翌日、朝食を済ませ、近所の調剤薬局へ。

 

本当は、昨日の夜から飲むようにと言われていたけれど、

外来の終わりが遅くなったため、営業時間に間に合わなかったから、

せめて朝からちゃんと飲もうと、薬局へ白湯を持参していきました。

 

窓口で処方箋を出すと、

 

「あ、風邪薬ですね。風邪を引かれたのですか?」と言われ、びっくり。

 

咄嗟に「いいえ、肺炎の薬として処方されたのですけれど・・」と言ったけれど、

 

「これ、風邪薬なんですか?」と尋ねたら、

 

「そうです。風邪の患者さんによく使われていますよ。」と。

 

私はてっきり、強力な肺炎専用の薬だと勝手に思い込んでいたけれど、

普通に、よく使われている風邪薬の1つだったのです。

ちょっと意外で、よくわからない戸惑いを感じながらも・・ま、いいか。

 

ということで、

 

外来の翌日の朝から呼吸器内科処方薬(3種類)を飲み始めました。

一日3回、毎食後に1錠づつ。

 

薬を受け取る際、薬剤師さんから特に使用上の注意とか、コメントは何もなく、

また、印刷された薬の情報の紙面にも特に副作用についての記述は全くなし。

それは、一般によく多くのかたが飲んでいて、特に問題が起こっていないから・・

なのでしょうね。きっと。

 

だから、まさか、この薬で・・・何かあるとは、多分誰も思わないよね。

 

きっと、きっと、普通なら・・他の人なら

何事もなく、よく効く風邪薬であったのかもしれないのですが・・・

 

これで、、、、この薬がきっかけで、私、人生変わっちゃったかもというくらいの

凄い展開に繋がっていくなんて、私も夢にも思いませんでした。

 

いちおう、薬の名前をお知らせしておきますね。

 

・オーグメンチン配合錠250 RS 15mg(抗生剤) 

 

・デキストロメトルファン臭化水素酸塩錠 15mg(咳止め)

 

・カルボシステイン錠250mg(痰に効く薬)

 

その日は何事も起こりませんでした。

今年3月外来。

 

たまたまその日はCTの予約が入っていました。

 

いつものように採血、採尿後、CTを撮り、

診察を待ちました。

 

外来当日のどれくらい前からだったでしょうか?

 

ちょっと気になる症状が出ていました。

 

それは、息をすると、

 

なんだか煙たい?・・?

 

そう、まるで近くで落ち葉を燃やしているような・・

 

煙を吸って苦しいような・・そんな感覚。

 

それを診察の時に主治医にお伝えすると、

 

「どれどれ」・・・とCT写真を見て、

 

「あっ! 肺に影があるじゃないか!」

「これから呼吸器の先生に診てもらおう」

 

と、呼吸器内科外来の最後の患者さんの後に

ねじ込んでいただき、

 

そこで、その画像の影なるものが

慢性の肺炎であると判明しました。

 

そこで処方された薬が、

まさか、私が半年も苦しむるきっかけとなるなんて

夢だに思っていませんでした。

 

その日は、薬局の営業時間に間に合わず、

翌日、近くの調剤薬局へ。。

そもそも、何でこんなになってしまったかというと、

 

3月の外来で処方された抗生物質が、私の腸に住んでいて

良い菌を死滅させてしまったかららしく、

 

その結果、悪い菌がどっと増え、腸に炎症が起き、

 

その炎症によりダメージを受けた私の腸は、その後5ヶ月にわたって

立ち上がれなくなってしまったらしいのです。

 

下痢が止まらない状態がずっと続き、 ・・・・・

 

それも普通の下痢ではなく、

 

血液の混じった・・ゼリー状の・・まるで苺ジャム・・

みたいなものが停めどなく、自動的に流れ出してくる、

それがずっとずっと止まらない状態が長く続き、

 

それから、どんどん体調の異変は広がっていきました。

 

 

一時は尿が全く出なくなったり・・・尿意を全く感じられない日も。

 

尿も、便らしきものも出ないので、当然、浮腫になるのですが・・

 

