北野武監督作品「首」 | あなぐまの下町質屋ブログ

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先々週、映画「ゴジラ-1.0」を観て、大満足して帰ってきた流れで、昨日は北野武監督の映画『首』をレイトショーで観てきました。なんか、すごい・・・気色悪いって言うか、口直しに「ゴジラ-1.0」をもう一度観ようかと思ったくらい。

で、その気色悪い映画について書き綴ってみるので、その手の話が苦手な人は、今日のブログは読まないようにお願いします。

 

「気色悪い」というのは、たぶん普通の一般人の感覚・常識から見たら、気色悪いんじゃないか、と私が思ってるだけで、

この手の映画が好きな人には、十分楽しめることでしょう。

 

実は、昨日は、前日夜に睡眠不足で、とても眠い状態でレイトショーに行ったのです。

瞼を開けているのも辛いので、本編が始まるまで他の映画の宣伝やお知らせ中は、目を瞑っていたくらいです。

ところが、本編が始まり映画タイトルが消えるや否や、戦国時代の合戦後の風景として、川に首なし遺体が流れてくる、

それから10分間に、首が切れる、落ちる、血が噴き出る、もう眠気なんか吹っ飛ぶ勢いで始まります。

 

今年は、年初、大コケした木村拓哉、綾瀬はるか主演の『レジェンド&バタフライ』、そして松潤主演のNHK大河ドラマ『どうする家康』と、織田信長をモデルにしたドラマが続きます。

日本の歴史上、最も個性的な生き方、そして死に方をした織田信長をモデルにした映画は、これまでの数々作られてきましたが、

ザックリ言うと、日本の戦いの歴史は、敵の首を取るか取られるかの戦いですよね。

 

先日、鎌倉に行った時も、扇ヶ谷から源氏山まで化粧坂(けわいざか)を登ってきたのですが、あそこも合戦で勝ち取った敵の武将の首に、化粧を施す場所だったから「化粧坂」と呼ばれる様になったわけだし、

これまで、三船敏郎や大河内善次郎の時代から戦国時代を扱った時代劇では、その辺を扱わずにストーリーを展開させてきたけど、さすがに一昨年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」では、首実検の場面はかなりありましたよね、今年の「どうする家康」にも、何度か首実検の場面は出てきましたが、敵の武将の首を取るということは、それだけ合戦では大切なことだった、だからその首について、もっとリアルに扱った、これは北野武監督の芸術映画なのでしょう。

 

ただ、やっぱりグロい。

 

リアルと言えば、この映画では織田信長は、「だぎゃぁ」とか「おみゃぁ」とか、尾張の方言でしゃべります。

「どうする家康」では羽柴秀吉や北政所が尾張弁を話しますよね。たぶん、実際に尾張の育ちだった二人は尾張弁を話すのは当たり前でしょうか、この映画では秀吉は尾張弁は喋りません、2人で尾張弁を喋っていたら笑えてしまうかも?

 

それから、信長の人物像ですが、前述の「レジェンド&バタフライ」の木村拓哉や、「どうする家康」の岡田准一はあまりに史実とはかけ離れていたとして、当時渡来したポルトガルの宣教師ルイス・フロイスが言うような癇癪持ちで悪魔のような性格だとすれば、この映画の信長像は合っているのかもしれません。

 

ただ、映画って娯楽ですから、リアルに作ればいいってもんじゃない。

もともとは、華やかな舞台の演劇をフィルムの納めたものだから、リアルじゃないのも当たり前。お客さんがそのストーリーや役者の演技、セットの美しさに見惚れればいいわけなのでしょう。

 

それが嫌な人には、この映画はお勧めです。全編クズしか出てこない、同じく北野武監督の「アウトレイジ」が好きな人には大絶賛されるでしょう。

 

てなわけで、私の映画評としては★3つかな?

全然ダメって言うわっけじゃないんですよ、戦国時代のストーリーはこうあるべきだ、とも思うのです。

信長と同じ部屋にいるだけで、ビクビクしてしまう、怖さが、もう少し在ってもよかったかな?