親切なクムジャさん


監督 : パク・チャヌク

出演 : イ・ヨンエ チェ・ミンシク クォン・イェヨン

配給 : 東芝エンタテインメント

子供を誘拐した罪で服役中のクムジャは囚人の悩みを解決し、皆から「親切なクムジャさん」と呼ばれていた。だが、13年の服役を終え、社会に戻ったクムジャは全くの別人に変わる。

実は彼女は無罪で、濡れ衣を着せられていた。今までの親切はうわべだけで、心の中では常に復讐の思いでいっぱいだったのである。

そしてついに、13年間準備していた復讐計画が繰り広げられる・・。


「復讐ってなんなんだろう・・・」

と考えさせられた。

ふつう、復讐をテーマにした映画なら、自分も気分をあおられ「そうだ!あいつは悪いやつだ!やってしまえ~」て思ってしまうはず。

でもこの映画はちがう。はっきりいってあまり感情移入が出来なかった。

少し距離を置いた目で物語を追っている自分がいた。

それはなぜか??


多分、単純な復讐映画じゃないからだろう。

この手の映画は「あ~悪いやつをやっつけた。すっきりした!」と満足して、映画館を出る。その後の私の心になにも残らない。

でもこの映画は、観終わった後、何だかすっきりしない。答えのない何かがのどにつっかえてる感じだ。


残忍な殺人事件を起こした犯人が死刑判決にされたとき、

被害者の親族が「死刑だけじゃ足りない!」と訴える映像をよく見る。

では、犯人を痛めつければ解決されるのか。どんなに痛めつけたって、死んだ人間は絶対に帰ってこないのに。


私はまだまだ社会経験が浅いせいか、答えはでてこない。 

けど、復讐の意味について考えるきっかけをくれたこの映画に感謝したいと思う。


暴力的な映像、独特な場面の移り変わりはかなり「奇抜」だ。

純愛の韓国映画に見慣れてる客層が観たらショッキングだろう。

いろんな意味で目が覚める映画。


大停電の夜に


鮮やかなイルミネーションで彩られたクリスマス・イヴ。

突然の大停電で、東京がまっくらに。

暗闇の中、あったかいキャンドルの光、音楽とともに、それぞれのドラマが始まる。

2005年 

監督 源孝志

出演 豊川悦司 田口トモロヲ 原田知世 吉川晃司

    寺島しのぶ 井川遥 阿部力 本郷奏多 

    香椎由宇 田畑智子

配給 アスミック・エース


コーヒーにすこしだけミルクを注いでみる。

ミルクが複雑な模様をつくりながら、ゆっくりと溶けあっていくのを眺める楽しさ。

私の中で、この映画はそんなイメージだ。


最近よく耳にする、ロハスを支持する人たちに好まれそうな作品。

日本でこういうオムニバス映画は珍しい。でもこれ見よがしなわざとらしさなどなく、ばらばらだったひとつひとつの物語がゆっくりとつながっていく。


私はお風呂に入るとき、いつも電気を消してまっくらにするのが日課だ。

お気に入りの音楽にもたれかかってぼーとする。

気が向いたら今日の出来事とかこれからのことをゆっくり考えてみる。

すると不思議なことに、いつも考えつかないようなことが頭に浮かんだりする。


色鮮やかなデジカメ写真にプラズマテレビ。最近、身近なものがどんどん複雑な色を表現できるようになった。

「イコール みえてくるものも増える」のだろうか。 いや。必ずしもそうとはいえない。

暗闇で、全てがくっきり見えないからこそ逆に見えてくるものもある。


「観客に余裕を与えないくらいの劇的な展開が欲しかった」という批評を読んだが、私は余裕を与えてくれるところが魅力だと思う。小粋なジャズの旋律と共に、ゆったりとした時間を観客も共有できる。そこがすばらしいと思うんだけどなぁ。

また、「停電なのにあんなに東京が呑気なのはおかしい!もっとパニック状態になるはずだ。」という声もあった。それも納得できる。 けど、そしたら事件映画っぽくなっちゃうし、そこは目をつぶってもいいと思う。

最初は「大停電」というタイトルだったそう。でもインパクトが強すぎるので、「大停電の夜に」に変えたそうだ。こっちのほうが断然いい。「の夜に」だけでこんなにも印象がかわるのか・・日本語っておもしろいな。


この映画は絶対に映画館で観るべき。なぜなら暗い空間の中、自分も擬似体験ができちゃうから。

もっと言うなら、夜に観た方がいいと思う。

そしたら、イルミネーションもビルの街灯も消えたまっくらな帰り道が、何だか楽しくなるから!