浮腫も今まで経験した浮腫とは、全然違うし、何もかも初めての経験。

 

一体、どうなっているのか・・・いつになったら下痢が止まるのか、

何を食べたら良いのか・・先が見えない日々。

 

気がつくと、季節は春から真夏へ、

 

そしてまた、気がつくと秋になっていて。

 

まだ夢の中のようなところがありますが、やっと下痢が止まり、

長い長い、水と塩からおもゆ、おかゆと離乳食生活を経て、

今がやっと普通の食事が採れるようになり、

やっと少しずつ歩けるようになりました。

 

これから、具体的にどんなことが起こったかをお話ししていきますので、

よろしくお付き合い下さい。

 

 

 

 

 

みなさん、お元気ですか?


ずっと動けない状態が続いて、

ご無沙汰しておりました。

 

多分・・

 

たぶんですけれど、今、苦しいと感じている方の方が

多いのではないかと。

 

私も今年の節分までは、なんとか元気で日常生活がおくれていたのですが、

 

3月、ひな祭りあたりから、予期せぬ体調不良が待っていました。

 

やっと最近、食事が摂れるようになり、

 

浮腫もひいてきて、歩けるようになりました。

 

どうしてこんなことになったのか、

 

自分の体が一体どうなっているのか、

 

今でもよくわからないけれど、

 

このことを通してたくさんのことを知り、

気づき、学ぶことが出来ました。

 

これから、それをちょっとずつ、

お話ししていきたいと思っています。

 

どこまで、続けられるのかわからないのですが、

この経験、体験は、皆様にお分ちすべきだという声が

半年前からずっと聞こえていて・・

 

なので、とりあえず、今日は、書き始めます。

 

この情報が皆様のお役に立てるように願って。

 

 

 

前回に引き続き、2022年10月にヤンセンファーマから出た「ALアミロイドーシス患者のための冊子LASHiKU」本文から心に響いた部分をご紹介します。

(一部省略していますのでご了承下さい)

 

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「不安な気持ちを抱えているあなたへ」 

 

病名が見つからないまま様々な症状に悩まされ、病院を転々とする日々。

「出口のないトンネルを彷徨っているようだった」とい表現する方もいます。

大変な道のりを経てきた自分をまずは労ってください。

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○ 診断されるまでの道のり

 

『全身性免疫グロブリン軽鎖アミロイドーシス(ALアミロイドーシス)の患者さんは、全国に3200人と推定されています。こういった患者さんの少ない病気を総称して「希少難病」と呼びます。希少難病は認知度が低いことなどから早い段階での発見が難しく正しい診断に辿り着くまで時間がかかるという問題を抱えています。 

 

気になる症状が現れ、様々な検査を受けるものの、なかなか原因が特性されず、病院や診療科を転々とする日々。「まるで出口のないトンネルを彷徨っているよう」と振り返る方もいます。診察に辿り着くまで本当に大変な思いをしてきたはずです。 心身ともに疲れてしまった自分をまずは労ってあげて下さい。 

 

○ 診断がついた今の気持ち

 

今は正しい診断がついた一方で、これまで聞いたこともないような病名に「今後どうなるか」「仕事は続けられるのか」「治療費は払えるのか」と新たな不安を感じているのではないでしょうか。 湧き上がってくる不安や混乱した気持ちは一人で抱え込まずに周囲のサポートを得ながら少しづつ手放しずつ手放していきましょう。

 

「余計な心配をかけたくない」と家族に頼るのを躊躇している方もいるかもしれません。しかし、あなたが何もかも背負い込んで心を閉ざしてしまうと、ご家族もどうして良いかわからず、困惑してしまいます。こんな時ぐらいは思い切って頼ってみませんか?きっと喜んで力になってくれるはずです。まずは今の辛い気持ちを素直に伝えましょう。

・・・(中略)・・・治療法を決めるなどの重要な場面には。できればご家族や信頼できる人に一緒にいてもらうことが望ましいです。 

 

○ 希少難病ならではの悩み 

 

