翌日はデビッドが地下練習場にやってきた。マイクと2人だけだ。SSたちは途中で待たせているらしい。この練習場を他の人に見せられないということもある。
「道場での接待はすばらしかったよ」
「いろいろハプニングもあったけど」
「彼や奥方の前で君の技を披露したようだね」
マイクはニコニコしながら言った。
「ああ。理解できたとは思えないけど」
「今日は君の真の戦闘能力を見せてくれるんだろうね?」
「うん。そのためのセッティングでしょ?」
ということで、僕はいつもどおりの練習を開始した。マイクがひとつひとつ、解説していく。
モーゼル・レッド9の200m連射、穏剣を投げて装甲車の甲板を貫通させ、静竜の連射でハマーの防弾ガラスやドアを突き破り、暫甲剣で戦車の大砲の砲身を断ち割った。
「な、なんというものすごさだ・・・人間業ではないな・・・」
「そうさ。東洋の悪魔・・・魔女かな・・・と呼ばれてるけど、僕の本当の力量を見た者はほとんどいない。見てもその直後に死んでるからね」
「ワンマン・アーミー!」
「そう、まるでランボーだな」
「ランボー? ああ、映画ね。あんなに無能じゃないよ、僕は」
「ああ。すまない。たとえるものが浮かばないだけだよ。・・・君を敵に回すのは即、死を意味するってマイクが言っていたのが、よくわかったよ」
「敵に回す気があるの?」
「と、とんでもない・・・これから私たちの前には数々の難題が立ちふさがるだろう。その中でも、現実的には米軍を使えない武装集団や国家がいるはずだ。これまでにも、君には困難なミッションをお願いしてきた。いずれも大成果を上げてくれたので、エリクソンは大統領になれたんだ。君にはあと8年、民主主義と自由主義の守り神として活躍してもらいたい」
「民主主義ねえ。そういえばあの民主党のおっさん、どうなったの?」
僕が暗殺にグァムまで出向いたけど、殺すまでもなく大統領戦から降りた男の末路は、一部は別ルートで入ってきていた。しかい、政治の世界のことはエリクソンから聞くのがいいだろうと思っていた。
「映像は絶対に表に出さないことを条件に、大統領戦から降りさせたんだ。いまは引退して、別荘近くの川でフライフィッシィング三昧の毎日らしい」
「フライかあ。いいなー」
「あれ? ダイ、そんな趣味あったっけ?」
「うん。結構はまってるんだ。僕がやるのは『テンカラ』っていう、日本古来の毛バリ釣りだけどね」
「あんなやつが代表だったというのが民主党にとってかなりのダメージになっている。4年後の選挙、民主党はすでにあきらめているらしい。すべて君の冷静な判断のおかげだよ。あそこで彼を暗殺していたら、今回の選挙、どうなっていたかわからない」
「弔い合戦ってことになって、民主党が勝利!」
「そう。そのとおり。あのころのエリクソンは頭に血が上っていたんだろうな」
それからしばらく、米国副大統領は僕とマイクの3者会談を行って帰っていった。
僕はなにも見返りを求めなかった。だって僕がこうしてほしいと言うことは、全面的に共和党の米国政府が実行してくれるのはわかっていたんだからね。
「サイパン島が欲しい」って言ったらくれるかな?
第13話 おわり