同じ月を見ている


監督 深作 健太 岸田今日子

出演 窪塚 洋介 エディソン・チャン 黒木メイサ 

配給 東映

恋人エミの心臓病を治すため、医師の道を突き進む鉄矢。そんなある日、2人の幼なじみのドンが刑務所を脱獄した。親友でありながら不思議な能力をもつドンを恐れる鉄矢は非情な行動をとってしまう。


私はすぐに顔にでる性格だ。

だから、エディソン・チャン演じるドンの動揺しないまっすぐな眼差しに、はっとさせられた。

彼はぎゅっと口をつむぎ、眼で全てを語ってしまう。発する言葉は極端に少ない のに、まっすぐな思いがひしひしと心に伝わってくる。


窪塚 洋介がインタビューで、「ドンと鉄矢は両方とも非常に極端な性格だけど、こんな2人が存在するからみんなは幸せでいれるんだ」 みたいなことを言ってた。

多くの人はこのふたりを織り交ぜたような性格だろうと思う。あたしも含めて。


「でもやっぱり極端すぎる。」 というのが正直な感想。

長い間ずっと変わることの無かったドンに対するの気持ちが、最後の方であんなにもはやく変わるのはちょっと不自然かな・・。寄り道して深いところを掘り起こさないような少し急ぎ足な印象を受けた。もっとゆっくり心情の変化を表現してほしかったな・・


友人が、原作の漫画と内容がぜんぜん違う と言ってた。

大迫力の火事シーンは約3000万円の製作費を費やしたという。すごい・・・・


帰り道をてらす月に、ちょっと愛着がわいた。

ピエロの赤い鼻


2003年 フランス

監督 : ジャン・ベッケル

出演 : ジャン・ヴィルレ アンドレ・デゥソリエ

配給 : ワイズ・ポリシー


14歳のリュシアンの父はピエロになってみんなを笑わせる。リュシアンは笑いものになる父の姿が嫌でたまらなかった。 ある日父の親友がリュシアンに声をかける。「お父さんがピエロになる理由を知っているい?」

彼は戦時中のある悲しい出来事を語り始める・・。


人間は2種類にわかれると思う。 それは勇気があるかないか。


たった95分の映画だけど、どんな道徳の教科書や説教よりも、メッセージがくっきりと伝わってくる。


軽い気持ちで観はじめたけど、観終わった後、いろいろと考えさせられた。


私は主人公をついつい「いいひと」と決めてつけてしまう癖がある。

だから、最初の方は辛かった。「こんなひどいことしたけどきっと彼はすぐに謝る!」と思ってたら期待は裏切られるばかり。 そこがまた現実味があるんだけど、正直イライラさせられた。


昨日の羅生門みたく、人間の嫌な部分をみてしまった気分。

根はいい人でも、勇気があるかないかでこうも人間違うのか・・。

正直半分くらいまではあまりおもしろくなかった のに、途中から信じられない展開に。


人を笑わせることで罪をつぐなうピエロ。 

道化師に、楽しさと同時にもの悲しさを感じる訳がわかった気がした。


いつまでもユーモアを忘れないやさしい人でありたい と思う。


何度か流れる「よろこびのうた」は、心あったまる名曲!




羅生門


1950年 ヴェネチア国際映画祭グランプリ

監督 : 黒澤 明

出演 : 三船 敏郎 森雅之 京マチコ 


観た後、しばらく人に会いたくなくなった・・。


観る前と比べて、嫌でも人間をみる目が少し変わってしまう作品。


ある殺人事件が起き、数人が証言をする。だが、おもしろいぐらいに内容が全く違う。あたかも自分が正しいかのように語る人たち。どれもこれも本当に思えてしまうくらいの真剣さが伝わってくる。


エゴっておそろしいなぁ・・

「人という人が信じられなくなったらこの世は地獄だ。」私も同感。


でもエゴが全くなかったら、それもそれで怖い世の中になりそうだな。結局人は自分を大事にするもの。



1番心に残ったセリフはこれ。


「本当のことがいえないのが人間だ。人間というものは自分自身にも白状しない。」



le plus vieux metier du monde


1967年  フランス・ドイツ・イタリア

第1話 前史時代 『神代に起った女の返信 』
第2話 ローマ時代   『ローマ皇帝も好きだった』
第3話 フランス革命期 『貴族好み

第4話 ベル・エポック 『手管に踊る幸せ』
第5話 現代 『快楽を運ぶ救急車』
第6話 未来  『2001年愛の交換 (未来展望)』


地球上で 世界一古い職業は?


