② ixazomib(イキサゾミブ)

 

 これは、既に一部の患者さんに使われているベルケイド(ボルテゾミブ)と同様「プロテアソーム阻害剤」という種類に分類される治療です。

 

 プロテアソームというのは、細胞の中のゴミ処理工場のようなところで、そこでゴミ処理をしているのですが、そこを閉鎖(阻害)すると、細胞の中がゴミでいっぱいになり、そのゴミによって細胞が死ぬという仕組みを利用して開発されたものが、プロテアソーム阻害剤です。

 

 このイキサゾミブという治療薬も、数年前から有効性が高いと期待され、日本の武田から発売されるということもあって、多分期待度が1番高かったのではないかと思うのですが、多発性骨髄腫の治験(トルマリンMM1)と並行する形で、ALアミロイドーシス治験(トルマリンAL1)が行われました。

 

 そころが、多発性骨髄腫の方では、良い結果が出たのに対し、ALアミロイドーシスには効果があまり無いという結論になってしまい、最終的にこれも中止とない、承認までには至らなかったのです。

 

 こういうふうな結果が発表されると、もうこの研究はされていないのかと考えがちですが、実はその後も研究は続いていて、今後使える様な形になれば効果が大きいのではないかと期待されている治療薬の1つです。

 

 どうしてこの治療薬の完成が期待が持たれているのかというと、それは薬の『結合部位』と関係があります。

 

 スライドでβ1、β2、β3、β4、β5、とかいうのが、その結合部位です。

 

 このイキザゾミブ がベルケイド(ボルテゾミブ)と違うところは、このイキサゾミブが「β2」というところに結合する性質を持っているということです。

 

 実は、ベタベタしたアミロイド蛋白には、トリプシンという成分が多く含まれていることがわかっていて、「β2」にはこのトリプシンを抑える作用があるということから、ベルケイドにはない良い効果があるのではと考えられるのです。

 

 このイキサゾミブについても、数年前から患者の会セミナーでも話されてきていていますので、興味のある方は、HPもご確認ください。