さすがにそんなこと言われたらおかしいと思うだろう。
「でもまだ気付いてはいなかったんだな。」
「そうだ。なにかがおかしいとは思ったが、具体的には何がおかしいか分からなかった。それでちょっと考えるために近くの公園に行ったんだ。」
「お前も暇人だな。」
同情した。
「お前に言われたくないよ。それで考えたんだ。エリコちゃんとか課長に言われたことを。二人の話から俺は、俺のそっくりさんがいるっていう仮説をたてたんだ。そして、そいつはどうやら会社にいるらしい。そこまで考えたんだ。」
「なるほど。」
「それで、とりあえず会社に電話してみたんだ。課長を騙したそっくりさんがいるかもしれないと思ってな。そんで、『斉藤さんはいらっしゃいますか。』って電話したらいるっていうじゃねえか。しかも『本人に代わります。』とまで言いやがる。これでそっくりさんが出たら俺のこと舐めてると思うだろ。」
確かに他人になりかわって会社に潜入し、さらに電話にも出るとなると腹が立つだろう。
「まあ思うな。」
「だろ?そしたら電話に出やがったんだよ。俺もさすがに腹が立ってくるから、そいつを追いつめてやろうとしたんだ。」
「どうやって?」
「取引先の社員のふりして俺にしか分からないことを聞きまくったんだよ。それでボロが出たらめちゃくちゃ言ってやろうと思ったんだ。」
「お前も人のフリしてんじゃねえか。」
「俺は捜査の為だからいいんだよ。だけどよ、そいつ全部の質問に完璧に答えるんだよ。俺も聞くことなくなって、プロフィール聞いたんだ。そしたらそれも完璧だったから怖くなってきて、電話を切ったんだ。」
「あの変な電話はお前だったのか。」
今日電話応対した相手に俺の誕生日とか血液型とかをやたらと聞いてくる奴がいた。
「だから俺からしたらお前が変な奴なんだよ。それでまた公園で考え始めたんだ。」
「なんていうか……暇人だな。」
「うるせえ。」