答えは 「娼婦」。


歌舞伎町や中洲のぎらぎらした世界は苦手だけど、

へんな意味ではなく、私は「娼婦」という存在に惹かれる。

印象派時代のフランス絵画の影響かも。

特にすきなのが、マネのオランピア!娼婦をモデルにしたことにより、みんなから大ブーイングを受けて美術史上に残るスキャンダルとなった。彼女の挑発的な目は一度観たら頭からなかなか離れない。


この映画は、古代から未来までの娼婦をテーマとしたもの。それぞれ監督もちがう。

原題は 「Le plus vieux metier du monde (世界一古い職業)」 

音楽はまたまたミシェル ルグラン。

いやらしい部分はほとんどなく、ユーモアに満ち溢れていてカラッとしている。

「女は怖い」 と思えば、「愚かだなぁ」と思ったり。さいころの目をぜんぶ見てしまった気分。

そして全部をひっくるめて愛を感じる。(だからこんな邦題?)


6話のゴダール作品だけ異色である。 軽い気持ちで観てたら最後にくぎをさされた気分。

たった20分ちょっとの世界なのに、衝撃は大きい。

ゴダールによると・・・ 未来は政府によって自由恋愛が禁止され、娼婦は言葉専用と体専用に分けられる。

舞台は空港とホテルの一室。特撮もセットもない。それなのにゴダールの手にかかると、いっきに近代的な世界へと変わる。(ゴダールSF映画の「アルファヴィル」と同じく)

アンナカリーナとゴダールが組んだ最後の作品。

ラストの表現がすてき。


実は「2001年」から既に4年たっている。

こんな世の中になってなくてよかった・・。



(オランピア http://www.salvastyle.com/menu_impressionism/manet_olympia.html  )



ロバと王女


1970年 フランス デジタルニューマスター版

監督 : ジャック・ドゥミ

出演 : カトリーヌ・ドヌーブ、 ジャン・マレー、 ジャック・ペラン、 デルフィーヌ・セイリグ


あまーい飴玉をじっくり味わった気分。 びっくりするほどメルヘンな世界だ。


私はジャック・ドゥミの「ロシュフォールの恋人たち」が大好きで、掃除しながら自転車こぎながら(とにかくいつでも)サントラを聞いていた。だから、ビデオにもDVDにもされなかった幻のこの作品を、観たくて観たくてしょうがなかったのだ。


そしてジャック・ドゥミ没後15年後、ついに夢は叶った! ・・けど、悲しいことに、人間期待しすぎるとよくないときもある。


頭を「おとぎ話モード」にスイッチオンしないと、入りにくい。 「え。そこは・・」と思わずつっこみたくなる部分もあり。そしてついついそんなこと考えちゃう自分に気づき、落ち込んでみたり・・。


ストーリーは淡々としてるし、ちょっとありえないとこもある。

でも、映像は目が覚めるほど美しい。ピアノの上に置かれた楽譜に細かい挿絵が描かれてたり、細かいとこまで手がこんでる!ミシェル・ルグランの美しい旋律とファンタジックな映像美が混ざりあい、何ともいえないような贅沢な気分に。でも音楽のよさは「ロシュフォールの恋人たち」の勝ちかな。


「空色のドレスに月色のドレス。愛のケーキ。」 乙女ごころをくすぐるわくわくさせるようなフレーズがいっぱい。 そして残酷にもロバをあんな目にしてしまうところや、村人がドヌーブを容赦なくののしるところに、暗いダークな世界を垣間見ることができる。 大人すぎず子供すぎず、不思議なメルヘン。


妻のアニエス・ヴァルダと子供たちによって、この映画は美しさを取り戻し、時を越えて海を越えて私達の元へ届けられた。何だか愛を感じる!