 希少難病であるが故に、周囲に理解されにくい、同じ病気の仲間を見つけにくい、病気や治療の情報を得にくいといった悩みに遭遇することもあると思います。 

SNS(ソーシャルネットワークサービス)などで情報収集をしていたら、少し不安になってしまったという声も聞かれます。 

 

そんな時に頼りになるのは、やはり専門家である医療者です。専門家に相談することで、適切な情報をもらえたり、同じ病気の仲間と繋がる手がかりを示してもらえることもあります。また周りの人に病気を理解してもらうための方法についてのアドバイスを受けることもできます。 専門家に相談をしながら問題を1つ1つ解消していきましょう。大事なのは、一人で苦しんだり偏った情報に翻弄あれないことです。

 

以上が「最初の不安な気持ちを抱えているあなたへ」の内容です。

色々な意味で今年は明るいニュースが増えそうな予感がして楽しみです。

寒いですが、気をつけて過ごしましょう。

 

 

 

 

あけましておめでとうございます。 

皆さん、お正月元旦いかがお過ごしですか? 

 

こういう病気なので、めっちゃ元気!!という方はそうそう少ないと思うのですが、

どんな状態であれ、無事に今年も新年を迎えられた事はすごい事ですよね。 

 

さて、昨年の外来のとき、LASHiKU という冊子を主治医からいただきました。

この小冊子は「自分らしく治療生活を続けるためのガイドブック」で、

「全身製ALアミロイドーシスの患者の皆さんへ」とサブタイトルがついています。

 

「ついにこんなものが出来たんだ!」と嬉しくなりました。

何も情報がなかった時代から、こんな恵まれた時代になるとは・・・

 

でも、「やっと」なのです。やっと・・。

「予後は良くありません」という一言が全てであった、古い情報から

「早期に発見して、適切な治療すれば、決してそれほど怖がらなくても良い病気」へと

完全にシフトしていっているのですから!! 

私たちは恵まれた時代を生きているのですね。

 

だから、毎日色々ありますが、今、生かされていること、家族と過ごせること、

友達を話せることを喜び楽しみましょう。 

 

まだ全部公開はできないのですが、これから私が一番心に響いた部分をちょっとだけ

シェアさせていただきたいと思います。 

 

まずは目次の内容からをご紹介ましょう。 

 

○不安な気持ちを抱えているあなたへ 

○主治医と納得いくまで話しましょう 

○あなたを支えてくれる人や場所     

○身体の中で起きていること ○病気が起こす様々な症状 

○診断のステップと検査の目的 

○治療目的を知り整理してみる 

○医療者から受けた説明をメモしておきましょう 

○暮らしの中で注意したいこと、工夫したいこと 

○サポート制度を知る 

○ご家族の方へ、寄り添いが何より大切 

○引用文献等

 

では、みなさまにとって良い一年でありますように!!! 

 シャローム!! 

 

 

上記は、「ALアミロイドーシス患者の会のメーリングリスト」でお送りした内容ですが、

お送りしたメールを間違って削除してしまって読めなかったという方からご連絡いただいたので

メール内容と共に、その関連情報も含めてこちらのブログに書いておくことにしました。

 

世界は今大きく変わっています。私たちも古い常識や常識、間違った情報に振り回されず、

自分にとって最適な情報と意識にバージョンアップしていかなければならないと感じています。

なので、今年はこの病気のことをもう少し深いところまで、お伝えできたらいいなと思っています。

今年もよろしくお願いいたします。

 

 

♩  わたしが とてもつかれきっている時、

 

 次々に問題が押し寄せて 心が折れそうな時、

 

 わたしは静かに ここで じっと待つ

 

 あなたがわたしのそばに 座ってくれるまで

 

 

あなたがわたしを強くしてくれる

 だからわたしは どんな困難も乗り越えられる

 

だから、人生の荒波の中でも 歩くことができるの。

 

 わたしは強くなれる  あなたが全ての重荷を背負ってくださるから。

だから、わたしは いつもの私を超えて、どんな事もできる

 

 

飢え渇きのない人生なんて無い

  平安のない心の波動は ひどく乱れるわ

 

でも あなたがやってきて

  驚くばかりの奇跡の業で わたしを満たされる時、

 

わたしは、その度に気づくの 

 あなたが永遠に変わることがない方だと。

 

You raise me up   to more than I can be.

