)

Nutubeハイブリッドアンプの時間がなくて詰められていなかった部分を少し調整しました。ジャストな値の素子が手もとになかったため、前回よりは良い・満足いくところよりは手前に調整した特性を以下に示します。

なお今回調整したのは試作1号機です。こちらのほうがスペースに余裕がありますし、万が一Nutubeを壊してしまっても1ch分しか作っていないのでダメージは少ないです。

 

1kHzのTHD+Nは特性の良くない半導体アンプに匹敵する値になってきました。ただし帯域幅が半導体アンプより狭いため、10kHzの歪みは無負荷でも1kHzより大きく0.7V出力時に0.05%ほどでした。

下限には限界があるものの今回の回路ではほぼ自由に歪みの量が調整できそうです。今は値を追求するために低い周波数の歪みが低い・高い周波数はそれに劣る状態ですが、低い周波数の歪みを悪化させてできるだけ均一に調整することも理論上は可能です。試してはいません。動くとは思いますが。

 

 

まだ続きます。

 

追記(2019年11月8日)