中学校における教科書採択について(平成27年第3回定例会・一般質問2/3) | 旭川市議会議員 穴田貴洋(あなだたかひろ)公式ブログ 「祖国日本と郷土旭川のために」Powered by Ameba

中学校における教科書採択について(平成27年第3回定例会・一般質問2/3)

ー9月24日に一般質問を行いました。今回は、
高齢化社会への対応について、②中学校における教科書採択について、③市役所敷地内で行われる労働組合等(政党外郭団体含む)による集会・デモの開催と行政の中立性について、質問いたしました。ご報告いたします。

(1)文科省通知に基づく教科書採択の改善について

質問1-1(あなだ貴洋)
 文科省は、4月7日付「教科書採択の改善について)において、初めて具体的に「絞り込み禁止」を明記した通知を行うとともに、自ら十分な審議や調査研究をしないで「慣例」のみにより決定することも禁止した。
 まず、本市の教科書採択では、装丁や見映えの重視ではなく、教育基本法や学校教育法、学習指導要領で示す目標を踏まえているかなど、内容を十分考慮したものとなっているのか。
答弁1-1(学校教育部長)
 教科書の調査研究につきましては、旭川市教科書選定委員会を設置し、各選定委員が教科ごとの小委員会に所属し、教育委員会の諮問に応じ、見本として送付された全ての教科書について調査・研究を行っております。
 調査研究に当たっては、学習指導要領の総則及び各教科、各学年の目標、内容等について、その配列・構成・分量等について、教科書を使用する上での配慮等について、本市における気候・風土及び地理的環境を踏まえ、本教科書を使用し教科指導を行う際に、特に優れている点や考慮すべき点などの指導上の配慮等についてを観点としており、教育基本法や学校基本法、学習指導要領で示す目標を踏まえ、十分に内容を考慮した調査研究を行っているところでございます。


質問1-2(あなだ貴洋)
 前回、平成23年度の採択時において、教科書選定委員会の委員の殆んどが、教員または関係者であり、保護者は75名中わずか6名、その割合は全体の8%であり、公正公平を損なう構成ではないかと指摘をした。
 この度の通知では、教科書採択により広い視野からの意見を反映させるために、保護者等の意見を踏まえた調査研究の充実が求められている。一般市民たる「保護者の参加率向上」は図れたのか。
 また、採択においては、各選定委員が教科ごとの小委員会に所属し、調査研究を行うが、保護者の入っていない教科はあるのか。あるのであれば、その理由についても示せ。
答弁1-2(学校教育部長)
 旭川市教科書選定委員会の委員構成は、旭川市教科書選定委員会条例第3条において選定委員定数が定められており、1号委員として校長及び教員から56人、2号委員として学識経験を有する者から14人、3号委員として委員会事務局の職員から5人の計75人となっているところであり、このうち、学識経験を有する者としての区分の中で6人の保護者に参加をいただいており、前回、平成23年度の採択時と同数となっております。
 また、12ある教科ごとの小委員会のうち、特別支援教育を除くすべての小委員会に2号委員が所属しており、このうち、保護者は、数学、理科、音楽一般および器楽合奏、美術、保健体育、英語の6つの小委員会に所属しています。
 選定委員会から調査研究結果の報告を受ける際には、こうした教員以外の立場の各委員の意見や少数意見等についての報告もなされているところでございます。


質問1-3(あなだ貴洋)
 通知では、一般市民の意見がよりよく反映されるよう工夫が求められる中、「保護者の参加率向上」は図られなかった。
 教育行政のレイマン・コントロール原則に基づき、専門家の判断のみによらない、広く市民の意向を反映した採択を実現するためにも、全ての小委員会に保護者を入れるべきと考えるがいかがか。

答弁1-3(学校教育部長)
 北海道教育委員会策定の採択基準にも示されているとおり、選定委員会は「教科用図書の専門的な調査研究を行わせ、その結果を報告させるとともに、意見を聴く」ために設置するものであります。
 教科書の調査研究につきましては、それぞれの教科分野での専門性や見識、指導する側に立った教えやすさといった視点も必要になることから、今後も条例に定める教職員の定数は確保すべきものと考えており、そうした意味からも、保護者を含む現行の選定委員会の構成割合は、適正な水準であると認識しております。
 また、市民の方から幅広い貴重な意見を把握するためには、教科書展示会を開催して意見書の提出をいただいているところであり、いただいた御意見は、その全てを、要約することなく教育委員に掲示し、採択に当たっての参考とさせていただいているところでございます。


