本当は恐ろしいモネ童話。 | 感傷的で、あまりに偏狭的な。

感傷的で、あまりに偏狭的な。

ホンヨミストあもるの現在進行形の読書の記録。時々クラシック、時々演劇。

※ピアノ話についてのおさらい

20年という長い空白期間を経て、2018年1月からピアノレッスンに通っています。

(登場人物)

 モネ先生=私の現ピアノの先生

 

「やさしい曲を上手に、きれいにひくよう努力すること。その方が、むずかしいものを平凡にひくよりましだ。」by シューマン

 

シューマンは多くの名言を残したが、上記は特に私の好きなシューマンの言葉であります。

 

そしてわたくし、ただいまそんなシューマンのピアノソナタ第2番全楽章レッスン中。

(そして2ヶ月後の発表会で第1楽章を演奏予定)

いよいよ最終局面を迎えた。

 

 

前回のレッスンで

「どの楽章も仕上がりましたね。次のレッスンで一度軽く通してみましょうか。」

といわれ、やってきました次のレッスン。

ピアノの前に座るや否や、まずは通しましょう、といきなり全楽章を通して弾くことになった。

 

この2週間(全楽章1回通すだけでも20分はかかるため、今月と来月はレッスン日を減らして1回のレッスン時間を増やした。)、全楽章とおすための練習・・・は特にせず、主に部分練習とゆっくり練習に時間を割いた。

やっぱりコツコツ積み上げることって大事だと思うの。

 

・・というのは単なる言い訳で(笑)、全楽章通して演奏するってすごく気が重くてさ~。

まず上記で書いたが演奏するだけで20分以上かかる。

休日はいいよ、それでも。時間はあるんだから。

しかし私も一応社会人。仕事を終えて帰宅してピアノに触れる時間はせいぜい1時間。

(え?朝練?超絶朝が弱いあもちゃんがそんなんできるわけなかろ。そもそも壁薄マンションでピアノなんか鳴らせない)

1時間の練習で20分以上とられるってキツイわ。

 

・・というのも単なる言い訳で(笑)、20分も弾き続けて上手に弾けたら気分上々だろうが、どうせあちこちで満遍なく気が滅入るようなミスするに決まってるもん。

←そのために練習するんでしょうが!とか言わない。

 

そう、これが一番やりたくなかった理由であります(笑)

この後に及んでまだ自分の実力に真正面から向き合いたくないの!!!!!!

 

とはいえさすがに一度も通さないってのもアレだから時々通しときゃなんとかなるでしょ。

と、とにかく部分練習に力を入れるんじゃ~と丁寧に部分練習ばかり取り組み、時々全楽章通しておいた。

 

・・・という偏った練習によって紡ぎ出された演奏はモネ先生にはすべてお見通しであった。

 

ジャーン!!!!

1楽章を弾き始めた私。

・・ふうふう。(どうでもいいけど1箇所暗譜が落ちた。ちょっと動揺。コワ!!)

2楽章、3楽章、そしてラスト4楽章。ジャジャ~ン!

 

私(はあはあ。とりあえず終わった・・レッスン開始20分ですでに疲労困憊・・)

モネ「ん~。まずはよく頑張って最後まで通せましたね。」

 

その言い方よ・・(T_T)

 

モネ:

部分部分はよく弾けてます。

どの楽章もちゃんと弾けてるし、どの音符もちゃんと弾けてます。

でもこの曲のストーリーが全然見えてこない。

たとえば1楽章はソナタ2番の顔になる楽章ですが全く顔が見えない。音符はキッチリ追えてますがどう弾きたいのか伝わってこない。暗譜したことで音符を追うことに集中しすぎて音楽そのものへの意識が抜けてますよ。(ドキー!)

あと全4楽章通してこのソナタをどう歌うか、構成とかちゃんと考えてますか?

1、2、3、4楽章、ただ4曲が並んでるわけじゃないですよ。

 

ひぇ~!

怒濤のダメ出しを食らうあもちゃん。

(もちろん言い方はソフトで優しいんですが。だから余計にコワイ><)

 

やっぱり嫌がらずに全4楽章通しての練習をもっとすべきであった。

そんな反省中のあもちゃんをさらに詰めてくるモネ先生(笑)

 

モネ「あもるさんはどういう意識・どういうイメージでシューマンを弾いてますか。」

私「ん~。やっぱり重厚な感じかな。ベートーヴェン的な。」

 

モネ「違います。」

 

違うって言うしーーーー!!!!

すがすがしいまでの否定に思わず笑う(´Д`ll)ハハ

 

モネ「代表的な重厚な作曲家だと、たとえばそのベートーヴェンとかブラームス・・あとは近い時代だとラフマニノフなどがいますが、それと比べてどうですか。」

私「あ、確かに彼らに比べると全然違う・・」

モネ「そうでしょう。1楽章冒頭がこんな感じだから激しく重い曲だと思うかも知れませんが、調性は♭2コのシンプルなト短調。あとシューマンはとてもロマンティックな作曲家ですからもっともっと素直に歌って。シューマンという作曲家と作品を理解して、シューマンの音楽を表現しないといけませんよ。」

 

しょぼーん(´・ω・`)

 

クラシック音楽は再現芸術だとよく言われるが、私はシューマンのすばらしさを表現できてなかったのかもしれない。練習の成果を出すことに必死で作品に対する愛情が欠けていたかも。

本番でよく要らんことをするあもちゃん、そしてそれを容認してくれるモネ先生だが、それは私が作品をちゃんと理解した上での表現だったからこそ容認してくれていたのだと知る。

