タツから突然の告白をされた翌週、




職場の研修があった。




新入社員対象の研修で1泊で行われた。










カヨ、シホ、アケミとはみんな部署が違うので




久々に4人で顔を合わせた。


















座って聞いているだけの研修は、暇で眠くなるだけだったが




研修後の同期たちだけでの飲み会は本当に楽しかった。




















シホは同じ配属先の子とほとんど話していて




私とカヨは隣同士でヨシカズの話やタツの話をしていた。








もちろんタツから告白されたことは言えなかった。












いくらカヨに彼氏がいるとはいっても、




気持ちがタツに向いているというのは本当だったし。









カヨ彼は転勤で片道2時間弱かかる隣県に住んでいたので




月2~3回、カヨ彼がこっちに来るという感じだった。














カヨ彼は本当に怪しい。。。




カヨからの話でしか知らない人だが




やっぱりそう思ってしまう私だった。




カヨもカヨ彼も、お互いを信頼してないのかな?




という風にしか聞こえないような話ばかりで。














今考えると、カヨ彼にも非はあっただろうけど




カヨだってひどかったと思う。






あとからそう気付いた私。




気付かされた、というかカヨ自体信用できるタイプではなかった。




信用云々というより、生きている次元が私とは違う




と思うような出来事が起こることになる。












こう思うまでに時間がかかったが、私もだまされていたんだな




と、あとで思い知らされることになる。










この時点ではそんなこと微塵も考えていなくて




私はカヨを親友だと思っていた。


































アケミは同期の男の子Kくんに飲んでいる最中べったりだった。








Kくんは人当たりが良くて優しいタイプ。








はっきり言ってアケミとはタイプが違う。




その場にいたほかの同期の子達も「Kくん、捕まってない?」




なんて、アケミとKくんの様子を見て言っていた。






それくらい違和感があったが、アケミは




「Kくん、本当に優しい。。。




遠距離の彼女がうらやましいなぁ。」




と翌日つぶやいていた。






アケミ本人に確認したわけではなかったが

トオルのことはそこまで好きじゃないのかな?

と思うくらい、べったりだったし、

Kくんってタイプだとも言っていた。
























飲んでいるとき、カヨとヨシカズの話をしていたら




無性にヨシカズの声が聞きたくなった私。












トイレに行く、といって宴会場を出て




少し離れた廊下でヨシカズに電話をかけた。

カヨ宅で飲んだ翌日。


早朝、タツに送ってもらって自宅に帰る。






助手席に乗った私にタツは言った。


もう少しで家に着く。




「ユカ、今彼氏いないんでしょ?


俺、ユカが好きだよ。」




!!!





驚いた。


だって、タツはこの前の飲み会でカヨとHしたみたいだし。


あっ、でも私がヨシカズと過ごしたいって言ってたから


そういう流れで、だったってこと??







車は私の家の前に着いた。


「俺、本気だよ。」



タツは車を停めるとまた言った。



「・・・えっ??カヨは??」



私はタツに聞いた。



「カヨは・・・友達。


好きじゃないよ。


俺はユカが好きだ。」



私を真っすぐに見つめてタツは続ける。



「ヨシカズの部屋で飲んだとき、


一目見てユカのこと気に入ったんだ。


・・・ユカは俺のこと、嫌い?」






嫌いなわけない。


でも友達だと思っていたから


正直、本当に驚いた。






でも・・・


私の気持ち云々より、


カヨがタツを好きだという気持ちを知っている。


ここで曖昧な態度をとったらカヨが傷つく。。。







「・・・嫌いじゃないよ。」



いろいろ考えていたら


やっと口から出てきた言葉はその一言だった。









「もうちょっと話さない?」



私がどうしようか考える暇もなく、車は走りだした。





着いた先は実家の近所の公園。


公園の脇に車を停めるタツ。







「ユカ、俺のこと嫌いじゃないんだ^^


じゃあ、前向きに考えていいの?」






うわぁ・・・


タツ、こんなに積極的なの??