質問1-4(あなだ貴洋)
 教科書展示会においては、各学校を訪問して行う移動展示会や、図書館、公民館など、市民が足を運びやすい場所での展示会が充実・拡充されるとともに、その開催時期や場所等についても、積極的な周知を図らなければならない。
 一般市民の意見等を把握するため、教科書展示会の改善・充実は図られたのか。
答弁1-4(学校教育部長)
 教科書展示会の改善・充実につきましては、その開催日時当を本市の公式ホームページに掲載するとともに、市民広報「あさひばし」への掲載、各小中学校への周知と報道機関への報道依頼により積極的な周知を図ったところでございます。
 開催日数につきましては、前回の19日間に対し今回は20日間でありますが、今年度は展示会開催期間終了後も7月末まで教科書の展示と教科書に関する意見をいただくための意見箱の設置を継続しており、来場者数は前回の107人に対し今回は235人、意見箱に提出された意見書は前回の62件に対し今回は163件となっております。開催会場につきましては、前回、今回、いずれも中央図書館と神楽図書館の2箇所で変更はございません。
 また、移動展示会の開催につきましては、文部科学省が定めるところにより、市町村へ送付される展示用の教科書見本が2部と制限がある中、教員や保護者、市民にとって、どのような形態の展示会の在り方がいいのか、今後の検討課題と考えております。
指摘(あなだ貴洋)
 教科書を採択する市教委は、住民の教育意思を担っている以上、教科書展示会の充実、並びに保護者等の意見を踏まえた調査研究の充実に努めるべきである。


(2)自虐史観からの脱却と開かれた教科書採択について
質問2-1(あなだ貴洋)
 前回、平成23年度の採択時に、情報公開の遅れる本市に対して、採択に係る資料の公表を求めてきたが、今回、教科書無償措置法改正により、改正法第15条において、教育委員会は教科書を採択したときに、採択理由をこ公表するよう法令上の努力目標が規定され、本市もようやく公表に踏み切った。対応の遅れを感じるが、公表した理由とその範囲について示せ。
答弁2-1(学校教育部長)
 教科書採択に係る採択理由、資料の公表については、義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律が一部改正され、同法第15条において、教科書を採択したときは、遅滞なく、当該教科書の種類、当該教科書を採択した理由その他文部科学省令で定める事項を公表するよう努めることが規定され、平成26年4月16日から施行されたところでございます。
 努力規定ではありますが、この法改正は教科書の採択に関する信頼を確保するためのものでありますことから、これまでの議会議論も踏まえ、本市においては、平成26年度の小学校用の教科書採択時から、同法第15条に定める採択結果及び採択理由のほか、文部科学省令で定める、教科書研究のために作成した資料である旭川市教科書選定委員会からの答申書と、教育委員会会議の議事録に加え、選定委員会の委員名簿、会議録、会議における配布資料、小委員会会議の会議録を公表しており、今年度の中学校用教科書採択につきましても、同様の公表を行う予定であります。


質問2-2(あなだ貴洋)
 教科書検定の結果が4月6日に公表され、今回は、社会科の全教科書が尖閣諸島と竹島を取り上げるなど、これまで不十分であった領土記述が大きく改善された。
 さらに、通説的見解がない事項の記述に、その旨を明示することや政府見解を尊重することなどを求めた検定基準が新たに導入され、自虐史観の傾向がやや改善された。
 いずれも安倍政権が進める「教育改革」の大きな成果といえるが、その教育正常化の流れに逆行するかのような教科書も一部存在する。
 まずは、平成28年度から本市中学校で使用する「社会科教科書」の採択結果及び理由について示せ。
答弁2-2(学校教育部長)
 平成28年度から旭川市立中学校で使用する社会科教科書の採択の結果及び理由についてでございますが、地理的分野につきましては、地域の特色が理解することができる内容、地図やグラフ等の見方や略地図の描き方などの地理的技能を習得できる構成、さらには、アイヌの人々の文化に関する記述が充実していることなどから、教育出版の教科書を採択いたしました。
 歴史的分野につきましては、一単位時間ごとや単元末に、歴史的事象についての説明や話し合いなどの言語活動が位置づけられ、学習内容の理解を深められる構成、各章の導入に掲載されている年表により、生徒が歴史の大きな流れを捉えて学習を進めることができること、さらには、アイヌの人々が歴史等について各時代と関連させるなどの理解を深める工夫がなされていることなどから、東京書籍の教科書を採択いたしました。
 公民的分野につきましては、学習内容とつながりをもたせた連続コラムが設けられ、生徒が疑似体験を通じて主体的に学習に取り組みながら、社会の制度や仕組みの意義等について実感を伴って理解することができる構成、アイヌの人々に対する差別解消に向けた取組や子供の権利についての記述が充実しており、基本的人権の理解を深めることができるような工夫がなされていることから、帝国書院の教科書を採択いたしました。