( あなたが 私を強くして下さる。

   だから私は自分の限界を超えて、いける )

 

*******************************

 

 これは、アイルランドのケルティックウーマンでおなじみの『You Raise Me Up』の歌詞。トリノオリンピックで荒川静香さんがエキシビションに使われた曲でもありますが、日曜日にたまたま開いたYouTube動画で、久しぶりにこの曲を聞きました。

 

歌うのはレイナ マリヤさん

この歌声は、素晴らしく、心を癒し、勇気付けてくれるます。

 

この歌は、多くのアーチストも歌われていますし、レイナマリアさんの動画もたくさん存在しますので、私も色々ききくらべてみましたが、これが一番パワフルで、これ以上のものはないように感じました。

 

そして、この歌の歌詞はまさに私自身のことでもあります。

 

1月30日、日曜日にたまたま、開いたYouTube動画で、わたし、この歌詞と同じ意味のことを同じ仲間に伝えたくて、このブログを書き始めたのだと思いました。

 

何だかわからない多くの不調を抱えながら、10数年。

徐々に衰弱が進み、ついに命がもうすぐ終わる時が近づいていた時、

不思議な導きの中、診断、治療への扉が開き、

 

その翌年に思いがけず患者の会を作ることになり、

受かるはずのない資格試験に合格し、身体にも不思議なことが・・。

 

同時に心臓にたまっていた水が消え、尿蛋白の全くなくなり、一気に

浮腫みがなくなってしまった。。

 

もちろん、全身に満遍なくついたアミロイドがまだまだ残っていて、

色々ありますが、

 

ここまで守られ、生かされ、全ての必要が満たされ、気がつくと治療開始から12年目。改めてこの12年間を振り返ると、そこには明らかな天の意思、大きな大きな存在と愛を感じます。

 

私の人生の大半を占めるこの病気という存在は、辛く、厳しいものでしたが、それは、必要な贈り物、賜物だったということが今ははっきりわかります。

 

このブログで、どのように患者の会が生まれたかについて書きました。

 

それは、AL患者の会は、突然、幾つもの出来事が絶妙なタイミングで重なって出来ました。どう考えても、普通じゃない(笑)

 

患者の会ができたのは、この病気がもはや「必ずしも絶望的な病気ではない」時代になったからということ、それを神様が多くの患者さんや医師に伝えるために作られたと私は思っています。

 

そして、私たちが経験する病気や困難は、それまでの人生と向きあい、考えてもいなかったような素晴らしい人生を作っているための最良のタイミングでもあり、人知を超えた大きな力を体験できる時でもあるのではないかな、ということを私自身の12年間の出来事、体験を通してお伝えしたかったのだと、歌を聞いて、改めて思いました。

 

ぜひ、同じ病気の仲間にもこの歌声を聞いて欲しいと思いましたが、キリスト教会の動画ということもあり、他の動画で同じものはないかと探しましたが、どれも、この動画を超えるものはありませんでした。

 

 このレイナマリアさんの歌は、「大和カルバリーチャペル第3礼拝」2022年1月30日「信頼の約束にパスした人々」というタイトルのYouTube動画で配信されています。歌われているのは、動画の最初から「23分22秒」くらいからの数分間です。よろしかったら、ぜひ聞いてみてください。

 



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ③  ダラツムマブ(ダラキューロ)

 

 これが今年のセミナーのメインテーマであり、今後のALアミロイドーシス治療の第1選択肢として推奨されている治療です。

 

 ダラツムマブは、多発性骨髄腫の治療薬として、一足先に承認されましたが、点滴薬でした。それが、ALアミロイドーシスにおけるダラツムマブの有効性を調べるために実施された第3相治験では、皮下注射の形で行われ、高い有効性が示され、昨年秋に承認に至りました。

 

その後、ダラツムマブ皮下注射剤は「ダラキューロ」と命名され、新規に診断された患者さんたちの第1選択肢として投与が始まっています。

 