って私がはっきりヨシカズが好きだとか


タツを嫌いだといったわけじゃないから


当たり前なのかも知れないけど。。。






またもや返事に困っていると


タツは優しく私にキスしてきた。







「ユカ、俺ホントにユカのこと好きだよ。


カヨのことが気になるなら俺もう会わないし。


俺は別に構わないから。」





積極的というか強引な言葉、そしてキス。




でも、タツは本当に優しい。








「・・・カヨのこと、ね。。。


そりゃ気になるよ。


だってカヨ、タツのこと好きなんだよ?」



私はやっと話していた。






「知ってる。


カヨに言われた。


あの飲みの日に。


別にそれに対して俺は返事してないし。


第一、カヨのことはタイプじゃないから。」






困ったなぁ。


カヨに悪いよ。。。




私ははっきり言える言葉が見つからなくて


うーんうーん、という感じだった。








タツは優しく言う。


「ユカと付き合ったら2人でいろんなトコ行きたい。


俺の地元にも行こうよ^^!」






タツは横浜の人だった。



つい乗っかってしまう私。



「・・・中華街とか?」



「そうそう!!


美味いトコ知ってるから一緒に行こうよ!」






ヨシカズには飲み会人集め要員&セフレと思われて冷たくされている私。




真っすぐぶつかってきてくれるタツ。


タツの優しさや言ってくれている言葉にも


裏がないのがすごく良く分かる。






カヨに申し訳ないと思いながらも


タツに思われている現実が心地よかった。








時間は過ぎていく。


私は今日も仕事だ。


そろそろ帰らなきゃ。






タツは家の前に車を着けると


「またね^^」と言ってまたキスしてきた。






カヨに対する罪悪感はあったが


タツの気持ちは本当に嬉しかった。





タツのライブに行って数日後。


その日カヨは仕事が休みだった。




仕事帰りに買い物をしていたとき


携帯が鳴った。


カヨからだ。




「もしもし?