質問2-3(あなだ貴洋)
 内容について一つ触れたい。本市が採択した歴史教科書「東京書籍」においては、第6章2節「世界恐慌と日本の中国侵略」と節のタイトルに唯一、「侵略」と表記し、朝鮮人徴用を強制連行のように描き、「南京事件」も諸説あることから、記述を避ける教科書会社もある中、「南京大虐殺」とも示している。この他にも、日本を「加害側」として殊更強調している。
 こうした自虐史観は、子供の人格形成の要素となる「国家観」や「価値観」に大きな影響を与え、結果として、日本人が受け継ぐべき文化伝統を忘れさせ、民族の誇りを失わせるのではないか。見解を伺う。
 また、教育基本法などが示す目標を最も遵守した「健全な教科書」と言えるのか。
答弁2-3(学校教育部長)
 本市が採択いたしました社会科歴史分野の教科書における歴史問題、南京事件等の扱われ方につきましては、第6章2節のタイトルに「世界恐慌と日本の中国侵略」という言葉が記載されており、「日中戦争と戦時体制」という単元の中で、本文ではなく注釈で「南京大虐殺」の記述がございますが、被害者の数など、様々な調査や研究が行われているが、未だに確定していない旨の説明がされているところでございます。
 こうした内容につきましては、国民の中にも多様な意見や議論があることは承知をしており、各教科書発行会社で表現やニュアンスの違いといったものはありますが、日本の文化や伝統などについては、どの教科書においても適切に記述されているものと考えます。
 教科書の採択に当たりましては、全体の構成やわかりやすさ、子供達が自ら興味を持ち、発展定学習が可能となる教材としての視点からの検討も必要であり、教育基本法や学校基本法、学習指導要領で示す目標を踏まえた上で総合的に勘案した中での採択結果であったと考えております。



質問2-4(あなだ貴洋)
 東京書籍においては、節見出しで「中国侵略」と誇張し、文禄・慶長の役でも単元見出しで秀吉の「朝鮮侵略」と位置付ける一方、元の日本襲来「元寇」については、「元は日本への遠征を計画しました」と、フビライの2度にもわたる日本征服の企てをイメージの良い「遠征」と表現し、略奪と残忍な被害を受けた日本側の被害については、一切触れていない。
 中国・朝鮮が日本に進攻する場合は「遠征」で、その逆だと「侵略」とする表記は、一体いかなる「基準」に基づいているのか。著しいダブル・スタンダードである。
 これを問題視しない、或いは見落としたとすれば、専門家たる教育者等が多く関わる本市の採択が適切に機能しているとは言えない。教育長の見解を伺う。
 また、教育長としても、史実に反する誤った記述のない、子供達が誇りの持てる「最もバランスの良い教科書」を採択できたと言いきれるか。
答弁2-4(教育長)
 教科書の記述内容については、教科書検定制度の目的、意義の上からも、検定を通った教科書は学習指導要領に則った記述がされているものと解釈しており、「侵略」の整合性につきましては、教育委員会会議の審議過程の中では議論になっておりません。
 また、選定委員会の役割は、各教科書の記載内容な構成、分量、さらには指導上での利用のしやすさなど、それぞれの教科書の特色について調査し、その内容を投信することであり、教育委員会からの諮問に対しては、適切に機能しているものと考えております。
 教科書の採択は、各教育委員が、選定委員会からの答申と、多くの市民の方からのご意見を十分に咀嚼し、旭川市の教育に対する理念と見識に基づき、教育委員会会議において審議を尽くし決定したものであり、本市の子供たちに最も相応しい教科書を採択したものと考えております。


質問2-5(あなだ貴洋)
 特に、歴史認識の問題は、国家の尊厳にも関わり、また国家が自立する基礎でもある。他の妥協を許せる問題とは次元が違うことから、自虐史観に基づき日本だけが断罪され続けるような不当な評価を許してはならない。指摘をしたい。
 そこで、こうした弊害を防ぎ、選定委員会内部の馴れ合いや、選定委員会と行政の馴れ合い・癒着を防ぐため、委員の一部に公募制を導入すべきと考えるがどうか。
 また、教科書採択に当たっては、全国的にも多くの教育委員会が、投票で議決を行っており、「開かれた採択」を推進する観点から、本市も多数決採択に改めるべきと考えるが、市教委として不都合はあるのか。
答弁2-5(学校教育部長)
 教科書の採択に当たっては、選定委員会が各教科ごとの専門的な調査・研究を行い、その結果の報告を受けているものであり、2号委員として参加いただいている保護者の方からも、教員以外の視点から様々なご意見をいただいているところでありますが、一般公募制の導入につきましては、募集人員や人選方法等、また、導入の是非も含め、検討すべき課題が多いと考えております。
 また、採択決定に係る結果につきましては、本市の教育の推進・充実を図る立場にある各教育委員自らの調査、研究、並びに委員相互の真摯な議論を行い、教科ごとに公平、厳正な審議を尽くし、全会一致で決定したものでありますし、採択決定に至る詳細な経過については、昨年度から、教育委員会会議録として全て公表しているところであり、今後も「開かれた採択」を推進してまいりたいと考えております。
指摘(あなだ貴洋)
 今や、国民の付託を受けた者が、正当に多数決を行っても「強行採決」などと非難される時代にあって、多数決なき決定は、明らかに民主主義に反する行政手続きである。多数決によらない議決は、馴れ合いと職務怠慢の温床にもなり得ることから、教科書の採択にあたっては、議会と同様に多数決採決によるべきである。
 また、賛成〇票、反対〇票と表決数を明確にし、これを市教委のホームページで公開し、市民にもわかり易い「開かれた採択」を求めたい。

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