 セミナー動画でも第2021年7月にイングランドジャーナルに掲載された治験結果とともに説明されています。

 

 ダラツムマブの第3相治験では、「CyberD」 だけで治療するグループと「CyborDにダラツムマブを加えて治療をするグループ」の比較をするということで、ダラツムマブの有効性をみるというものでしたが、

 

その結果、ダラツムマブを加えたグループに早期からフリーライトチェーンの減少が認められたことから、この治療が効果的であることが示されました。

 

それを臓器効果でみると、

 

・心臓についている患者さんでは、ステージが悪くなるほどダラキューロを加えた方が効果が高かったという結果になり、

 

・腎臓の方では、ステージ1と2(比較的軽度の障害)では効果が認められたのに、

ステージ3(腎機能低下の低下がある程度進んでしまっている)になってしまうと逆に効果は弱くなってしまうという結果になりました。

 

また、それを遺伝子異常別にみると

 

・t(11;14)という遺伝子異常のある患者さんには非常に良い

 

ということで期待を満足させる結果が出ています。

 

 ちなみに、t(11;14)以外の遺伝子異常についても、調べてみたどのタイプの異常についても、ダラツムマブを加えた方が、加えなかった場合に比べて良いという結果が出ています。(だからt(11;14)のない人にも使っているのですね)

 

 そして、最後に鈴木先生は、アミロイドーシス研究の第1人者メルリーニ先生の治療指針(治療アルゴニズム)を示されています。(動画の59分あたりです)

 

 

🌠メルリーニ先生とは:

 

 イタリアのパヴィア大学の全身性アミロイドーシス研究治験センターの所長で、長い間、アミロイドーシスの研究に生涯を捧げてきたようなスペシャリスト。自らも難病を患いながらも、アミロイドーシスの研究に携わってこられました。

 

 

✳️  メルリーニ先生の考えるこれからの治療 ✳️

 

 <移植の適用(移植治療が可能な患者さん)の治療>

 

 新しくALと診断されたら、とりあえず DcyborD (ダラキューロ、シクロフォスファミド、ベルケイド、デキサメタゾン)を4サイクルやりなさい。

 

それで効果が見られたら(寛解したら)もう移植は考えなくて良いのではないか。

 

 <年齢、臓器の状態で、移植ができない患者さんの治療>

 

D cyborD, またはBMD(ベルケイドとMD)、またはCyborD、またはMD

 

(最初のDはダラキューロ、Bはベルケイド、Mはメルファラン、最後のDはデキサメタゾンです。それぞれの臓器の状態や相性、効果の出方などを見ながら使っていくということ。)

 

 <再発した患者さんの治療>

 

 臨床試験中の治療薬、または他のCD38抗体薬(ダラツムマブもCD38抗体薬ですが、そのほかにもCD38抗体薬があります)Ixazomib(プロテアソーム阻害薬)、ベネトクラクス(BCL-2阻害薬で、急性骨髄性白血病や慢性リンパ性白血病ですでに使われている治療薬。特に高齢患者において良いと言われている)、ポマリドマイド(免疫調整剤で多発性骨髄腫でも使われている)、ベンダムスチン(これはヨーロッパで使われているハイブリッドなアルキル化剤です)など、

 

それぞれ患者に合わせた抗腫瘍作用のある新規薬剤を使っていくのが良いのではないかということです。

 

🐻 ただし、治療には必ず副作用もつきもの。

 一押し治療のD-CyborD(ダラツムマブ + シクロフォスファミド + ベルケイド + デキサメタゾン) ではあるが、副作用もあるので、注意が必要。

 

 ダラツムマブの副作用で一番多いのが、感染症。好中球減少。特に肺炎に注意。

 

 また、ベルケイドには若干、心毒性(心臓への負担)があるので、いきなりダラキューロとベルケイドとを一緒に使うのではなく、最初はダラキューロだけ、単独で始め、徐々にベルケイドを加える方向で行った方が良い場合があるかもしれない・・ということも鈴木先生は言われていましたね。

(やはりどの薬も実際に使い始めてみると、いろいろな副作用が出るようです)

 