 

しょぼーんなあもちゃん放置で、モネ先生の1楽章へのダメ出しは続く。

 

モネ:ここでようやく再現部(※)になるわけですが、提示部と同じテーマだからってここまでお膳立てされて現れた再現部と提示部の演奏が一緒でいいわけないですよね。(私「は・・はぁ・・」)

 

ソナタ形式などでテーマを再現する音楽形式の一部。 音楽が過去をとどめず展開した後にまたその原点に帰ってくるという美意識が感じられる。

 

 

モネ「そもそも1楽章は初っ端から情報量が多いからやることも多いですよ。隅々までアンテナを張って。冒頭もなんとなく弾き始めちゃだめ。」←私の悪いクセもお見通し

 

↓本番で悪いクセが出て事故を起こしたお話

 

>ところがこの大事な場面でひっさびさに私の悪いクセが出てしまった。

>何も考えず、緊張感なくいきなり突っ込んでいくクセである。

 

振り返って考えると難曲の時ほどこの悪いクセが出がち。

無意識に鼻息荒く前のめりになっているんだろうなあ。

弾いてやらねば!フンガフンガ。みたいな~。

 

私が来し方行く末に思いを馳せている間も、モネ先生は話し続ける(笑)

 

モネ:

逆に1楽章以外はとてもいいです。ほぼ言うことないです。

2楽章がすごく良くなりましたね。停滞感もなくなってすごく歌えてる。

(最後の小節はこのドに残りの音すべてを収めて。)

 

 

私「この2楽章がすごく好きになりました。」

モネ「緩徐楽章だとベートーヴェンの悲愴の2楽章なんかが有名ですけど、このシューマンの2楽章もそれに匹敵する美しさですよね。」

私「隠れた名曲ですよね。弾くの難しいけど。」

 

モネ:

3楽章はすごくよかった。表現したいことが伝わって言うことないです。中間部のレガートをもっと主張するとその落差で曲全体のトリッキーさをもっと表現できますよ。

4楽章はやっぱり上手ですね。もはや言うことがないなあ。

 

結局、発表会で弾く1楽章だけが大問題ってことだけはわかった。

大問題だわ、暗譜が突然落ちるわ、で発表会が不安すぎる。。(・ω・;)

 

正直なところ、1楽章だけは2ヶ月後の発表会で弾くから今の全楽章とおしの段階で8割くらい仕上がってたらOKもらえるやろ、と勝手に思って練習を進めていたのだが、やっぱり我らがモネ先生、そんなに甘くはなかった。そしてその練習量までもがバレるとかモネ先生は千里眼か!

 

モネ:

今まで私が言ってきたことは、ふわっとしたことしか言わなかったので混乱するかもしれませんが、もうそれ以上言うことがないんですよ。技術的なことはもうできてますし。あとは気持ちというか意識の問題です。

モネ:

あと全楽章弾くということで1楽章のテンポアップについてはあえて触れてませんでしたが、もうこの速さできちっと弾けているし、発表会ではもう少しテンポアップしてもいいと思っているので、ちょっとテクニックを教えますね。

 

いやいやいやいや、これ以上速く弾ける気がしないんですけど><

 

とか思ったが、そのテクニックを駆使するともっと速く、よりラクに、しかもちゃんと音楽性も失うことなく弾けるの!!ビックリクリクリ、クリックリッ!

 

モネ「今まで私が言ってきたことと矛盾すると感じるところもあるかも知れませんが、すべてここに来るためにやってきたことだと理解してください。」

私「いや、わかります。今までの手順を踏まずにいきなりこれやると、多分音が抜けます。」

モネ「理解がよくて助かります。」

 

そのテクニックは企業秘密ってことで(というかうまく説明できない笑)。

 

そんなわけで

再度構成を練り直してこい。(意訳)

と言われたあもちゃん、翌日ピアノの前に座ってしばし考える。

 

今までは闇雲に練習すればよかったが、これからどうやって練習していけばいいのか。

言うことないって言われたテクニックだってあれだけ練習してようやくあの程度だし、まだ全然安定してないし(油断するとあっちこっちでボロが出る)、テクニックを磨きながら、楽章ごと練習しつつ、曲の構造を理解して演奏を練り直して全楽章通して練習・・・。

時間だって無限にあるわけでもないし、時間が無限にあったところでただ弾きゃいいってもんでもないし、何をどうやればいいのか。

今さらだが練習って難しいんだなあ。

 

しかしそれにしても・・・と思う。

モネ先生も私を詰めるのと同じくらい、他の生徒もちゃんと(笑)詰めてるのかしら!?

とふと思う。

 

前々から思っていたが、多分モネ先生って谷岡先生タイプ。

 

↓谷岡先生とは?

 
 

 

>「ボクはね、やる気のない生徒にやる気を出させるほどやる気のある教師じゃないんだよ」

>「でも生徒は大事なお客様だから 

  生徒の夢や希望をかなえるための努力や協力はしてやりたい」

 

ぱっと見ハリセン(江藤先生)の方がコワイが、優しそうに見える谷岡先生タイプが本当はめちゃくちゃ恐ろしいということを私は知っている。

 

ま、結局相性の問題で、どっち(ハリセンか谷岡先生か)がいいとかの話ではない。

私は谷岡先生タイプ一択。

モネ先生はやる気のある生徒(私)にさらにやる気を出させるのが上手い先生なのでした。

 

(おまけ)

シューマンは文学者でもあるので、名言をたくさん残している。

 

 

 

>いつも正しく調律された楽器を扱うこと。

 

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