巨人の倒れる日〜覚醒〜 | 感傷的で、あまりに偏狭的な。

感傷的で、あまりに偏狭的な。

ホンヨミストあもるの現在進行形の読書の記録。時々クラシック、時々演劇。

「巨人の倒れる日」シリーズの続きである。

まずは「巨人の倒れる日」その1その2 をお読みください。

◇◆

巨人こと母が脳梗塞で倒れたとの連絡を受け、新幹線に乗った私。

ピロピロリーン

私「あ、メールだ。」
妹【お父さんから電話かかってきて、お母さん、もう話してるって。】
私「は?どういうこと・・・?」

妹【今、お母さんに電話したら、普通に話してた。元気そうだったよ。】
私「私、岡山に帰る意味あるのか?つーか、脳梗塞ってすぐ治るもんなの?」

なにもかもが意味不明。
とりあえず、脳梗塞であの世へまっしぐら、という事態だけは避けられた模様。

私(ああ。この東京岡山間の移動がまどろっこしい。)

いつもはなんてことない帰省の4時間強という時間が、
この日だけは永遠に着かないんじゃないかってくらい長い。
しかも事態がイマイチわかっていないため、余計長く感じる。

そんな感じで新幹線にいる間、なんとなく落ち着かなかったのだが、
隣に座る親子連れと話をしているうちに、心が落ち着いてきた。
(わたくし、旅行などすると高確率で隣の人から話しかけられることが多い・・・)

隣席の母親がトイレに立って私と男児が2人きりになった際、

「お姉さん、これあげる♪」

とごまたまご(東京土産)を1コくれるではないか!!!

ちょっと聞いた!?
お姉さんですって!?
お姉さん!!!!
お姉さん!!!!
じーんじーんじーん・・・・・

三歩歩くと忘れる鳥頭あもちゃん、
あまりの嬉しさに、母が脳梗塞で倒れているという事実が忘却の彼方へ。

こやつ!!
できるな!!!
世渡り上手!!!!

と、男児に東京バナナクッキーをお返しにプレゼント。

その後も3人で話をしていても、とにかくこの彼の賢さにいちいち驚かされる。
コミュニケーションの勘もいいし、頭もいいし、しかもピュアで人懐っこい。
その純朴さと賢さに、おばちゃんメロメロ。
末恐ろしい!!

そして岡山に到着。
広島まで行く親子とさようなら。

はあ、一期一会とはいえ、淋しいもんだ。
としみじみしていてふと思いだした。

あ!お母さん倒れてるんだった!テヘ。

岡山駅から在来線に乗り換え、そこからまた長い時間電車に揺られ、ようやく到着。
迎えにきてくれた父親の車に乗り込んだ。

父「いやー、今回は参ったわ。」
私「びっくりしたよね。でももう話してるんでしょ?」
父「ちゃーちゃー、喋りまくっとる。」
私「・・・まあ、元気になってよかったよね。」

そしてとりあえず病院の面会時間には間に合ったので、そのまま病院へ。

私「おかあさーん」
母「あもちゃーん」

ほんとだ、ふっつーに話してる。
でも、ちょっとぐったり。
そりゃそうだ。
さすがに脳梗塞で倒れた当日だもんね。
テーブル、などという簡単な単語を思いだすまでに時間がかかったりしていて、
一抹の不安を覚えた私であった。
(が、翌日はほぼ普通の状態に戻っていた。)

あの西日本最強母も、いよいよ普通の人間に戻るのか!?
人間になりたーーい。by 妖怪人間ベラ

ベッドの周りを見てみると、日常必需品がずらりとそろっていて、準備万端。
どうやら伯母ちゃんと従姉がそろえてくれた模様。
ま、父親がこんな気の効くことできるわけないからわかってたけどねー。
ほんと、うちの女たちはデキル人たちばかり。
それに比べ、男って役立たず・・・。
田舎ネットワークがこれほどありがたく思えたことはなかったのであった。

夜も遅いから、ということで母とバイバイし、5分ほどで家に到着。
いやー、病院が近くていいわあ。
つくづく、あの人ツイてるわ。
脳専門病院が家に近くにあるとか、倒れたところがその病院の近くだったとか、
強運すぎ!!

◇◆

家に戻ると、家の中がしっちゃかめっちゃか・・・

私「お父さん。何探したのかしらないけど、こんなに引っ掻き回さなくてもいいじゃん。」
父「何も探しとらん!いつもこんな感じじゃ。」
私「うへー。」

汚部屋出身の私が言うのもなんですが、←一人暮らしのある一定期間、チョー汚部屋にw
お母さん・・・たまには片付けよう・・・。

そこから私は家政婦へと変身。
夜だというのに、洗濯、掃除、炊事、ゴミ捨て・・・
もう~~~~~。他人ん家って使いづらい!
・・うちの実家ですけどねっっ!!

道具の在処を父親に聞いても、知らんの一点張り!
きーーーーー!
男ってほんと役立たず!!←本日数十回目。
つくづく、母親が死ななくてよかった、と思うのであった。
こんな役立たずのジイサンの面倒なんてとてもじゃないが見られんわ!

冷蔵庫を見ると、イカの煮物やら少々のおかずがタッパーに入っている。

私「あれ?これ、今日お母さん作ったやつかな?おいしそー。」
父「あ、それは伯母さん(母の姉)が作って持ってきてくれたやつじゃ。」
私「ウマウマ。」←もう食べてる。

さすが伯母ちゃん、ほんと気が利くわ。
そんなオバちゃんに、私は、なりたい。

AM2:00。

ピッピピー、ピッピピー、ピッピピー・・・!!

家政婦業務で疲労困憊だったあもちゃん、
一人離れ部屋でぐーすかぴーすか寝ていると、突然どこからともなくアラーム音が鳴り始めた。

私「んが!?」

寝ぼけながら、暗闇の中で鳴り続ける音の正体をゴソゴソと探しまわる。

あ!あった!!

私「・・・・ナニコレ・・・」

その正体は万歩計であった。
つーか、なんで真夜中に鳴るのよーー!!!!
つーか、これ、壊れてるじゃん!!!!
つーか、こんなもんはさっさと捨てろーー!!!!

気持ちよく寝ていたところを起こされて不機嫌MAXあもちゃん、
力任せにバキバキに壊して(←また鳴ったら嫌だから)、即捨てたのであった。
ぽーい!!

教訓:いつ死んでもいいように、家の中は清く正しく美しく。

次回記事、シリーズ最終回!