 ・・ということで、もう「移植できる人は、移植」という時代が幕を下ろそうとしています。以前、ベルケイドの出現でベルケイドが移植にとって変わるかに見えた時期がありましたが、やはり長期的にみると、ベルケイドは即効性があり、骨髄腫には良くても、臓器障害のあるアミロイドーシス患者には副作用が強く出て、長期的には良いとも言えないところもわかってきて、やはり自家移植ができる人は移植というのは推奨されてきました。

 

 でも、もうこれからは必ずしも移植は必要ではないという時代に急に変わってしまって、本当にびっくりです。

 

 そして、治療の進歩とともに、治療スタイルも入院から外来へとシフトしています。本当に時代が変わったのだなと思います。

 

 ただし、どんなに良い治療が開発され、それを使うことができる様になったとしても、診断が遅くなり臓器が弱ってしまってからでは、治療が難しくなりますので、やはり早期発見、早期の「適切な治療」が何よりも大切。

 

ということで、今年も動画の第一声が、「この病気は、早期診断、早期治療が何よりも大切」から始まっています。

 

 何しろかなり病気が進むまでは、一般の検査では全く健康そのものという場合もあったり、他の病気と間違えられて診断されている場合も多いですしね。たまたま手術をして見つかったり、尿タンパクが早いうちから出て、わかったりという方は本当にラッキーな方だと思います。

 

 昔に比べたら、診断の治療もものすごい進歩なのですが、これから、さらにこの病気の研究が進み、患者さん一人一人にあった最善の治療、処置がなされるように願ってやみません。

② ixazomib(イキサゾミブ)

 

 これは、既に一部の患者さんに使われているベルケイド(ボルテゾミブ)と同様「プロテアソーム阻害剤」という種類に分類される治療です。

 

 プロテアソームというのは、細胞の中のゴミ処理工場のようなところで、そこでゴミ処理をしているのですが、そこを閉鎖(阻害)すると、細胞の中がゴミでいっぱいになり、そのゴミによって細胞が死ぬという仕組みを利用して開発されたものが、プロテアソーム阻害剤です。

 

 このイキサゾミブという治療薬も、数年前から有効性が高いと期待され、日本の武田から発売されるということもあって、多分期待度が1番高かったのではないかと思うのですが、多発性骨髄腫の治験(トルマリンMM1)と並行する形で、ALアミロイドーシス治験(トルマリンAL1)が行われました。

 

 そころが、多発性骨髄腫の方では、良い結果が出たのに対し、ALアミロイドーシスには効果があまり無いという結論になってしまい、最終的にこれも中止とない、承認までには至らなかったのです。

 

 こういうふうな結果が発表されると、もうこの研究はされていないのかと考えがちですが、実はその後も研究は続いていて、今後使える様な形になれば効果が大きいのではないかと期待されている治療薬の1つです。

 

 どうしてこの治療薬の完成が期待が持たれているのかというと、それは薬の『結合部位』と関係があります。

 

 スライドでβ1、β2、β3、β4、β5、とかいうのが、その結合部位です。

 

 このイキザゾミブ がベルケイド(ボルテゾミブ)と違うところは、このイキサゾミブが「β2」というところに結合する性質を持っているということです。

 

 実は、ベタベタしたアミロイド蛋白には、トリプシンという成分が多く含まれていることがわかっていて、「β2」にはこのトリプシンを抑える作用があるということから、ベルケイドにはない良い効果があるのではと考えられるのです。

 

 このイキサゾミブについても、数年前から患者の会セミナーでも話されてきていていますので、興味のある方は、HPもご確認ください。

☪️これからのAL治療薬として期待できるもの3つ

 

 この3つ以外にも多くの研究が行われていますが、ある程度の研究が進んでいて、

もうすぐ使えそうなもの3つが挙げられています。

 

① CEAL -101(Reactive of 11-1F4mAb)

 

 アミロイドは、線の束がたくさん集まった形で存在しています。それゆえ、アミロイド「繊維」ではなくアミロイド『線維』という漢字が使われています。

 