ユカお疲れ!今どこにいる??」



「今まだ会社の近くだよ。買い物してた。」



上機嫌なカヨ。



「今さぁ、タツといるんだけど


ユカもこれから一緒に遊ばない??」




カヨがなぜ上機嫌かの理由は


タツと一緒にいるからだった。






私はカヨからの誘いを受けた。


タツの車で2人で迎えに来てくれると言う。






電話を切って15分後、タツとカヨが迎えに来てくれた。


私達はファミレスに向かい、夕飯をとることにした。






夕飯を食べながら、このあとどうするかという話になった。


「ウチで飲もうよ!!」


カヨの一言で決まった。





お酒を買出し、カヨの家へ。





カヨの部屋で待ったり飲み始める。



カヨははじめからハイペースだった。


12時前にはもう潰れる寸前だった。




私とタツはそんなに飲んでいなかった。


カヨが酔ってきたあたりからは


ほとんど飲んでいなかった。







そうやって3人で話していると


とうとうカヨは眠ってしまった。。。




時間は1時過ぎ。






私とカヨは翌日も仕事だった。


私はまだ眠くなかったがちょっと横になることにした。




タツもちょっと横になるという。


タツは翌日は午後からの講義だと言っていたので


朝方、送ってもらいたいというと快諾してくれた。









朝5時ちょっと前。


携帯のアラームが鳴る。



タツも起きる。





ぐっすり眠っているカヨは起こさずに


カヨの部屋を出る私とタツ。







タツの車の助手席に座る。


昨日はカヨが座っていた。


なんだか居心地が悪いというか


照れくさいというか。。。





カヨはタツのことが好きだといっている。




ちょっと申し訳ない気分で家まで送ってもらった。





事故後、マサルやトオルは何度か心配して


電話をかけてきてくれた。





マサルとの電話は、心に落ち着きが戻ってくるのが


自分でも手に取るようにわかって、本当に心地よかった。





トオルはというと・・・


私のことを心配してくれているのはとても良くわかったが


それは私のことを友達以上と捉えているから。。。


ただの友達だったら、そう何度もはかけてこないだろうし。




私も気のある素振りをしたこともあったから自業自得なのだが


ヨシカズに向いている私の心は嘘をつけなかった。






トオルからかかってくる電話が1度、2度と増えてくるごとに


うっとうしく思っている私がいた。







この時点で、トオルにはっきり言うべきだった。


「トオルのことは友達としか思えない。」と。




ひどいようだが、それが事実。


変に期待を持たせたまま、宙ぶらりんの状態では


トオルだって苦しかったと思う。





でも私はトオルに言えなかった。


このときの私はトオルに対する思いやりは


1つも持ち合わせていないひどい女だった。









カヨから聞いた話だと、トオルたちとの飲み会のあとから


アケミがトオルに猛プッシュしている、ということだった。





アケミとは2人で遊ぶほど仲が良かったわけではない私。





アケミにはもちろん、カヨにだって


トオルとのことを話してはいなかった。












ヨシカズとは、というと


特に変化はなくて私から電話をかけても


出たり出なかったり・・・。


話せたとしても「また飲もうよ」なんて感じで。






もちろんヨシカズから事故のことで


電話がかかってくることなんてなかった。




















私の事故から10日ほど経ったころ。


タツのライブの日。





カヨはその日、仕事だったので


私は高校時代の友人トモミを誘って


タツのライブを見に行った。






ライブは盛り上がっていた。


トモミとは音楽の趣味で共通する部分がたくさんあった私。


トモミも楽しんでくれた。





満員御礼といった会場の中で私を見つけたタツは


すぐ私たちのところへ来てくれた。








「久しぶり♪


盛り上がってるねぇ^^」





「久しぶり!


ユカ、事故ったんだって??


ヨシカズから聞いたよ。


大丈夫だったの?」




ヨシカズ、タツに教えてたんだ。。


一応心配してくれてたのかなぁ?


いや。


そうではなくって話の流れでタツに話したってトコだろう。





タツはやっぱり優しい。


こういう心遣い、ヨシカズもしてくれたらいいのに。






「うん。


凹んだけど、大きい怪我とかはなかったから。


タツのバンドはこれからやるの??」



「次の次だよ!


聴いていってね^^


んじゃ、俺いろいろ準備あるから。」





タツはライブを取り仕切る係だったようで


終始忙しそうだった。






タツのバンドはメロコア系のカバー。


このあたりも趣味が合うなぁ、と思った。


トモミも含めて。








タツのバンドはレベルが高い方だったと思う。


タツのギターも上手かった。













最近のもやもやを少し忘れられた日だった。



誘ってくれたタツに感謝した。



カヨを誘ってヨシカズたちと飲み会をした数日後のことだった。




私は追突事故を起こした。





信号待ちしている前の車に追突。

100%私が悪かった。







ぶつけてしまった相手側に車検証や免許証を見せ、

お互いの連絡先を交換した後、警察に電話した。


事故処理が立て込んでいるとのことで30分以上待っててくれと言われた。









救急車を呼ぶほどの怪我は誰もしていなかったので

私は父親の携帯に電話したあと

ヨシカズに電話した。





自分が悪いのはわかってるけど、事故を起こしてしまって

凹むと同時に軽くパニクっていた。





ヨシカズの声が聞きたかった。












すぐ電話に出てくれたヨシカズに事故ってしまったことを話す。

「大丈夫か?

俺も事故ったときはびっくりしたわ。

気をつけてなぁ!」



あっさりとすぐ終わる電話。

なんだか期待外れ。。。









ヨシカズは1年くらい前に帰省していたときに

事故って骨折したと、この前の飲み会で言っていたのだ。








ヨシカズと付き合ってるわけじゃないけど、

冷たいなぁと思った。




・・・付き合ってないから当然だよね。。





私の中でヨシカズへの気持ちがどんどん大きくなっているせいで

変に期待してしまっていた自分がいた。












このあと事故処理の車を待っている間、私は心配してくれるであろう2人に電話した。







まず、マサル。

マサルはこっちに帰ってきてはいないが

遠くにいながらもとても心配してくれた。



こういうときに私がどういって欲しいのか

マサルはよくわかっていた。

さすがマサル。



電話でマサルの声を聞き、優しい言葉をもらえるのが

本当に心地良かった。





何で別れたんだろう。。。

こんなに私のことを想ってくれているのに。。。















もう1人、電話をかけた。



それはトオル。



私は確信犯だ。



トオルなら私を心底心配してくれることがわかっていたから。






マサルと話した後にトオルと話す私。




最低だ。









なのに


このとき優しい言葉を貰いたくて、トオルを利用している自分を少しだけ嫌だと思っただけだった。










冷たいヨシカズ。

私の位置づけはやっぱりセフレなんだと思い知らされながらも

ヨシカズのことを嫌いになれない自分がいた。







満たされない心を温めてもらいたくて

元カレと私を想ってくれている人を

都合良く利用したのだ。