パワーアンプの製作記事ではあまり見かけませんが、ヘッドホンアンプでは
GNDを一点にするのかベタにするのかが半ば宗教化しているように思います。
個人で製作している方だけでなく、メーカーや製作物を販売しているビルダーでも
そのような発言をしている方を散見し、頭の中が?????です。
GNDは宗教ではありません。電源でもっとも重要な部分です。
GNDは基準なので振れてはいけないという主張も見かけますが、
抵抗値があるものに電流が流れれば必ず電圧降下は生じます。
重要なのはその影響を最小限に抑え、回路に狙った動作をさせることです。
配線を太くするだけでなく、分けたりコンデンサを挿入したりなど、
原因とそれに合わせた解決手法をとる必要があります。
オーディオアンプでは一点GNDが多用されることが多いです。
これはすべてのGNDを電源回路で一か所に集めるためそれぞれの電圧降下が
問題になりにくく、オーディオのような周波数では不具合が生じにくい形です。
しかし、出力に大きな電流が流れる回路では出力に流れた電流を
最短でリターンさせた方が好ましいので、この形が優れているとは思えません。
一方、ベタGNDはどうでしょうか。
こちらは断面積が大きくとれるため電圧降下は小さくなりますが、
回路の向きや電源との位置関係で電流の流れが変わるため、結果も変わります。
こちらもメリットはありますがデメリットも大きいので、私は総ベタにはあまりしません。
Zwei FlugelのGNDは、断面積を大きくとるところ、最短で電流を戻したいところ、
電流があまり流れないところなどをわけて設計しています。
そのため、見た目はベタと一点の間のような形です。
これにより、GND分離でありながら特に左右の分離が優れています。
忠実な再生をする為のオーディオアンプは、数値だけでなく音楽を聴いたときに
どのようなふるまいをするかまで考慮して設計しなければなりません。
なお、Vier Flugelはバランス出力なのでまた異なります。
高周波で必須になる回路を安定させるためのベタは、オーディオアンプでは
周波数や構造、回路規模などによって使う使わないを選択すればよいと考えています。
小型アンプの場合はスペースの問題もありますので、うまくベタを配置できそうに
ないときは抜いてしまってかまわないかもしれません。基本的にはあったほうが
好ましいですが、信号源インピーダンス等との兼ね合いもあるので場合によると思います。
※発言内容は知識が増えると変わる可能性があります。
by もみじ