それにしても「ライフ・イズ・ミラクル」といい、最近ロバ、多いな。 私のラッキーアイテム(?)かなぁ。


エリザベスタウン


「あ。アメリだ。」


観終わった後のわくわくした気持ちに、何か覚えあるとおもったら・・。


キルスティン・ダンストのいたずらな笑み、最後の展開といい、ほんのちょこっとだけどアメリに通じるものがある。

ただ、アメリが最初から最後までパリの下町が舞台なのに対し、この映画は始まりから厳しい現実を私達に見せる。失敗した時のいやな感じ。誰にでも覚えがあるはずだ。


絶え間ない長電話に、世界にひとつだけの特別な地図・・。

CGも夢ものがたりも一切ないけど、大人になっても忘れたくないわくわく感をさりげなく思い出させてくれる。


そして、この映画のよさの半分は「歌」といっていいほど、音楽がよかった。心地よくて邪魔にならないのに心に入り込んでくる感じ。エンドロールの最後の最後に流れる選曲もすてきだ。


職場の反応やお葬式の場面からは、「日本とは違うな。」と考えさせられた。こういうちいさな異文化体験を日本にいながら出来ちゃうのも、映画のかくれた魅力!


ウィンブルドン、エターナルサンシャインに続き、キルスティン・ダンストはちょっと個性的な役が似合う。


古い映画や映像を効果的にちょっとずつとり入れているところがいい。ただ、もうちょっと親子の詳しいエピソードがあれば、よかったかなぁ。


単なるラブストーリーといっていいのか、よく分からない作品。 

風が冷たく寒い中、あったかい紅茶を飲んであったまったような気分。「今より元気になれる映画」とでもいっておこ。

オーランドブルーム好きじゃない人にもみてもらいたいなぁ・・。

彼目当てだけで終わっちゃうのはもったいない。


イン ハー シューズ


「私達のまわりにあふれている ちいさな愛すべきものを描いた映画!」 だと思う。


ひとつの愛に大きなスポットライトをあてて劇的に演出する映画が多い中、こういう類の映画は珍しい。


兄弟愛、親子愛、孫と子供、見知らぬ老人、恋人、いろいろな愛のかたちがちりばめられている。それでいておしつけがましくない不思議な映画。


トレードマークのにっこり顔のキャメロンを見慣れている私にとって、彼女の悩んだり悲しんだりする表情がとても新鮮だった。


自分になかなか自信が持てなかった姉妹が、少しずつ新たな自分を発見していく。

大きな波のあるストーリーではないし、感動ものでもないが、夜のドラマを観る気分で気軽に入り込める映画だと思う。


もっともっと靴に関連付かせた内容を期待してただけに、「イン・ハー・シューズ」というタイトルには少し疑問を感じてしまった。比喩なのは分かるけど、もっとそのことについて語る場面があればなぁ・・


「あるある、そういうの。」 と共感できる系と思ってたけど、この妹はちょっといきすぎかも・・。でもぶっとんだかわいいキャメロンが観れたからいいや。


「奥様は魔女」に引き続き、シャーリーマクレーンがすてき。


映画にでてくるハーゲンダッツは広告ビジネスかな・・

ドミノ


監督 トニースコット

出演 キーラ・ナイトレイ

    ミッキー・ローク


ながいながい、終わらないミュージックビデオを観た気分。

映像がとにかくすごい。こんなの見たことない・・。コラージュの連続が生み出す不思議な世界。


でも、映像がうるさすぎて途中から気疲れしてしまった・・。 


女優ローレンス・ハーヴェイと、ロンドンで活躍するトップ・モデルとの間に生まれ、その美貌からモデルとしての将来を約束される。が、華やかな世界をあっさりと捨てドミノが選んだのは、常に死と隣り合わせ命のバウンティ・ハンター(賞金稼ぎ)であった。


ドミノは実在の人物だが、物語の8割がたはデフォルメされているという。

本物のドミノは、ちょくちょく撮影所に姿を現してた。 けど、彼女は映画の完成を待たずして、自宅の浴槽で変死体となり発見される。原因はわからない。まだ35歳だった。


彼女を知るきっかけにはなったけど、それが、ほとんどがフィクションの映画だと思うとちょっと悲しい。ビバリーヒルズ白書でおなじみの見慣れた役者が、あんなにやすっぽい出方をするなんて・・軽くショック。


キーラ・ナイトレイのはまりっぷりにびっくり。 かっこよかった。 同い年に見えない・・汗

この映画出演は、まだまだこれからの彼女の俳優人生の中での、大事件だと思う。