 私が15年前、初めてアミロイドが見つかって、アミロイドについて調べた時には、病気のメカニズムもまだ殆ど分かっていなくて、ナイロンに似た不溶性の線状のものが臓器に溜まって臓器障害を起こすということだけしか分かっていませんでした。「それよりも、この丈夫なナイロンの様なアミロイドという物質を生活用品素材として使えるのではないか」というと書かれていて、ショックを受けたことを思い出しました。「あー、そっちか」・・って。この分じゃ病気の研究はまだまだ当分ダメだなーと。

 

それが、その2年後あたりから急速に研究が進んできて、2015年あたりからは、臓器についてしまったアミロイドを溶かそうというところまで来て、もしかしたら、治癒に近い状態も夢ではない・・そんな時代になろうとしています。すごいですよね。

 

 mAbというのは、モノクローナル アンチ ボディ。モノクローナル(一種類のものだけに反応する)抗体治療薬です。???

 

あれ? あれ? 私たちの病気ってそもそもその抗体が病気なんじゃなかったっけ。

モノクローナル(異常)な抗体が体中に増えて、それがアミロイドの元になっているのでしたよね。

 そう、例えば、肺がんとか、胃がんとか、固形がんと呼ばれるがんは、1つの細胞ががん化して急速に増えて周りの細胞を壊していくのですが、私たちの病気っていうのは、病気をやっつけるための道具である抗体そのものが異常なわけで・・・

 

この「マブ」という名前のつく抗体治療薬は、『アミロイドの元となる異常な1種類(モノクローナル抗体)』だけに反応する「人口のモノクローナル抗体」なのです。

 

毒を持って毒を制すならぬ、モノクローナル抗体を持ってモノクローナル抗体を制すというわけ。

 

セミナー動画では、「アミロイド原線維」とか難しい言葉が使われていますが、アミロイドの元になるもの(原線維とも言います)を標的に人工衛星(抗体薬)というロケットを飛ばします。

 

 このロケットが、異常になっているフリーライトチェーンだけにくっつきます。

異常となっているフリーライトチェーンがκであろうと、λであろうと関係なく、

異常なものだけを見分けて、そこに印をつけていきます。

 

 すると、もともとある体の免疫システムがその目印に集結してアミロイドを排除しようとする力が働き、その結果、臓器からアミロイドが減っていく、溶けていく、というようなイメージですかね。

 

 以前は、1度ついてしまったアミロイドは一生解けないと言われていましたが、アミロイドの産生が止まる、または生産量が減ってくると、自然に身体はアミロイドを溶かしていけることがわかってきました。そのことから、何とかアミロイドを溶かそうという研究が始まったのです。

 

 そしてついに、有力な治療が登場しました。それが、プロテナ社のNEOD001という薬で、2015年に、日本のアミロイド研究会(今のアミロイドーシス学会の前身)で発表されました。

 

この治療では、臓器についているアミロイドも、まだ血液中に漂っている悪い破片も、すべてキャッチしてパクパクと食べる様に綺麗にしてしまうという様な信じられない治療でした。

 

ところが残念なことに治験の最後の段階でに大きな副作用等(亡くなる人が複数出てしまった様です)が出て、治験は突如中止されてしまったのです。

 

やはり、こういう治療はまだまだ無理なのかな・・と思っていた矢先、

 

 そのあとに、出てきたのが、こちらのCEAL101という治療薬です。

 

こちらは、今も順調に治験が進んでいて、最終治験の段階に来ています。

もしこの治験が終わり、良い結果が出て承認されると、いよいよ新時代の到来となると思います。

 

 このタイプの治療(溶解薬)が出来ると、まだ完全にフリーライトチェーンが正常にならなるのを待たずに、臓器についたアミロイドをせっせと排除しにかかるので、血液的にはまだ寛解していなくても、臓器からアミロイドが取れていくので、内臓が元気になっていくということなのです。(すごーい!!)

 

 この治療薬の治験結果の詳細については、以前にこのブログにも少し書いているところがありますので、ご興味がある方は、よろしければ、そちらもご参照下さい。

  (テーマ別で「治験」のところ)

これは、以前にアメリカから届いた報告を訳してまとめたものです。