あもる一人直木賞(第155回)選考会ー途中経過2ー | 感傷的で、あまりに偏狭的な。

感傷的で、あまりに偏狭的な。

ホンヨミストあもるの現在進行形の読書の記録。時々クラシック、時々演劇。

急げ!本物の直木賞受賞作の発表まであとわずか!!

あもる一人直木賞作品はすでに決定しているのだが、
だいぶ早くに決定しちゃったもんで、すでに終わった感が・・。
いやいやそれではいけない、と再度エンジンをかけなおし、
あもる一人直木賞作品の10メートル手前、ヨタヨタノロノロ前に進んで行きます!

てなわけで・・・

1位 

2位 門井 慶喜「家康、江戸を建てる」(祥伝社)
3位 米澤 穂信「真実の10メートル手前」(東京創元社)
4位
5位 荻原 浩「海の見える理髪店」(集英社)

10mくらい離れまして〜

6位 湊 かなえ「ポイズンドーター・ホーリーマザー」(光文社)

である。

前記事で述べたように6位は問題外としても、2位から5位まではだんご状態である。
どれも1位にするにはパンチがないけど、どれが2位でもいいかな、みたいな。
そんな中、2位は門井さん(前記事参照)に決定し、
3位には米澤穂信さんの「真実の10メートル手前」が決定した。

以前のノミネート作品(第151回直木賞候補)である『満願』が、
米澤さんとの初対面だったのだが、そのときもかなりの高評価であった!私の中で。
(1位の黒ちゃんの次点作品であった。)

そして今回も前回同様ミステリー作品ではある。
前回と少しばかり雰囲気を変えてきたものの、
相変わらずの緻密な日本語と自然と染み込んでくる文体に心の汚れが雪がれた。
さらっと書いているようで、ものすごく考えられた文体。
いや、もしかしたら無意識で織られているかもしれない日本語の数々。
その日本語の美しさがこの作品の主人公である「大刀洗万智」さんの、
美しさとこわさと淋しさと情熱を際立たせているのかもしれない。
この作品で好感が持てたのは、
フリージャーナリストである主人公がとても平等かつ不平等であったことだ。
作者である米澤さんは、マスコミという胡散臭い世界を批判対象としてではなく、
淡々と描いていた。その姿勢はいつも平等なのである。
そして真実に常に平等に向き合っている主人公は、
時に真実を突き放し、不平等に肩を持つことがある。
それはマスコミという職業人としては失格なのかもしれないが、
正しい不平等である。とも思える。
そのなんというか、そういう常に誰にでも心にある矛盾やゆえの不安定さを、
切れ味鋭く描き出していたのがとても心に響いた。
そして第1章(表題同じ)だけ大刀洗さんが「私」という1人称を用いていることが、
効果的だったと思う。
第2章以降はつかみどころのない女性像をイメージさせる表現なのだが、
第1章で「私」を用いることで、つかみどころのない女性ではあるが、
意外と他人に気を遣える常識人で、
目の前にある「真実」を真摯な態度で見つめる情熱を持った職業人、
という像が無意識に読者に記録されるのだ。
日本語も美しいし、物語の構成そのものも細やかな技術があちこちに用いられている。

な〜の〜に、こんだけの評価をしておきながら3位にとどまった理由は、
わくわくしなかった、ただ単純にそれだけなのです。

2位じゃダメなんですか?←蓮舫か!!

とか聞かれると、上記でも書いたが正直どれが2位でもいいかな、とも思ったのだが、
門井さんの「家康、江戸を建てる」と米澤さんの「真実の10メートル手前」、
どちらを友達に勧めたいか
と考えてみると、
やっぱり門井さんの「家康〜」を勧めたいんだよな〜、
と答えがすんなり出ちゃって、
米澤さんが3位の席に着席することとなったのであります。

ちなみにこの作品がドラマ化したら、
主人公の大刀洗さんの役はきっと篠原涼子か??み〜お〜!みたいな。
いやいや違うな、竹内結子のほうがいいか!ストロベリーなんとかのイメージで。
(ま、篠原涼子より竹内結子のほうが好き、ってだけなんだけど。超絶えこひいき。)


そしてここで推しメンの一人、荻原浩さんのご登場です!
長らくご登場のなかった荻原浩さん、おひさしぶりーふ。
なのに久々の候補作、「海の見える理髪店」(集英社)は5位〜。
短編6作品、どれもこれも全く悪くはないんだけどさ。
むしろどの作品からも、もはやベテラン的な貫禄すら感じられるんだけどさ。
いい意味で欲がないっていうか、悪い意味で悪ふざけっていうか。
こういう作品は直木賞授賞後についでにこんなのも出しました、的な作品でしょ!!
なーんて荻原さんに言ってもしょうがないけども。

つーか!
私は荻原さんのリーマン小説が読みたいの!!
荻原さんにサラリーマンの生活や心情や仕事の風景を書かせたら天下一品、
右に出るものはいない。
こんな(←コラッ)不思議小説とかほんわか小説とか書いてる場合か!
『メリーゴーランド』で私の腹筋を破壊させた、あの衝撃の笑いよ、カムバーック!

メリーゴーランド/新潮社

¥価格不明
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「ボトムアップでゴーゴー!!」

笑い過ぎて、腹筋が割れるかと思った。

「メリーゴーランド」の件はともかく、
それくらいしか語ることがない、というのが5位となった全ての理由である。
あとは第4章「空は今日もスカイ」は雑さが目立ったから、というのもある。
短編で書くにはあまりに短過ぎるし、長編で書くことのものでもないし。

改めて推しメンである荻原浩さんの過去の作品を思いだすに、
私、荻原浩さんの家族小説が好きじゃないんだな〜。ということに思い至った。

候補回が違えば(=相手が悪かった→道尾くん&木内さん)受賞できたはずの、
『砂の王国』とか『メリーゴーランド』とかその他諸々。
私は荻原さんのリアル社会に根付く小説をいつも求めているのだ。

次回は必ずリーマン小説で勝負してきてほしい。
そしてその作品での受賞を私はこの目でしかと見届けたい!!


さあ、いよいよ残すところ、下記推しメン2人の作品のみとなりました。

▽伊東 潤「天下人の茶」(文藝春秋)
▽原田 マハ「暗幕のゲルニカ」(新潮社)

果してどちらが1位で、どちらが4位となってしまうのか。
(どっちも読んだ人はおそらく分かっちゃうと思うな〜。
 それくらいの圧倒的な差がありました。)


次回はいよいよあもる一人直木賞受賞作の・・

はっっっぴょーーーーーです!!←さあ、恥ずかしがらずに浜ちゃん風に叫んでみよう。


※以下は7/15日現在、既に発表済みの候補作4作品である。

家康、江戸を建てる/祥伝社

¥1,944
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真実の10メートル手前/東京創元社

¥1,512
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海の見える理髪店/集英社

¥1,512
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ポイズンドーター・ホーリーマザー/光文社

¥1,512
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